運動時の食事3 補食と運動時の食事のタイミング その2

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 運動直後の摂取のタイミングですが、運動を終えて30分もすると筋分解(糖新生)が進むため、それまでに補給しておきたいのも有ります。このような場合は
 「家に帰って2時間後にバランスよい食事を摂るようにお母さんに言われてます」
というのでは遅すぎますので、運動直後に最低限何らかの補給をしておく方が良いです。
 そうしないとせっかくの運動の効果が身体に現れないばかりか、疲労の蓄積に繋がり、競技成績も下がってしまい、本末転倒となってしまいます。
 これはまじめなお母さんがする傾向に有るので、子供が運動を終えたら甘いジュースを飲ませて、帰ってきてからバランスの良い食事をとらせるようにしてあげてください。


 また、ハードな運動直後でゼイゼイしているうちにしっかりとした食事は摂りにくいです。
 運動の直後は喉が渇き誰しも水が飲みたいですし、また運動中に消費した糖質の補給をまず摂取すべきです。そのためスポーツ飲料やフルーツジュース、プロテイン粉末などを早めに摂り、落ち着いてからバランスの良い食事とするのが理想でしょう。

 このような運動直後の摂取では、炭水化物が体重 1kg あたり 0.7g。タンパク質がその 1/3 が良いとされています。多少多い分には問題ないですが、明らかに何倍も摂るのであれば、それは吸収が遅くなるでしょう。

 また、単糖類やショ糖類でこれだけの量を摂取をした場合は、その後のインスリンショック
http://hisajp.info/2008/07/post_15.html
が明らかに現れますので、1時間後に試合や練習が有るような場合は、デキストリンの様な物が良いでしょう。単糖類やショ糖類は 10g 程度であればそれほ影響は出ないと考えられています。

 これが夜のトレーニング終わりでその後は食事をして寝るだけであれば、単糖類やショ糖類でも問題無いと思われます。
 但し別な問題として、単糖類やショ糖類は LDL を上げると考えられていますので、そのような点が気になる方はデキストリンなどがよいでしょう。

 とはいえ基本的には吸収の早さが重要だと考えています。これはブドウ糖や麦芽糖が早いので、それらを影響の出にくい範囲でブレンドしてみたり、コスト、効果、その他の影響などを考えてみてください。
 私はコストパフォーマンスの点から「砂糖」にしています。
 
 
 また、減量の場合も運動直後の摂取は重要です。通常の減量の場合は体脂肪の減少を狙いますが、運動直後の摂取を行っておくと、筋肉の分解を少なく押さえて、体脂肪に狙いを定めて減少させる事が出来ます。これらはいくつかのエビデンスがあります。
 そのため「痩せたいから食べない」ではなく「痩せたいときは必要なタイミングで必要な量だけを摂る」と考えるべきでしょう。そのようにして少ない筋分解を計算する様にします。
 
 
 補食を摂るか食事で間に合うかのおおよその目安ですが、運動後の食事を30分以内に摂る事が難しい場合は、上記のような方法でとりあえず補食を摂る方が良いでしょう。また時間がはっきりしないような場合も安全策を取るべきでしょう。
 水分は別として、30分程度で食事を摂れる場合は、急いで補食をする必要は無いと思われます。
 
 
 
 次に運動の前の補食ですが、これは運動中のエネルギーを補給する為の物です。例えば3度の食事が「身体を育てたり保つため」だとすると、運動前の補食は「運動をする為のエネルギー」と考えると良い様に思います。
 これは事前摂取などと呼ぶ事が多いのですが、運動の1時間程度前までに、炭水化物を 160Kcal 程度(40g)、タンパク質をその1/3(14g) 程度摂っておくと元気に動けます。

 これはおにぎりのような比較的多糖類の炭水化物がよく、タンパク質はプロテイン粉末などの比較的脂質の少ない物が良いです。
 これは単糖類の摂取でのインスリンショックを避けたいのと、脂質での吸収が遅くなる事を避けたい為です。
 
 
 
 事前摂取か事後摂取か、ビルディング界では賛否両論が有り、筋肥大だけに限ると事前摂取の方が効果的という考えやエビデンスが多い様に感じます。
 私は運動量によって摂取量を決める事が出来るため、どちらかというと事後摂取を勧める事が多いです。運動前に摂って結局運動しなかったでは思うような効果が出ないため、減量の場合には特にこちらとする場合が多いです。

 これは糖尿病などの食事療法で多い、食後に運動をする事とは考えが異なります。
 こういうものは何でも同じではなく、その目的により摂取の条件が変わります。
 運動の目的がどこに有るのかを明確にしないまま「食後に運動が痩せる。なぜなら糖尿病の指導がそうだからだ」「筋肥大は運動後の摂取が良い」「いや、事前摂取だ」となると本質を失ってしまいます。
 これは機会があれば改めて書こうと思っています。
 
 
 
 また、運動中の補給ですが、これは試合に合わせるのが大事と思います。
 例えばサッカーであれば水はいつでも取れますが、栄養の有る物はハーフタイムしか摂れません。これを練習時から楽な方法をしていると試合のときに困ります。
 マラソンなどでは走りながら飲む練習をすべきです。糖質が多い物ですと、掛かるとベタベタになります。
 このように試合の条件を考えてみる事が大事でしょう。

 また、このような運動中の摂取の場合には、5g 程度の糖質の摂取であればインスリンショックの影響はほぼ無いでしょう。そのためエネルギー源として働く糖質の摂取が重要と考えます。
 また、疲れると血糖値が下がると頭がぼーっとしてきて試合運びが上手く行かない事も有りますので、そういう意味でも糖質の摂取は重要でしょう。

 アミノ酸の摂取が重要かどうかは難しいところですが、BCAA などは筋肉中で代謝されるのと、気がしっかりする感じが有るので、無駄にはならないと思います。


 ビルダーの方は筋肥大時は運動中に摂取する方が多いですが、数時間にわたる長時間のトレーニングをする本格的なビルダーの方でない限り、私としては不要に思います。理由として一般的な方が2時間もダラダラとトレーニングをするようでは肥大効果も薄れると考えられる為です。
 そのためそういうレベルにまだ至っていない方がトレーニング中の摂取をしても、あまり意味が無いでしょう。

 また、このようなハードなトレーニングを長時間する本格的なビルダーの方の場合は、エネルギーの元である糖質を主とするのか、それともアミノ酸にするのか。どちらが良いかは条件により異なると思います。
 糖質や BCAA は上記の理由により集中がしやすいと感じます。EAA であればプロテインの事前摂取の方が効果的に感じます。
 
 
 
 一日を通しての全体の食事の組み立て方ですが、一般的には夕方に一日1回の運動でしょうから、朝昼は普通に食べて、おやつの時間で運動前の補食をし、運動をして、運動後に補食をし、家に帰って夕食、場合により寝る前の補食とする事が多いと思います。

 これらを一日中運動をする合宿のような場合には、運動に影響が出ない、運動の効果を出しやすい様に考えて、一日の食事のバランスを取ると良いでしょう。
 午前中の練習は慣れないと結構きついので、朝はあまり食べられない事も多いです。
 そのため、朝食(軽い事も多い)、午前の運動、運動後の補食、昼食、昼寝、補食、午後の運動、運動後補食、夕食、寝る前の補食などの形が多い様です。
 食べるか運動するかそれ以外は寝ている感じです。



http://hisajp.info/2008/09/post_67.html


http://hisajp.info/2008/09/post_69.html

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 ビルダーの方は筋肥大時は運動中に摂取する方が多いですが、数時間にわたる長時間のトレーニングをする本格的なビルダーの方でない限り、私としては不要に思います

とあるのですが、不要というのはBCAAの事ですか?
それとも糖質の事ですか?

お問い合わせありがとうございます。現在療養中のため、内容についてのコメントを控えさせてください。申し訳ありません。hisajp

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このページは、hisaが2008年9月15日 18:53に書いたブログ記事です。

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