2006年6月アーカイブ

2006年6月1日(木) 8時3分 サンケイスポーツ

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 プッシュの基本を土俵で学ぶ! ラグビーのトップリーグ(TL)、トヨタ自動車のFW陣が5月31日、大相撲の佐渡ケ嶽部屋(千葉・松戸市)を訪ね、「押し」を体現するため、けいこを体験した。PR山本正人(28)らFW陣10人が白いけいこまわしを締め、関脇琴光喜(30)、平幕琴奨菊(22)に胸を借りた。昨季の日本選手権準々決勝で、TLチームでは史上初めて大学チームの早大に敗れる屈辱にまみれ、FW再建に"ガチンコ勝負"だ。

 グラウンドでは屈強でならす体が、この日ばかりは小さく見えた。思い切りぶつかったフロントローが、力士の厚い胸にはじき返される。身長1メートル82、156キロの琴光喜、1メートル80、150キロの琴奨菊にぶつかって汗を流したトヨタFW陣は、ぎこちないしこを踏んでけいこを終えると、充実した表情を浮かべた。

 「どこを鍛えればいいかわからないほど、実力差があった。いい体験をさせてもらった」

 小4のとき、わんぱく相撲全国大会に出場した経験を持ち、昨年まで日本代表に名を連ねていたPR山本でさえ、ラグビーでは体感できない力士のパワーに驚いた様子。

 今回の"入門"は、山本の父・勝さんが、かつて片男波部屋に所属した力士だったことから実現した。「玉葵」のしこ名で幕下まで上がった勝さんが、トヨタ自動車相撲部で同僚だった琴光喜の父・田宮節男さんを通じて依頼したもの。トヨタ勢はこれまで、同社の相撲部とけいこしたことはあるが、大相撲の相撲部屋へ出向いたのは初めてという。

 昨季はTL4位と上位にいながら、日本選手権では早大に4点差で敗れる屈辱を味わった。社会人チームが大学チームに敗れたのは、88年に東芝府中が早大に敗れて以来18年ぶりだった。近年、社会人と学生では実力差が開き、03年度TL創設後は学生がまったく歯が立たない状況だっただけに、トヨタの黒星は歴史的な黒星になってしまった。

 今季、巻き返す気構えを示すためにも、"裸一貫"でぶつかった。1日も、けいこに参加する。橋渡し役となった山本は「ラグビー選手は上半身は強いけど、下半身の力はいまひとつ弱い」。日本が出場を目指す、来年のラグビーフランス・ワールドカップ(W杯)に向けて、山本自身も進化が必要。相撲界の名門部屋から、グラウンドの"横綱"を目指す。

 〔写真:ホレホレ、押さんかい! 琴光喜(右)の胸を借りたPR山本は歯を食いしばって押してはみたが...〕
[ 6月1日 8時3分 更新 ]

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