たい (身体の構造、はたらき)の最近のブログ記事


 心理学の世界では、行動が思考に与える影響の方が、思考が行動に与える影響より強いと考えられつつある。
 そうなったのは、ここ10年くらいか、もうちょっと新しいかもしれない。

 運動の世界では、メンタルトレーニングとして、調子が良い時と同じ行動する事で思考をポジティブにコントロールする技法がある。
 メンタルトレーニングは競技という狭い対象から始まったが、この方が行動が思考へ与える影響の、研究や実践が長いかもしれない。
 心理学とも近いだろうが、宗教的な方向からのアプローチの先生も居られ、様々なバックグラウンドが見つけられる。


 一般的には、思考が行動に影響を与えると考えられているが、実はまったくそうではないのである。
 身体の行動の方が、頭の思考よりも、影響が大きいのである。


 トレーニングがうまく行かないで習いにくる人は、その時は強烈なインパクトを受けるが、家に帰る頃には忘れて、翌日からまた同じトレーニングを繰り返す。
 そういう人が9割くらい居る。

 トレーニングを習っても、それだけでは何も変わらない。
 知識の9割は本で手に入るが、それだけでは何も変わらない。

 行動が伴わないからだ。
 行動が変わらないと、考え方は変わらない。


 正しくトレーニングして行くと、トレーニングに沿った正しい結果に繋がるので、結果を正しく受け止め、正しく考えられるようになる。

 正しくトレーニングしていないと、トレーニングが欲しい結果に繋がらない。
 自分の描いた理想と違うので、結果を正しく受け止められず、問題点を正しく認識できない。
 そうなると、よけい正しく組み立てられなくなり、いつになっても欲しい結果は得られない。


 だからうまく行っている時はうまく続き、うまく行かない時はうまく行かない。

 欲しい結果に繋がらない時は、行動を変えてみると良い。
 行動を変えれば、やがて欲しい結果に繋がる。


身体の捻れの発生の原因

 身体の捩じれというのは、左右バランスと前後バランスの複合的な結果で、かつ単独的なものもあります。
 また同じ原因でもどう出るかは人により異なり、良い様に働く事もその逆の事も有ります。

 例えば左膝だけが曲がって(屈曲)いるとします。
1、まっすぐ落ちると左肩が下がる。
2、左膝が前へ出る事で左骨盤が前へ出ると、時計方向に捩じれる。
3、左腰が後へ落ちると、反時計方向に捩じれる。

 と、3つくらいの異なる症状が現れます。大抵は2番目です。

 このときに今度は右の足裏の形状でアーチが落ちているとすると、右膝が内へ入る事でこっちの方が影響が強いとすると左膝の症状は消されるかもしれませんし、上体が前傾するかもしれませんし、どう影響を及ぼすかは人により異なる訳です。
 下半身が時計回り、上半身は逆と言う事も有ります。

 これにジャンプ動作を伴うと、着地の際は癖の強い方向へ身体が使われて衝撃を吸収する傾向があり、その癖が増長される事が多いです。
 そうすると、その方向の拮抗筋が伸展されるので、それら拮抗筋は発達する傾向が有ります。
 縮むときは伸展が強い方が収縮幅が広いので、これでも発展する訳です。
 これにより、どちらかの大臀筋(ケツ筋)が発達し、逆側の大腿四頭筋が肥大したりするわけです。

 またその中でも片脚は外側、逆脚は内側が発達したりします。
 この様に左右や内外では異なって肥大する場合が多くあります。
 
 
 
身体の捻れが身体の動きに与える影響

競技の例

 球技の様な片側動作

 大抵の球技は左右非対称の動きです。

 野球のバッティングは連続する打撃動作ではないので(1投球につき1スイング)、捻って溜めておいたエネルギーを発揮できるので、どちらかというと捻りを上手く使える割合が高い様に感じます。

 これがテニスだとすると、これは走って打ってを連続し、かつフォアハンドとバックハンドが有ります。こういう競技の場合は左右のバランス差を自分の都合だけで使いにくいので、振られるのに強い選手がいれば、片側だけ強い選手がいたりします。

 これがサッカーだと、これは前方向へ移動しながらの攻撃が多く、突然のブロックやコンタクトも有ります。上手い選手は自分の間合いで攻めていけるように感じます。


 陸上やスキーのような両側動作

 これが陸上競技やスキー、自転車のような動作では、また異なります。

 ランのような運動では、捻りが出るのは長距離では疲れてしまいますし(経験の少ない選手は左右の非均等が多い)、短距離ではタイムロスが増えます。特に短距離では動きが速い為にワサワサと左右に振られ易いです。
 筋としてみると片側の腿上げが弱かったり、腕の振りは大胸筋/広背筋のバランスで前後ろの片方が強かったりで、やがてそれが動作中に蓄積して無駄が増えるような気がします。
 これに近い動きはスケートにも出やすく思います。

 スキーやスノーボードではどちらかの重心割合が高く、片方のターンが上手くいかなかったり、ショートターンの連続が苦手な方の場合などは、左右の捻れが原因の事も多いです。

 自転車ですと、ペダルを踏む動作と引き上げる動作(注:競技用の自転車は足を固定しているので、踏むだけでなく引き上げ動作もしてペダルを回転させ、自転車を進めています)と、上半身によるハンドルの引きつけが有ります。その際上半身が弱かったり左右の片側が弱くて捻れが出ていたりすると、昇りが弱い(連続動作が途切れる為)とか片方のコーナーが怖いなどが表れます。
 また、踏み込みと引き上げの運動ベクトルやタイミングがずれていると、またそれも面倒です。


  コンタクト競技

 すもうは重くて強い人は大抵真っ正面を向いています。
相撲に限らず、どっしりとしたひとは捻れが少ない様です。

 どちらかというと軽い人の方が捻れは強い様に思います。
「斜に構える(はすにかまえる)」という使いです。
 そうした方が力の発揮は強まる例もある訳です。

 ラグビーも強いバックスは正面を向いているような感じを受けます。

 柔道は重量級でも片側動作が多い為か、どちらかに寄っていると言う気がします。

 空手やボクシングは両側動作とも片側動作とも言えます。
 構えやジャブとストレートのような違いも有るので、右利き左利きや身体の癖が現れてきます。


音楽

 楽器演奏とすると、どちらかというと両手を均等に使うようなパーカッション(ティンパニ)があったり、同じ打楽器でもドラムスでは片側動作が多くなります。
 ピアノは両方を有る程度均等に使いますが、大抵は曲自体が右手と左手でリードと伴奏に分かれているので、左右が不均等になってきます。
 弦楽器は完全に非対称です。
 管楽器はここに呼吸動作が加わるので、またちょっと違う感じになります。

 奏者の場合は、動きが有るとしても楽器の演奏に必要な動作の為、身体の無理はあまり生じない様に思います。演出上無理な動きをするのはあまり無い為です。
 しかし身体のバランスが悪くなってくるとしっくりと来ない事が多い様です。


 歌は、合唱の様に正面向いて歌えるのであれば、左右均等であり呼吸もするのでほぼ均等動作です。
 ソリストでは演出も有るので何とも言えなく、また動きを伴う事も多いです。
 マイクを持つような音楽であれば、これもまた片側動作になります。

 バランスが崩れてくると、管楽器や歌い手の場合は「息が入らない」というのがあります。こういうのは体幹の緊張から来ている事が多いので、早めに対処する方が良いでしょう。


一般的な生活

 一般的な生活では連続する早い動作が少ないので、捻りが動作に影響を与える事は少ないと思います。
 しかし、だるいとかそういう不定愁訴(ふていしゅうそ)の原因としてはどうなのかなあと思う事が有り、そういう場合は運動不足であったり、悪い姿勢の継続で崩れている事が多い様に感じます(これは病気に関する見解では有りません)。
 
 
 
身体のアライメントの調整

 このように身体のバランスは、左右バランス、前後バランス、捻りの3通りがあり、それぞれが絡んでいます。
 こういうの簡単に「身体のアライメント」のように言う事が多いです。
 静的なものと、動的なものを両方含みます。

 身体アライメントも自分の体癖に合った方向のズレと動きに上手く合致点を見つけられると、簡単に動作が向上する事も有ります。
 しかし大抵はそういうのは意識していないで、常日頃から、動きが良くなったり悪くなったりします。

 また、それが順次進んだ症状であれば本人も慣れていきますが、急に発生したりすると慣れない場合も有り、原因不明で調子が悪いと言うような事も多いです。

 このようなアライメントの崩れは、ある一定の範囲で発生している場合では、問題が露呈しない様に思います。逆に調子が良かったりします。
 しかしそれが限度を超えると、やはりどこかで破綻します。
 通常であれば、寝て起きるまでに元に戻る訳ですが、刺激が強かったりすると数日戻らなかったり、しばらくそのままの事も有ります。


 そのためある程度の範囲内で、かつ自分の調子の良い方向にしておきたいのですが、行き過ぎると困るので、その調整をどうするかです。

 ベーシックな基礎トレーニングの方が矯正効果が高く(バーベルデッドリフトやバーベルスクワットなど)、そういう基礎的なトレーニングは上達してからも必要です。最初のうちはこういう事で整える事が出来ます。
 また前述した「朝の体操」のような身体動作だけでもだいぶ効果があります。

 もうちょっと進んで、前後左右や上下の筋バランスが整っていない事が原因だとすると、不足している種目を行う事で全身を整えやすくなります。これは簡単に言うと嫌いな種目をやる事です。ベンチプレスだけやっている人は他のもやってください。
 この段階でも、前述した「朝の体操」のような身体動作だけでもだいぶ効果があります。四股のような動きは一般生活ではほぼしないので、臀部、背筋などに刺激が加わるので、そういうものでも矯正されます。

 運動やトレーニングの初心者の方の場合は、最初はこれら上記二つのような身体状態の事が多いので、バーベルを使ったベーシックな基礎トレーニングと、弱い部位を強くする方向で整えるのが普通でしょう。
 それに身体の使い方を良くするような刺激を与えるともっと良いでしょう。
 とはいえ急に激しく行うのは影響が大きい場合も有りますので、ある程度の時間を掛ける必要があります。

 強すぎる部分を弱くする方法も有るのですが、初心者の段階で個人で行うのは技術的にも理論的構築も難しいので、強化の方向が多くなります。
 プラス方向に行くのは組み立てやすいですが、逆は理論的にも技術的にも大変です。


 アライメントの崩れが発生している原因が、トレーニングによる矯正で整いにくいような足裏や骨格に起因するような身体的な条件であれば、それを優先して整えるような筋トレをしたり、インソールを使うなどが良いと思います。
 この筋トレとはかなり局所的なものになり、ポストリハビリ的な行為になります。
 また、この段階では自力だけでは整えにくいので、身体に詳しいカイロや整体、鍼灸やマッサージ、運動指導者などの力を借りるのも方法でしょう。

 医療機関での治療が必要なものの話しは、トレーニング論や身体論から外れるので、ここでは省きます。
 


http://hisajp.info/2009/04/post_238.html



 人間が立っていられる理由、動ける理由

 人間は立って静止している時は静的バランスが中立で、そのため停止していられます。
 この重心を前側にずらす事で前方へ歩きます。後の場合は後方に重心をずらします。
 左右の方向に動くカニ歩きも同じで、重心が左右のどちらかへずらす事で移動します。

 前後歩きだと着地している方の足は 100% の体重を支え、遊脚(空中にある脚)の荷重は 0% で何も支えていません。
 同様に右側にずれるとしたら右脚だけで体重の 100% を支えていて、クロスしている最中の遊脚の荷重は 0% です。
 1% でも荷重が残っているときは、その足は浮かないのです(これを突き詰めていくと動作がすごく改善されます)。

 重心のずらす幅が小さい時は、移動速度は遅くなります。
 ずらす幅が大きいと早めに遊足を着地させないと転んでしまうので、交互に早く着地させていると、やがて走る事になります。


 このように人間は重心の崩れを使い重力を利用して動くので、エネルギーが少なくて済みます。
 4つ足の動物の場合は、重心位置は人間の様に足の外側にずれる事は無いので、筋力で動く割合が高くなります。


 止まっているときは足裏の前後長以内に重心位置が収まっていないとなりません。そうでないとどこかへ動いてしまいます。

 その前後中立位置が悪いと動いてしまうので、そういう人は力を入れてバランスを合わせる様にしないとなりません。
 こういう立ち姿勢のバランスは大きな力が要らないので主に遅筋が使われます(後述、「サイズの原理」参照)。

 しかし本来なら何も力を入れずに立っていられるものが、力を入れないと立っていられないと言うのは、無駄な力の発揮と言えます。
 無駄な力といっても、自分が意識して行う様な力の発揮ではなく脊髄反射で自働的に行われているために、自分では力を出しているとは感じない場合も多いと思います。

 しかしこのような無駄な力が大きくなると筋肉は常に働いている事になるので、緊張が継続すると固くなったりします。
 または元々力が入っている上に急な動作が加わるとその部位の速筋が動員されるため、特定の部位が肥大したりするのではないかと考えています。
 やがてこういう事が筋の腱化にも繋がるのかもしれません。


(サイズの原理とは?)  ぐーぐる
 筋肉が働く際は「サイズの原理」と言う法則にのっとり、小さい力の発揮のときは小さい筋肉から使われます。これは省エネに役立ちます。
 厳密には小さいと言うよりは、小さな単位で働ける筋肉と言う方が正確でしょう。そしてこれらは主に遅筋です。

 何かに足が引っかかって転びそうなときは、「サイズの原理」を無視して速筋が急に収縮して、安全を保ちます。
 高齢者の方が若者と較べ転びやすいのは、そのような急な動きを行うだけの筋量が不足しているためと考えられます。
 
 
 
 なぜ前後バランスが崩れるのか

 身体の前後バランスは、左右バランスと同様の理由で崩れてきます。

1、足裏のアーチの形状
2、足首から大腿骨までの関節の可動範囲や骨の長さの違い
3、腰から上の関節の可動範囲や骨の長さの違い
4、歯の噛み合わせ
5、運動や生活などの様々な活動の内容により、筋肉の付着バランスが良くない
6、恒常的な悪い姿勢によるもの

 私見では、前後バランスの崩れが起こる原因には比較的5番以降が多い様に感じ、対して左右バランスでは1〜4番が占める割合が高いように感じます。

 前後バランスですが、例えば顎が上がっている(前に出ている)様な例では、重心が前になりバランスを整えるために背中の緊張が高くなる事で後ろ重心になったり、またはそれにより腹筋群が力を発揮しなくなり腹が出て前重心で落ち着いているような事も有ります。

 ベンチプレスが好きな人は大胸筋は短縮しやすい為に腕がつられて前へ出て来て前重心になったりします。
 また腹筋が弱い人の場合は骨盤の前傾が強くなり、それにより重心が前へ出たり、逆にエビぞりが強くなり重心が後ろに出る事も考えられます。
 それらがやがてハムストリングスやカーフの緊張を招いたり、さまざまな体幹の筋群の緊張を招いたりし、それによりますますその方向の動きが増長されていくのではないかと考えています。

 上部の方に原因が有る場合はそれが結果的にどちらに働くのかは都度変わるので、同じ原因でありながら症状は逆の方向に表れる場合も有ります。
 前述の左右バランスの様に足裏の原因から発生している場合は比較的原因と症状が一致しやすいのに対し、上方の場合はそれとは異なる様に感じます。


 ちなみに元から男性は前屈が弱く、女性は後屈が弱い傾向に有ります。
 特にBMI が高めの、やや年配の男性や女性の方は、それぞれ前屈や後屈がしにくくなる傾向が表れてきます。
 これは前後の重心がずれている為にそれに拮抗する筋が常に使われていて筋の緊張が続き、それを長い間続けているとそれらの筋がほとんど伸展しなくなる為ではないかと考えています。

 そのためこのような場合は色々原因を探り、弱い方を強化するなり、または短縮している筋を伸ばす様にすると良いでしょう。
 
 
 
 前後バランスを整えるのは危険が少ないが難しい

 これは私がまれに言う「身体に表れている症状そのものを直すと、やがて原因が直る事もある」のようなものに近いです。
 逆に原因を直さないとどうにもならないものも同じような割合であります。

 私の見る範囲では、前後バランスの崩れは比較的上半身の緊張が他の部位に影響している事が多いので、この矯正の方が左右バランスより危険性が少ない様に考えています。

 例えば前屈が難しいのであれば、それそのものを改善していく事で良い結果に繋がります。
 これは単純に「前曲がりの柔軟体操」をすれば良いと言うのではなく、弱い筋を強化して、短縮している筋を弱めるなり緊張を取るなりでバランスが整えやすいです。
 こういう硬い人に前曲がりの柔軟体操をしてもらっても、反射で余計固くなったりします。

 そのためこのような場合は拮抗筋のコントロールを覚える事で曲げるのも有効です。これは主動筋に力を要れると拮抗筋は脱力するため、その特性を活かして行う方法です。
 また、PNF, トリガーポイントの使用で上手に緩む事も多いです。

 しかし、性差も大きく指導者が当然と思うような事が全く出来なかったりするので、お互いが違いすぎてどうして良いのか見えない事も有ります。
 そのためそのような場合は同性から指導を受ける方法も有るでしょうし、何らかの分析手法に長けている方に依頼するのも方法でしょう。

 もっと難しいのは、このような前後バランスは体癖であり、それを長い間続けているので、本人からなかなかその癖が抜けないものです。
 一回整えても家に帰ると同じ身体の使いに戻るので、本人の意識が変わるまでは同じ事を繰り返してしまうため、改善まで結構時間がかかる事が多い様に感じます。


http://hisajp.info/2009/04/post_236.html


http://hisajp.info/2009/04/post_239.html


身体の左右のバランスは、左右対称が良いのか?

 身体の左右バランスは、すべてにおいて左右対称が良いのかと言うと難しいです。

 ある程度までは左右バランスが変わってもどうにかなりますが、それ以上になるとどうにかした方が良いでしょう。

 しかしまたそのような場合は、「安易に中立に戻すだけで良いのか?」という点が疑問になります。

 なぜならば、身体のバランスが崩れるにはそれなりの原因が有るからです。
 その原因を直さないまま症状だけ直しても、果たしてそれが本質的に身体に負担が無いのかと言う事と、原因を残したままだと同じ症状が再発すると考えられる為です。
 
 
 
身体の左右のバランスは、どのようにして崩れるか

 左右バランスが崩れる原因として、簡単に思いつくのでこのくらい挙げられます。

1、足裏のアーチの形状
2、足首から大腿骨までの関節の可動範囲や骨の長さの違い
3、腰から上の関節の可動範囲や骨の長さの違い
4、歯の噛み合わせ
5、運動や生活などの様々な活動の内容により、筋肉の付着バランスが良くない
6、恒常的な悪い姿勢によるもの

 これは先天的なものも有れば後天的なものも有ります。
 また怪我や骨折に因るのか、日常的な身体の使い方の悪さに因るのかの、違いが有ります。


 身体のバランスのずれとして表れるのは、主に、
・肩や骨盤の左右の上下の高さがずれる症状
・捻れを伴う症状
の二つの方向性があり、大抵は両方が混ざっています。


 例えば、1番目に書いた足裏のアーチとして、これらのアーチは母指丘、小指丘、踵の3点を結んだ線で支えられていますが、骨折をするような走りをしたり(疲労骨折含む)、高いところから飛び降りたり、格闘技での蹴りや床の踏みつけなどを強く行うと、崩れてくる事が多いです。

 足首はたくさんの骨が集まって一つの様に働いている骨(骨のブロック)ですが、それぞれを小さな靭帯が結びつけています。
 その靭帯が伸びるような場合が有れば、足裏の大きな腱が伸びるような事も有ります。また骨折やその後の癒合も考えられます。

 これらに至った場合、大抵は母指丘と踵を結んだアーチが落ちてきます。

 この母指丘と踵を結んだアーチの高さは、もともと1cm程度かもうちょっと低いです。

 しかしこのアーチが落ちた場合は、その脚の膝が内旋か内転し、膝関節では内側の間が開き外側が狭まります。
 その側の骨盤がつられて前転し下がり、椎骨はその状況によりどちらかに曲がり、その側の肩は下がる事が有れば上がる事も有ります。
 首や顎関節等にも影響が及びます。

 これが左右の足のどちらか片方だけなのか、両方ともなっているのか、色々な組み合せが有ります。
 足裏が接地面の基本のため、足裏のアーチの影響だけ考えても、身体に表れる結果は様々なものが挙げられます。


 足裏のアーチに限らず、身体の対称がずれたそういう形で生活していると、やがてそれに順応し筋肉の付着する位置が変わり、関節や靭帯等や可動範囲なども変わってきます。

 そういうのが色々積み重なって現在の身体バランスが成り立っている訳です。
 
 
 
それでも左右対称の方が良いのか?もしそうならなぜ?

 そのため、完全に対称な身体というのはほとんど無いのじゃないかなと思います。
 また、その必要性が有るのかどうかともいえます。

 これを読んで心配されたとしても、今まで問題に気付かなかったのならこのままでも良いともいえます。

 また、運動の場合は非対称な故に一方向における能力の向上に関与する場合も有ります。
 またその非対称での慣れも有り、その場合は直した方が良いのかどうなのかというと、どちらにも働きます。

 しかし「美は左右対称」ともいわれており、そういうのが欲しい人は左右対称の方が望ましいのかなあと感じます。
 女優さんやモデルさんは左右のバランスが近い方が良いなと感じます。


 筋肉の一部に変な緊張が有ると、内臓に緊張が発生する場合も有るようで、
「この人あの部位が悪くなりそうだなあ」
と思う事もあります。内臓などを含めて表面に見える様に感じる事が有ります。

 また、脚や腰や、その上の胸や肩の筋バランスなどは、こういうところに起因している事が多く有ります。
 踏みしめる様に足裏に力が入っているような事も有ります。
 そうすると、普段の姿勢の中でも、またトレーニングを行うにしても、予定しないところに筋肉が着いたり、欲しいところに着かなかったりします。

 こういう考え方では、トレーニングをしていたり一般的な生活をしている場合でも、健康に影響を与えるような事もありえる訳です。


 しかし、身体の癖を直すというのは、本来は正しい方向にするのですが、最初のうちは結構疲れます。

 比較的体力の強い人は平気ですが、弱い人だと熱が出たり余計凝ったりする事も有ります。
 数週間で落ち着いていきますが、「やってすぐにどう」というものでもありません。
 そのためある程度時間を作って様子を見ながら整えるとなります。

 しかし私はそれらを差し引いても、きちんとした身体バランスにする方が良いと考えています。
 
 
 
どのように左右のアンバランスを整え、対象に近づけていくか

 身体のアンバランスにはいろいろな原因が考えられるので、どの様に整えていくかというと都度変わります。

 原因を直さないで症状が現れているところだけを整えるのだと、全身のストレスは却って高まると私は考えます。

 程度にも因るのですが、その左右バランスのずれの原因が
1、足裏のアーチの形状
2、足首から大腿骨までの関節の可動範囲や骨の長さの違い
3、腰から上の関節の可動範囲や骨の長さの違い

これらにある場合は、良いインソール(足底板)を作る方が良いでしょう。

 インソールを履くと半分くらいは矯正されるので、それで足りない部分をトレーニングや四股などの調整法で整え、やがてレジスタンストレーニングで筋肉の着く位置などを整えていきます。

 インソールは結局は分析者と製作者の腕で、身体の構造や動きを知っているかという事が大事です。
 私の場合は、私が身体の分析とその後のトレーニング計画を立て、その内容を外部のインソールの専門家と検討し、立ち会いで製作をお願いする事が多いです。

 調整法やトレーニングの方法も含めての矯正ですから、見開きやネットには気をつけて下さい。
 現地で作られる場合は、きちんと納得するだけの説明をしてもらえるかで、確認してください。
 体調が悪くなることもあるので、多少遠くても最初からうちみたいところに問い合わせてみるのも方法です。


4、歯の噛み合わせ

 これは、重要と思います。
 噛み合わせ処理、矯正、マウスピースの使用等が挙げられます。

 それら噛み合わせ処理や矯正をする事で、「力が出やすくなった」の旨の話しは良く聞きます。
 また、噛み合わせを良くするマウスピースの使用も良く行われています。

 また、有酸素系なのか、パワー系なのかも以前はどちらかが関与が強いと言われていた覚えが有るのですが、私はどちらにも効果的だと考えます。

 噛み合わせ処理は都度比較的短い時間で行えます。
 歯の矯正は時間がかかる場合が多く(通常は2年強)、また矯正中は痛みが出たりします。
 また、コンタクト系や転ぶ恐れのあるスポーツでは、矯正具による口腔内の傷が出やすい事も挙げられます。
 そのためスポーツを行う旨で、また試合の前後には時期をずらすなども考えられるので、歯科医の先生と相談されてください。

 マウスピースの取り扱いは法的なものはよく分からないのでが、歯科医以外でも作っている方がおられます。
 マウスピースは完成までに何度か足を運ぶ必要が有る事が多く、一定の期間で再調整も必要ですが、一度作ると比較的手間も要らず、コンタクトスポーツでは歯の安全も保てます。


5、運動や生活などの様々な活動の内容により、筋肉のバランスが良くない
6、恒常的な悪い姿勢によるもの

この様な場合は、トレーニングや体操(操体)で整えていけば良いと思います。
 このような場合は、四股などの一連の動作をするのと、レジスタンストレーニングとしては左右のアライメントを整える種目を行うのと、弱い部位を強化するとなります。
 
 
 
 原因を探ると、実は1〜3という事も結構有るので、そういうのに興味をお持ちの方はご自身で勉強されるか、問い合わせてください。
 どちらかと言うと、多少の1〜3がきっかけで5、6に様々な症状が表れている、と言う方が正しいかもしれません。

 5、6の直す方法から手を付けて、それで難しければ徐々に高度にすると言うのもありでしょう。


 運動や美容の場合はほんのわずかな違いが重要になる場合が有りますが、医療の場合は側湾症として明らかでないと手をつけにくい様に思います。その場合も運動面から見た場合は、ざっくりとした方法の方が多い様に感じます。

 「健康です。問題有りません」となると医療機関ではそれ以上進まないので、そのような場合は運動を通してバランスを整えていく事になります。


 そういうのを探りながらいろいろな方法で正しい姿勢にしていくと、やがて無駄な力が抜けて楽に動ける様になってきます。



http://hisajp.info/2009/04/post_235.html


http://hisajp.info/2009/04/post_238.html


 朝の一連の調整法は今回のものでほぼ完了です。

 一番最初にする四股一連、
http://hisajp.info/2009/04/post_233.html

 次の腰回し
http://hisajp.info/2009/04/post_234.html

 を終え、それからこれを行います。私が「バレリーナ立ち」と良く書いているものです。
 ここに書くものは、バレエの先生方の言われる事とは違うかもしれませんが、身体の調整方法の一部として考えています。


 この姿勢をとると、大腿骨が外旋され、大腿骨関節から骨盤への入力で、骨盤の前傾が強くなります。
 そうなると、椎骨もちょうど良い位置に来やすくなるので、正しい姿勢が作りやすくなります。

 これら一連を行うと、胃の辺りが伸びる感じを受けたり、ゲップが出たりすると思いますが、それは良い方向です。

 また、胸は自然と張り、顎は良い具合に引けます。
 顎が出るように前方を向くのは重心地が前に行くのであまり良くなく、そういう傾向の方は結構おられるのですが、その矯正にも良いでしょう。

 また、腹筋や椎骨の形状で、女性の方の場合は、腰椎の前傾が強くなりすぎる場合が有ります。
 そういう場合は、姿勢を正しくするための腹筋のトレーニングの目安になったり、または既にある腹筋やペルビックでいかにして押さえる事も学べます。


------------------------------------------------------

a, 左右の踵を揃えつま先を180度開いて立ちます(第一のポジション)。
 きつい人は出来るところまでにしましょう。
 足裏全体を床に着けます。ルルベで上げる必要は有りません。


b, 最初のうちはフラフラするので、何かにつかまって構いません。
 体重が左右均等になる様にバーに正面からつかまるのが良いですが、家庭でされる場合はローチェストやベッドボードなどに両手で、それが難しい場合はテーブルに横を向いて立つ様にして、どちらか片手を順繰りに使って支える様にしましょう
 イスの背も使いやすいです。

 つかまらなくて良い様になったら、アン・バー(手のひらで丹田を包むようなポーズ)、アン・ナヴァン(手を前に持っていく)等も良いでしょう。


c, ポーズを取ったら、膝の間を付ける様にして、お尻と内転筋群に力を入れ、膝を伸ばします。

 痛くないところで止めて、足裏の位置をちょっとずらしたりして、ちょっとずつ探っていきましょう。

 足裏の親指に重心が掛かっている場合は、大抵前傾しているのでそれを戻しましょう。 

 O脚や、膝が逆に沿っている場合は、内転筋やハムストリングスが弱くてこの姿勢が取りにくい事が多いので、それらの部位のトレーニングの目安になります。
 
 
 
 以下はオプションです。
d, これらが問題なくできる様になったら、足を第3ポジション(片足を前へ出し、踵が重なる(被る)程度に動かす)のも良いでしょう。第2、4、5などは姿勢矯正とし考える場合は特に不要でしょう。


e, その後もうちょっと刺激を入れたい場合は、ドゥミ・プリエ(第一ポジションから膝を外に曲げる)などをするのも良いでしょう。

------------------

 痛みが出るときは、やがて良くなってくるのか、それとも大腿骨関節そのものの痛みや、その回りの靭帯が引っ張られる事に因る痛みなのか分からないので、無理しないでください。

 医師に禁止されているような場合はお止めください。

------------------------------------------------------

 これら四股から一連の動きをしながら、身体の調子をと整えていく様にします。
 焦って良い結果を求める必要は無いので、ゆっくり進めてください。

 重心位置を感じたり、良い姿勢を作るのが目的ですので、慣れてきたら適当に手順を変えたりして、やりやすい様にアレンジしてください。
 やがて自然と良い姿勢が保たれる様になります。

 また、起床時の体温の上昇や日々の調整法、運動前のアップとして非常に良い方法ですから、これらを上手に取り入れてください。



http://hisajp.info/2009/04/post_234.html


http://hisajp.info/2009/04/post_236.html


 腰回しをここで書くのは初めてかもしれません。

 腰回しをする場合は、四股や一連
http://hisajp.info/2009/04/post_233.html
をした後、バレリーナ立ち(1番のポーズ)の前が良いでしょう。

 これは、大転子の辺りの稼動がギスギスする感じを受けた方や痩せ過ぎの方、または足裏の接地感が悪く感じる方や重心バランスが取りにくい方はされると良いと思います。

 また、どうも身体がしっくり来ないときなどにもけっこう楽にできる調整法です。

----------------------------------------------

a, 中立位置で立ちます。

b, 腰の位置に手を置く。
 大天使の辺りの動きが悪く感じる人や、バランスが取りにくい方は、左右の大転子(大腿骨関節<股関節>のグリグリしている所)に横から手のひらをやや強めに当てる様にしてもよいです。

c, 身体の中心軸を保つ。

d, 腰だけを左右のどちらかに移動し、頭の位置は最初に位置に置いておくようにします。

e, そこからゆっくりと片方向に数回回す。
 腰のグリグリを押さえている方は、その位置を押さえていてください。
 早く回す必要はありません。


 前頁の
>3、腹式呼吸(中立位置で数回。左〜中立〜右と重心を移動しつつ数回)
の時は、頭の位置は腰骨の真上に乗っていましたが、これは頭は常に足の位置の真上になります。


  正面図

    ○     頭の位置はぶれない
   / \
  /   \
 ==   ==  腰だけぐるぐる回す
 \\   //
  \\ //
   ー ー    足の位置はぶれない


 この時、足の接地位置と頭の位置は変わらずに腰だけ回し、頭の位置はずれない様にしましょう
 鏡を見ながら行うか、撮影すると良いです。
 腰に連れて頭がグルングルンと大きく回るようだと良くないです。

 また、胃の辺りが落ちくぼんでいないか、でっちりやヘッピリになっていないかを確認しながら行ってください。


f, やりやすい足の幅が有るので、適度に探ってください。
 姿勢矯正の効果としては数回回せば良いでしょう。
 ただし最初で分からないうちはもっと回しても良いでしょうが、きつい場合も有るのでそのときは適度に終えましょう。徐々に上手くなる様にしてください。

g, ある程度出来たところでいったん中立へ戻す。

h, 今度は先ほどと逆の方向へ腰を出し、そこから逆方向へ同じ程度回す。

i, 必要に応じて、四股に戻る。


----------------------------------------------

 簡単ですが、中心軸を作り頭を回さない様にするのはのは難しいです。


 慣れて来たら回す際に
・ペルビック(骨盤)の傾斜を強めるのか
・脚で回る様にするのか
を試すともっと良いでしょう。

 大抵は脚で回しているので、ペルビックの動きにするとすごく疲れます。この方がやがて高度な動きに繋がります。
 ペルビックの動きになるとエッチいので、人前でされるときは気をつけてください。


 また、大腿骨関節の調子を整えたいときは脚で大きく回すと稼動が広くなるので良い様です。

 立ち位置(立ち姿勢)を整えるときは、まずはこれが大きく行える様になる必要があります。
 それが充分行える様になったら、輪の直径を徐々に小さくしていってください。
 その収束した位置が、腰の前後左右のバランスが中立の位置なのではないかと思われます。


 腰痛のお持ちの方や妊娠中の方は気をつけて様子を見ながら行ってください。


http://hisajp.info/2009/04/post_233.html


 調整には、活動前に行うものと休む前に行うものの二つがあります。

 今回は、活動前に行うと良いと思うものをいくつか書きます。

 目的は、身体が動きやすくなる様に、体温の上昇などをさせたい為に行います。
 行うタイミングは、朝の起きて暫く後と、運動などをする直前、活動の合間(一服して仕事を再開するとき)などです。

 朝に行うときは、起きて朝一番に行う方が効果が高い様に感じます。
 寝ている間に冷えていた体温は朝になるにつれて自然に上がりますが、それを軽い運動でさらに上がる為に余計そう感じやすいのだと思います。

 しかし心肺への負担は逆に高くなるはずなので、リスク要素(各種既往症)のお持ちの方は無理をしない様にされてください。特に寒い冬の時期は部屋を暖めておくと良いです。くれぐれも気をつけて行うようにしてください。

 また、事前に暖かいお茶を飲んだりするのも良いでしょう。
 朝食をする前にこのような軽い調整でもしておくと、お腹の調子も良く感じます。

 運動量そのものは心拍数が大幅に高くなるような強度ではないです。

 出来れば、正面に鏡が有ると良いでしょう。

 また今回書くこれらの方法は科学的エビデンスが有る訳では有りません。ただし当事者の方に主観的判断をお聞きすると、ほとんどの方が良い方向に感じています。


--------------------------------------------------------------

1、四股(2、3回)。
2、四股捻転(四股の姿勢での左右の肩入れです。片側1〜2回)。
3、腹式呼吸(中立位置で数回。左〜中立〜右と重心を移動しつつ数回)。

---------------------------------

1、四股(2、3回)。
http://ameblo.jp/futenou/entry-10003634881.html
(普天王関のブログです)。

 このページの1の写真の姿勢をしてください。

・足幅は最初は適当で良いです。何回かやるうちに決まってきます。
・背筋をまっすぐに伸ばした姿勢から、重心をまっすぐ下げるようにする。
・臑と上体を平行にする。
・膝(大腿)と足(フット)の方向を一致させる
・下がった位置から最初の立ち姿勢に戻す。
・最初のうちは何度かやりつつ、足幅、足の向きを調整し、一連の動きがスムーズになる様にする。

・最初は膝や股の動きなどを見ても良いが、出来て来たら正面を見る。
・顎を出さない。

 慣れて来たら2、3回で腰の具合が決まると思います。
 慣れないうちはすぐ疲れるので、疲れて悪い姿勢で行ってもあまり良くないですから、そこで止めて良いです。

 慣れてきたら、肘を膝の上に乗せる、げんこつを床に着ける(立ち会いの姿勢)などして下がった位置で揺すったり捻ったりして、別な刺激を入れてみてください。

 写真を撮って決まっていないときは見直してみましょう。

---------------------------------

2、四股捻転(四股の姿勢での左右の肩入れです。片側1〜2回)。

 イチロー選手がネクストバッターサークルで行う動作です。

 先出の1の写真の手のひらを膝に付ける姿勢をとり、肘を伸ばし、肩を入れる様にします。
 まず最初は中央で首を上げ下げするような感じです。
 次にその姿勢から左右に捻って、左右の肩入れをします。
 これを数回行ってください。

 何度か立ったりしゃがんだりするのも良いです。

---------------------------------

3、腹式呼吸(中立位置で数回。左〜中立〜右と重心を移動しつつ数回)。

 私はお腹は緩んでいる方が良いと考えます。赤ちゃんのお腹のような感じが良いです。
 特に女性の方はお腹を引っ込めようといつも力が入っている事が有るので、それを緩めて楽にする様にしましょう。
 ボディシェイプ(スタイル)を良くするのと、力を混めて合わせるは別です。それをこれから作っていきましょう。

 さて、戻して普通に立ってみます。
 これを中立位置と今回便宜上呼びます。

 このとき、一番最初のときより足裏の接地感が向上しているのを感じ取れたら良い方向に進んでいます。
 足裏の前後方向のバランス、左右の接地感などを感じ取る様にしてください。

 再度、中立位置に戻して立ちます。
 今度は腰の前後の折れを感じてください。前後させると色々感じ取れます。

 次に中立位置で腹式呼吸をします。
 呼吸とは横隔膜が下がることで行われますが、腰の前後が前後左右のどちらかに折れていたり捻られたりしていると、どこかしら腹部に緊張が残っていて、なかなか上手く息が入らないです。
 この緊張が取れて息が上手く入ると、腎臓の辺りの後腹部も腹式呼吸で広がります。

 このときに腰が前後に折れて身体がまっすぐ立っていないとそれで呼吸が滞る感じになります。また、捻れや左右バランスが異なっていても同様です。
 ただしそれはすぐには分かりにくいので、あえて自分でバランスを崩して腹式呼吸を行う様にする訳です。

a, 中立位置で数回腹式呼吸をする。その際、手のひらをお腹、脇腹、背に廻す様に当てていきが入っているかを感じる。

b, 中立から右脚(左でも良い)に重心を移し、その際の動きがまっすぐになっているかを確認。慣れないとデッチリやヘッピリ腰で動いたりするので、そのまま腰骨が平行移動する様にしてみて下さい。
 また、このとき上半身は垂直を保ち、腰骨の上に乗ったまま平行移動する様にしてください。

        正面図
 
  ○             ○
 ーーー           ーーー
  ‖             ‖
  ‖             ‖
  ‖             ‖
 ===    <ーー>   ===  腰に乗ったまま、左右平行に移動する
 ]  \         /  [
 ]   \       /   [
 ]    \     /    [


 中立からその方向へ移動するときの呼吸は、吸っても吐いてもいないような所で緊張しないで止めておくか、何となく適当にしていても構いません。
 片側に止まった位置で位置で腹式呼吸数回。息が入らないようなら前後左右に少し動かしてみてください。

c, 今度は反対の方向に動かします。このときも動きが平行になる様に感じてください。移動するときは呼吸は b と同様です。反対の位置になったら、そこで同様に呼吸をしてみて下さい。

d, 身体に捻れがある人は、この左右のどちらかに行ったときに捻れが強くなる傾向があります。これは左右に移動する際に、体軸がすこしずつ回る事から起こります。
 そのため、鏡写りが変わるか、見えている景色にずれが無いかを確かめてください。

e, 中立に戻し、そこで前より良くなっているか、足裏の接地感やお腹の緩み方を試しつつ、充分で無ければもうちょっとやってみましょう。

--------------------------------------------------------------

 簡単な事ですが、ここまで行うと、それだけでけっこうポカポカしてきます。
 四股から集中して行うとこれだけでも楽しいですし、自分の身体の楽や無理が感じられる様になってきます。

 楽にできる様になるまで何日か続けてやってみてください。2週間くらい続けていると、朝に一回やるだけで良い調子が暫く継続します。
 もちろん慣れた後も工夫しながらどんどんやっていただくともっと良いと思います。

 これには自分の身体の感覚を感じ取れる様に整えていく意味も含めているので、焦ってパパッと流すのでは意味が無いです。
 時間がないときほど四股だけでも集中して行ってみてください。
 時間がないときほど集中して行う様にしていくと、その方が感覚が良くなってきます。

 バレリーナ立ち(バレエの1番のポーズ)をするときは、この後に行うようにしましょう。


 これらを寝る前に行うと冴えて寝にくくなるようなので、活動前に行う様にされると良いでしょう。

 また、妊娠中の方や、月のものの前後の方は、慣れないと重くなる事も有るようなので、充分に気をつけて試してみてください。



http://hisajp.info/2008/03/post_658.html


http://hisajp.info/2009/04/post_234.html

 コアマッスルトレーニング(コアトレーニング、体幹トレーニング)

 コアトレーニング(コアトレ)と呼ばれるもので、その通り体幹の筋を鍛えるトレーニングです。
 言葉の本来の意味からすると、コア(体幹)をトレーニングすればトレーニングの種類では何でも当てはまりますが、通常は自重を用いたり、バランストレーニングに近い内容を指す事が多い様です。
 また、コア(体幹)全体を捉えるもので、最大限広い範囲としては、大胸筋や僧坊筋から、腹背筋を経て、大臀筋、大腿筋程度まで含みます。
 本来はこのように全体を範疇とするもので背面だけを指すものではないですが、今回は背面のトレーニングについて書きます。

 代表的な方法として、バランスボールやバランスディスクを用いたものが上げられます。
 またそれらを利用し不安定な状態を作り出して、ウエイトやメディシンボールを用いてトレーニングする場合が有ります。

 例
・バランスボールに背を付けてベンチプレス。
・バランスボールの上に座り体幹捻り運動。
・バランスディスクを二つ用意し、左右に置き、その上でスクワット。
・バランスボール1つ用意し前部に置き、そこに前足を載せてメディシンボールを用いて捻り運動。

 これらの方法では、明らかな筋肥大というのは目指せないと思われますが、思わぬ方向から刺激が入るために姿勢保持の筋に刺激が入りやすくなります。

 但しこの方法も熟練すると慣れてくるので、最初のうちは効いてもやがて効きにくくなるので、発展状況によりアンバランスの具合を上げる必要が有ります。
 「バランスボールの上に立ってスクワット」などが代表的な例ですが、転ぶ危険性が増え後頭部をぶつける可能性が増えるので、果たしてそういう危険を冒してまで行うだけのトレーニング効果があるのかと言うと、そうでもない気がします。

 コアトレーニングについては、改めて詳しく書きたいと思います。
 
 
 
 ヨガやピラティスの様なトレーニング。バレエやダンス、日舞やお茶のようなお稽古。

 これらを身体の運動やトレーニングとしてみた場合、ある程度ひとくくりにして良いと考えています。文化的な背面は今回は問わないとします。

 日常の動作では慣れが生じるので、人それぞれで使わない筋肉が出来てきますが、それらを強制的に使う事となり、その結果、バランスが良くなってきたり、可動範囲が広がる事が考えられます。

 これ自体に積極的な筋肥大効果や何らかの生理的な運動効果があるかと言うと、運動強度(心拍数の上昇を伴うもの)が弱ければ少ないでしょうし、強ければそれに応じて上昇すると思います。
 しかしレジスタンストレーニングやバランストレーニングのような大きな運動を伴うものと較べると運動強度が低いのは明らかなので、それらと同様の効果を狙うには無理が有るでしょう。


http://hisajp.info/2008/11/post_121.html


筋肉の説明
http://hisajp.info/2008/11/post_115.html

 筋肉の説明に寄り道したのは、遅筋や筋に対しての正確な認識が必要と思われたからです。


 体幹背面には様々な筋肉が有り、インナーマッスルと呼ばれる筋それぞれには、様々な種類と特徴があります。

 それを
 「インナーマッスルだから」
というだけで何でも同じようなトレーニングで身体能力が向上するものでもないでしょう。

 どのように向上させたいか、という目的に沿って必要なトレーニングをするには、正しい認識を元に的確なプログラムを組む必要があります。


 レジスタンストレーニング

 デッドリフト

 背面のインナーマッスルのトレーニング方法ですが、通常はデッドリフトのような複合種目を様々な重量で行えばそれで足りると思います。

 背面のインナーマッスルは、ここで書いたような理由で比較的遅筋割合が高いのは事実でしょう。
http://hisajp.info/2008/11/post_118.html

 しかし遅筋だから大出力が出ないのかと言うとそんな事は無く、通常はデッドリフトが最大重量を扱える種目です。

 競技に向けたトレーニングの場合は、デッドリフトはクイッククリーンの手前の種目と捉える場合も有りますが、腰部の筋の発達を狙うにはデッドリフトの方が向いているでしょう。
 クイックリフトでは動きが速い為に重量が体重で 5rep 程度が目標になりますが、デッドリフトで稼動(可動)する範囲を限定すれば体重の2倍〜3倍が目標に出来、それにより肥大等を期待できる為です。

 また、デッドリフトを行う際は最大重量を目指す必要が有るかと言うと、そうではありません。これらを纏めると以下の様になります。


1、デッドリフトを他の種目と同じ日に行う場合

 デッドリフトを他の種目と同じ日に行う場合は、トレーニングの最初に体重程度の重量で 10rep * 2set 程度を目標とすれば良いでしょう。
 最初に行う理由として、腰を守る必要が有り、疲れた段階で行うと怪我や損傷に繋がる恐れが有る為です。
 そのため最大重量で何セットも行い追い込む必要は無く、重量もセット数も少ないとなります。


2、デッドリフトで最大の肥大効率を目指す場合は、それだけの日を作る

 この場合は、通常の肥大プログラムの様に、10RM で数セットのピラミッドなどを組むことが肥大率としては良いのでしょう。

 しかしそうだとしてもちょっと危険が多いような気もします。

 そのため 2RM 程度のプログラムを組んだり、10RM で 5rep 程度のプログラムを組む様な例を見受けます。

 そのようなプログラム内容でも、通常よりは遥かに強い内容となるので、問題なく肥大は進むと思われ、またある程度の安全性を保つ事も出来るでしょう。

 また、このような際は安全の為にトレーニングベルトを着用する事と、腹圧を保てない様になったらその時点で打ち切りとする事も大事でしょう。
 
 
 
 スモウデッド

 スモウデッドも同様の考え方で良いでしょう。スモウデッドの場合は挙上範囲がデッドリフトより少ないため、さらに重量が増やせるのと、また効く部位が脚の内転筋に移ってきます。


 バックエクステンション

a, 専用台を使い足首を固定し、股関節(腰)を屈曲させた位置から水平程度まで持ち上げる。ウエイトを使用し負荷を上げる場合もある。
b, フラットな床で足首をパートナーに固定してもらい、エビぞりのような位置まで上半身を持ち上げる。

 a の場合は、ロウバック(下背)の部分のトレーニングになります。ストレッチ効果を高く取れるのと、臀部へ効かせやすいという特徴も有ります。
 b の場合は、水平位置からの背屈の為、可動範囲が狭く大きな出力は出しにくいものですが、棘間筋のトレーニングに重要な方法です。ただしこの筋を鍛える必要性があるかどうかは何ともいえません。

 通常これらの種目は脊柱起立筋をターゲットとする種目ですが、軽い負荷で行うと棘間筋や横突間筋のトレーニングになります。


 サイドベンド

 通常この種目は肋間筋や斜腹筋などをターゲットとする種目ですが、軽い負荷で行うと横突棘筋や横突間筋のトレーニングになります。

(コアトレーニング、ヨガやピラティスに続く)


http://hisajp.info/2008/11/post_114.html


http://hisajp.info/2008/11/post_122.html

筋肉の説明
http://hisajp.info/2008/11/post_115.html


「しなやかな筋」というものはない。


「しなやかな筋肉の為には、低負荷高反復数のトレーニングがよい」
「しなやかな筋肉には遅筋割合を増やすほうがよい」
「女性らしいしなやかなカラダを目指すには、遅筋を動かすヨガやピラティスがよい」

 というのを見かけるが、全く根拠のないものと私は考えている。

 まず第一に「しなやか」に対する定義が無い。
 「しなやか」というのは動作から見える結果であり、筋肉そのものには硬度の違いしかない。機械で計測できない概念上のものは数値化が出来ない。

 このような場合には、数値化する事ができる「柔らかい筋、固い筋」という表現での方が正しい。
 「しなやか」というような形容詞では、人それぞれ基準や捉え方が異なるので混乱を招き、また的確な対応が出来なくなる要因となる。


 次に、
「遅筋が速筋に較べ、しなやかである」
「遅筋は速筋に較べ、柔軟性に富む」
というの何ら根拠が無い。

 もしそれであれば、遅筋割合が最も多いと考えられているヒラメ筋が一番柔らかく、速筋割合が最も多いと考えられる上腕三頭筋は最も固いとなるが、そう言う事は無く大抵同じ程度である。

 また現実的には大抵ヒラメ筋の方が張っていて硬い。
 そして、張っていて硬い、というのは筋そのものが本来持つ硬度ではなく、別な条件で変えられたものである。


 短距離のアスリートの筋は中間筋または速筋で占められる割合が 80% 程度と言われるが、彼らの脚は触ると、柔軟性に富み柔らかい。
 対して長距離アスリートの筋は遅筋割合が 80% と言われるが、こちらもまた同じ様に柔らかい。ただし柔軟性は短距離走者に較べると足りない気がする。
 筋ばっている感じがするのは長距離走者の方である。
 とはいえこれは私の主観であり、きちんと計測した訳ではない。


 また、表面の緊張は、その時点で運動しているのであればパンプアップの影響を受けるし、運動の有る無しにかかわらず筋スパズムの影響なども受けるので、前述のヒラメ筋が張りで硬いようなもので、一概には何とも言えない。


 経年により筋が固くなるのもある。若い牛より年齢の高い牛の方が肉が硬い。
 さらには去勢したかどうかも関係してくる。


 こういういろいろなものが絡んだ結果として表面化してくるのである。
 
 
 
 「しなやか」とは動きの結果見えるものである。 

 「しなやか」とは、動きの結果見えるものと私は考えているから、ヨガやピラティスを行う事により今まで動きにくかった部位の可動が良くなり、動きが良く見える、というのは十分にあり得る。
 ただしこれは運動の習得に因る身体の使用方法の変化であり、筋組成の関係ではない。

 私は前屈測定などが成績があまり良くないが(指先が床に届くかどうかという程度である)、動きの見た目はしなやかである。
 私より筋そのものが柔らかいと考えられる若い女性が、また前屈をしてもらうと床にべったりと手のひらが着く方が、見た目のしなやかさでは私より劣る事もある。
 これは運動(= 見た目の動き)に整合性が欠けているから、しなやかに見えないのであろう。

 そのため運動に整合性が出るようなトレーニングをすれば、誰もがしなやかな動きになる。
 そのしなやかな動きを行うに必要な身体条件としては、関節の構造上の可動範囲、前後に着く筋の柔軟性や、それには筋スパズムの有無、パンプアップの状態などが絡んでくる。

 それらの身体面をトレーニングにより向上させ、その上で動きそのものを習得すれば良いのである。
 これは競技練習の過程と全く同じである。


 柔軟性で言えば、筋量が足りなくて緊張が続いているようなものもあるし、姿勢が悪くて一部の筋が張ってしまい柔軟性を欠いているような場合もある。

 そのため、何かの目的に対して、総合的にどうするか、というのが最も的確な方法である。

 それを「○○が良い」と単一面からいうのは、あまり的確でないであろう。


http://hisajp.info/2008/11/post_118.html


インナーマッスル1
http://hisajp.info/2008/11/post_112.html

・速筋は遅筋化する。
・遅筋は腱化する。

と言われている。

 これは前述のエネルギーの消費を抑えるという事からは正しい進化であろう。


 これらを実証するものとしてあげられるものとしては、

 高齢者の筋肉は、若年者よりも遅筋割合が高く、また腱の割合も高いというのを見かけた覚えが有るが、ソースを覚えていないのと、どのように比較したのかは分からない。
 何かが分かったらここに足したいと思う。

 ウサギを使った動物実験がある。
 ウサギは主に速筋が多い動物と考えられているが、それに EMS で微弱な電流を流し続けたところ、3週間くらいで全身が遅筋化し、身体も小さくなった、というものである。
 速筋は使わないで微弱な刺激だけを加えると、減ってくるのである。
 これは石井直方先生がお話しされているものである(エビデンスの番号等は不明)。


 次のような事も言える。
 
 姿勢を保持する筋は遅筋が多いとされるが、これは常時エネルギー(力)を発生させる必要が有るからである。
 頭脳が常に姿勢保持を考える訳ではなく、筋紡錘体が引き延ばされると姿勢がどちらかへ傾いているなと感じ、自働的に調整するものである。
 http://hisajp.info/2008/11/post_114.html (横突棘筋の欄参照) 

 このような際に筋は収縮してエネルギーを発生せざるを得ないので、それであれば腱化してしまえば腱のストレッチ書とニングサイクルと変わりエネルギーの消費は無くなる(少なくなる)ので、生体としてはその方が効率的である。

 そのような過程で、姿勢保持を司る筋は遅筋が多くなり、またやがて遅筋は腱化すると考えられる。
 
 
 
 さて、ヨガやピラティスのようなエネルギー消費量の少ない運動や、ウォーキングやジョグやエアロビなどのもうちょっと消費が多いと思われる運動の場合、これらが該当するかと言うと分からない。
 エネルギー消費としてみた場合は上の方の例に該当すると言えるが、それだけを3週間し続ける訳ではないのと、前者は伸展させたら暫く保持であり微弱に動く訳ではない事や(実際はぷるぷる動いているのかもしれないが)、後者は着地による重力的な衝撃が加わることからも、単に直結させることはできないであろう。

 また、これらの運動の場合は、微弱な運動による刺激で筋のカタボリック(分解)に働くホルモン(グルココルチコイド。コルチゾールやコルチゾンなどなど)の分泌も増えると考えられる。
 これらは簡単に言うと、脂肪でもグリコーゲンでも筋タンパクでも、何でもエネルギー化するホルモンと言えるので、生命の維持としては正しい方向なのだが、筋量を増やしたり維持したい場合にはあまり都合が良くない。


 また、腱化したら身体は固くなるので、腱化をさせない様にするのが柔らかい身体を保つ事が必要となる。
 そうなると、時々見かける「○○でしなやかなカラダ」というのは、微弱なエネルギー消費の運動では合わない話しとなる。


http://hisajp.info/2008/11/post_117.html


http://hisajp.info/2008/11/post_119.html

筋肉の説明 3、運動のエネルギーの発生と、筋と腱

 エネルギーの発生

 筋肉の収縮は体内のエネルギー消費を伴う。

 腱は自発的にエネルギーを発生する事は出来ないが、ショートストレッチングサイクルという動きで、エネルギーを再利用する事が出来る(再利用という言い方が的確かどうかは今回は話題としない)。

 ゴムは伸ばされると縮むが、腱も同様に外部から伸ばされると縮む。
 言い換えれば、ゴムも腱も、外部から伸ばされないと縮む事が出来ない。

 プライオメトリクスというトレーニング方法が有るが、これは高いところから飛び降るなどして腱に一旦エネルギーを蓄え、それを放出して上に飛び上がるトレーニングだが、上記のような腱の性質を利用したものである。

 この腱の特性を利用した運動は代謝が発生しないため動物は体内エネルギーを消費しなくて済むので、正常な進化と言える(腱の修復という意味でのエネルギーの消費はある)。
 
 
 
 エネルギー効率と腱化

 人間が歩く最も効率の良い方法は位置エネルギーの利用で歩く方法で、簡単に言うと身体が前方に倒れようとするところへ転ばない位置へ足を置き、それを繰り返して歩を進める事である。
 達人のレベルではこの歩き方が多い。これは走る事にも応用できる。
 これが後足で蹴る方法だと自らエネルギーを発生しないとならない。通常はこのような歩き方の方が多い。


 四つ足の動物は、基本的に重心が4つ足の着いている中に有るので、人間のような位置エネルギーの利用が難しいのではないかと思われる。

 良く見かける例としては、ネコ科やイヌ科の動物は胴体(体幹)をうねる様にして、そこで発生したエネルギーを後脚に伝え、前脚は方向のコントロールの為に着地する様に見える。
 このため四つ足の動物の歩行は人間と較べるとエネルギー消費が多いのではないかと思われるが、実際に動きを見ていると何らかの位置エネルギーを利用している様に見えるので、人間との効率の違いは分からない。

 一日の歩行距離では、人間は昔の飛脚で1日に 100km も歩いた(移動した)と言うのを聞くが、あり得ると思う。
 動物の方が距離が短いというのを聞くこともあるが、測定方法などが不明である。しかし上記からすると、同じ体重の場合は4つ足の動物の方が歩ける距離は少ないかもしれない。


 カンガルーのような動物は主に後脚歩行だが、彼らの場合は位置エネルギーの利用が上手い様に見える。但し実際には計測したのでないので分からない。

 またカンガルーの場合は、後脚の構造的に上記のストレッチングショートサイクルの利用が非常に優れていると考えられる。
 あの後の足の部分(フットの部分。人間が靴の履く部分に見える部位)はつま先もしくは指先である。
 その後は長い腱で繋がれていて、腿の部分は人間で言う裏腿が発達している(この構造は馬等も比較的同じである)。

 そのため裏腿で蹴りだす動きのエネルギーが、一旦長い腱に溜められ、それがやがて短時間で放出されることになる。
 これを繰り返すうちにスピードが乗ってきて、一旦スピードが乗ればあまり体内エネルギーを消費しないで走る事が出来るのではないかと考えられる。

 しかし動物園や番組で見かける、カンガルーの「歩く」というかゆっくりした動作は、筋が少ない分あまり上手くない様に感じる。カンガルーはそれを必要としない環境で進化した動物なのだろう。
 
 
 
 このように腱化というのはエネルギー消費の法則から見ると、正常な進化と言えるのだろう。


http://hisajp.info/2008/11/post_116.html


http://hisajp.info/2008/11/post_118.html

遅筋と速筋の割合

 遅筋と速筋の割合は遺伝で決まると言われ、この割合を大幅に変える事は出来ない。
 しかしトレーニングの種類により、速筋を肥大させたり遅筋の能力を向上することは可能である。

 速筋のトレーニングは、肥大を伴いまたそれに沿った方向で能力の向上が行える。
 遅筋のトレーニングは、私は筋内部のミオグロビンの増加やエネルギー効率の向上を求めるものと考えている。そのため私は遅筋の肥大に関しては懐疑的だが、遅筋の肥大という言葉を使う例も見られる。これには様々な見解があると思われる。


 遅筋繊維は長距離選手の場合は 80% 程度、短距離選手の場合は 20% 程度と言われる。
 また、短距離選手の場合は、遅筋が少ないだけでなく速筋も少なく、中間筋の占める割合が多いと考えられている。


 人間(日本人)の身体で最も遅筋の多いと考えられている筋はヒラメ筋である。これは姿勢の調整などで持続した運動が必要とされるためである。

 速筋が多いと考えられる部位は上腕三頭筋である。ここは常に力を出す必要がなくかつ出すにしても重力方向のため、ほぼ瞬発的な働きしか行わないためである。

 日本人以外の例は知らないため他の人種は分からないが、おおよそ似ているのではないかと思われる。


 また、
「産まれたときは全て遅筋」
とも言われる。
 成人になるに従い骨の成長線が閉じた頃から速筋割合が増えてくる、と考える研究者もいる。
 
 
 
 鳥類は空を飛ぶ鶏は大胸筋(に相当する部位)が遅筋だが、鶏(にわとり)は空を飛ぶ必要がないので大胸筋は速筋である。かわりにといってはなんだが腿は遅筋が多い。
 そのため鶏ムネと鶏腿を購入してみると、筋肉の違いによる色の違いが分かる。
 また食べてみると柔軟性の違い、脂の含み方の違いなども理解できる


 クジラは遅筋が多いと考えられ、遅筋のミオグロビンは酸素を保有できると考えられ、その為クジラは呼吸をしないでも長時間潜水する事が出来る。
 マグロの様な回遊魚は遅筋が多い。
 鮭の身の色は赤いがこれは色素で付いた色のため、焼いても赤い。普通の遅筋は焼くと白くなる。鮭は白身魚である。
 ヒラメやタイなども白身魚である。



http://hisajp.info/2008/11/post_115.html


http://hisajp.info/2008/11/post_117.html


筋肉の構造

 筋肉は糸の様の形状の筋線維が何本か纏められ、筋束という膜の中に束ねられ、筋束が集まり筋肉になる。
 筋の端は腱となり骨に付着する。

 筋線維はそれぞれがいくつかの筋細胞を纏めた多核細胞である。直径は様々に異なり、10 ミクロン(0.01mm)から150(0.15mm)ミクロン程度と言われ、太いほど出力が高い。
 長さは短いものは数ミリ、長いものは30cm 程度と言われる。

 筋線維が何本かごとまとまり、一つの運動神経に支配され、これを運動単位と呼ぶ。
 運動単位ごとの筋線維の出力は ON か OFF だけで、0% か 100% の出力となる。全体としてみた出力の大小は、運動単位の数の多少できまる。

 筋線維は筋原繊維からなりたつ。筋原繊維は筋節(きんせつ、サルコメア)がならび、タンパク質から作られたアクチンとミオシンがフィラメント構造で交互に入り込んでいる。
 このフィラメント構造が短縮する事で力を発揮する。


遅筋と速筋

 速筋と遅筋の割合のバランスは、筋線維のレベルで分かれる。

 遅筋は、収縮スピードは遅いが疲れにくい筋を指し、赤筋線維または Type1 または ST(slow twitch fiber。またはSO) 呼ばれる。
 速筋は、収縮スピードが速いが疲れやすい筋の事を指し、白筋繊維または Type2 または FT(fast twitch fiber。またはFG) とよばれる。

 Type2 はその中でも Type 2a, Type2b に分かれ、Type2a は Type2b と Type1 の中間の性質を持つと言われ、中間筋(またはFOG)とも呼ばれる。

(Type1 <--> Type2a <--> Type2b)
(遅筋   中間筋   速筋)


 中間筋はほぼ速筋と同じ出力を持ち(95% 程度)、遅筋に近い持久力を持つと言われ、これを増やす事がパフォーマンスアップに繋がるとも考えられる。

 人間の筋は、速筋から中間筋への変性が見られるため、Type2 と呼ばずに TypeXと呼ぶ場合もある。


http://hisajp.info/2008/11/post_116.html

インナーマッスル1
http://hisajp.info/2008/11/post_112.html

(なるべく名称、構造、役割の順で書く様にした)。

 脊柱起立筋群

・脊柱起立筋群(せきちゅうきりつきんぐん)は、腸肋筋(ちょうろっきん)、最長筋(さいちょうきん)、棘筋(きょくきん)からなる筋群の総称である。

・腸肋筋は、頚(けい)腸肋筋、胸(きょう)腸肋筋、腰(よう)腸肋筋の3つからなる。
 脊柱起立筋の最外部にある。

・最長筋は、頭(とう)最長筋、頚最長筋、胸最長筋の3つからなる。
 脊柱起立筋の中央にある。

・棘筋は、頭棘筋、頚棘筋、胸棘筋かの3つからなる。
 再深部にあり棘突起を結ぶ。

・脊柱起立筋群は、脊柱と平行で比較的表層に有る。それぞれの筋は比較的長い。
・脊柱起立筋群は、背の中央の盛り上がりとして見れる。
・脊柱起立筋群は、直立の保持に重要な働きをする。

--------------------------------------------------

 板状筋

・板状筋(ばんじょうきん)は、頭板状筋と頚板状筋の2つからなる。
・再浅部にあり、走行は下中央から上に結ぶ。
・首の背屈、回旋を行う。

--------------------------------------------------

 横突棘筋

・横突棘筋(おうとつきょくきん)は、半棘筋(はんきょくきん)、多裂筋(たれつきん)、回旋筋(かいせんきん)からなる筋群の総称である。
・半棘筋は、頭半棘筋、頚半棘筋、胸半棘筋からなる。
 半棘筋は、棘筋に較べると胸椎から上しかないため、半棘筋と呼ばれる。
・腰多裂筋は、仙骨から腰椎を結び、強い出力を発揮し、脊柱を支える。
・回旋筋は、横突棘筋で再深部にある。脊柱の回旋を行う。

・脊柱中央上の棘突起(きょくとっき、脊柱から後方へ出ている突起部)から、下方の脊椎横突起(おうとっき、脊椎から横に出ている部分)に斜めに結ぶ。
・2〜4個程度の椎骨をまたいでいる。
・筋紡錘体が多く存在し、立居の姿勢制御を行う。

--------------------------------------------------

 棘間筋、横突間筋

・棘間筋(きょくかんきん)は、それぞれ上下の棘突起を1つずつ結ぶ。
 体幹の背屈を行う。

・横突間筋(おうとつかんきん)は、それぞれの上下の横突起を1つずつ結ぶ。
 体幹の側屈を行う。


=====================

 おおよそであるが、背面のインナーマッスルと呼ばれるものはこの程度に分類される。

 それぞれ主に姿勢保持の為に使われるものであるが、
・重力に逆らい大出力を発揮する筋から、主に片側への回旋や屈曲を司るもの
・長い距離をまたぐものから、一つの関節を結ぶもの
など、様々なものがある。

 そのためこれらを一概に
「インナーマッスルだから低負荷高回数でトレーニングする」
「ヨガやピラティスは姿勢保持の筋を鍛えることが出来る」
とするのは、どう考えても無理が有る。

=====================
参考になると思われる頁等

http://www.pref.kochi.jp/~taiiku/Syougai/tosa-net/04koramu/02shougai/0206/0206.pdf

http://www.toyo-osteopathy.com/anatomy/cat_100.html

http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/osteologia/A02201001-017.html

--------------------------------------------------


http://hisajp.info/2008/11/post_113.html


http://hisajp.info/2008/11/post_121.html

筋肉の説明
http://hisajp.info/2008/11/post_115.html


 背面のインナーマッスルとは、主に直立姿勢の保持に使われる筋である。
 通常はこの外側に肩甲挙筋や大小の菱形筋(ミドルマッスル)や、広背筋や僧坊筋(アウターマッスル)があり、肩や腕の動作などを行う。
 しかしこれらインナーマッスルがすべてが見えないかと言うとそうでは無く、部位により見えている場合もある。

 今回は直立姿勢の保持の為に使われる筋は、一部表層に出ているものもインナーマッスルに分類した。

 通常、姿勢保持等の筋は、常時働く必要が有る為に遅筋の率が高いと言われる。


 体幹背面のインナーマッスルは主に以下の様に分類される。
 脊柱に近い程、深い部位にある。
--------------------------------------------------
脊柱起立筋
浅   腸肋筋 (  頚、胸、腰)
    最長筋 (頭、頚、胸  )
層   棘筋  (頭、頚、胸  )
--------------------------------------------------
最浅  板状筋 (頭、頚    )
--------------------------------------------------
横突棘筋
浅   半棘筋 (頭、頚、胸  )
↓   多裂筋 (  頚、胸、腰)
深   回旋筋 (  頚、胸、腰)
--------------------------------------------------
最   棘間筋 (  頚、胸、腰)
深   横突間筋(  頚、胸、腰)
--------------------------------------------------

前(インナーマッスル 5、ローテーターカフのトレーニング2)
http://hisajp.info/2008/11/_4.html

http://hisajp.info/2008/11/post_114.html

筋肉の説明
http://hisajp.info/2008/11/post_115.html


 先の例での上腕の内旋運動ですが、これを肘を曲げて(前へならえ、の姿勢)で内旋させる様にするとすぐに大胸筋が収縮します(平手打ち、ビンタの動きです)。
 しかし先のような腕を体側に揃えた(気をつけ)姿勢では大胸筋は収縮しにくいのが分かると思います。

 この程度の姿勢や動作の差で出力する筋が違ってきます。

 そのため、RM の負荷の設定が難しいと言うか、分からない、という方が正確でしょう。
 そのため、例えばゴムチューブを使うのが有効なのではないかと考えられます。または軽めのソフトダンベルなどでしょう。

 また、実際ローテーターに効いているかは、大胸筋や三角筋や広背筋を触りながら、それらの筋肉が収縮していないかを触りながら行うと良いでしょう。

 また、負荷が強いとすぐに大筋による代替え運動となるので、むやみに負荷を上げず、それぞれの部位のアイソレートが分かる様になってから、10RM の様な負荷を探り出すので良いと思います。


 こういう解説を読み
「軽い負荷で連続した動作」
という表現の指す意味を正しく理解する事が重要でしょう。
 
 
 
ローテーターカフのトレーニング方法例

・負荷

(リハビリ目的の場合の例を含みます。医療判断では有りません)。
1、最初はアイソメトリックス(等尺性運動。腕を別な腕で押さえて力を入れる。壁押しなど)
2、リハビリの2段階目であれば、滑車等を用いた運動。
3、リハビリの3段階目、または健常者のトレーニングであれば、ゴムチューブもしくは軽めのダンベルを使用


・可動範囲は、最初のうちは狭い範囲でターゲットを絞り行う事。
 分かる様になったら徐々に広げても良いが、広げて効果が上がる訳でもない。


・ゴムチューブ
1、前へならえの姿勢で、手のひらを上に向けてゴムチューブを握り、内外旋

・ダンベル
2、ライイング(横になって寝る)で、前へならえの姿勢で、ダンベルを握り、下の腕を動かすと内旋、上の腕を動かすと外旋。ライイングの姿勢を入れ替えて行う。


・チューブ、ダンベルの両方
3、フロントレイズ(垂直から 65 度程度までの動作が良いと思われる)
4、サイドレイズ(同上)
5、ワンハンドロウ(同上)


・リハビリは医療なのでここでは書けません。医師の診断、指示を仰いで下さい。


http://hisajp.info/2008/11/_3.html
次(インナーマッスル 6、体幹背面 概要)
http://hisajp.info/2008/11/post_113.html

筋肉の説明
http://hisajp.info/2008/11/post_115.html


 ではローテーターカフを鍛えるにはどうすれば良いのかという事ですが、まず先にそれを単独で鍛える必要が有るのかを考える必要があるでしょう。


 競技選手ではなく通常の生活をしている場合は、あえて強化する必要の無い筋肉といえます。
 ただし40歳を超えると肩関節を使う動きが減り前述したような四十肩、五十肩になりやすいので、ある程度動かす必要は有るでしょうが、特別に強化を図る筋肉でもなく、通常の生活の中で腕の上げ下げをしたり、何らかの軽いスポーツをすれば間に合うと思います。
 四十肩、五十肩になるくらい筋が減少している場合は、トーレニングして肥大を計る必要が有るでしょう。


 次に考えられるのはレジスタンストレーニングをされている方で、ベンチプレスなどの際に肩に痛みを感じたり故障した経験の有る方は、この部位をトレーニングし肥大を目指する必要が有るとおもわれます。


 それ以外には、野球(特にピッチャーや捕手)、各種の球技、水泳などの競技者やそれらを日常的に楽しんでいる人が故障を感じるような事が有れば、必要に応じて鍛える事が大事でしょう。
 
 
 
 トレーニング方法に話しを戻します。

 どのような筋も、肥大をさせるには 8RM 〜 12RM 程度の負荷で最大回数を行う必要が有ります。
 筋持久力の向上を計る場合は、15RM 〜 20RM 程度の負荷で同様とします。

 今回のローテーターカフは筋そのものが小さく、すぐ近くに同様の働きをする大胸筋や三角筋や広背筋などが有るために、すぐにその筋で代替え運動が行われてしまいます。
 代替え運動が行われる強度では、ローテーターカフの出力は弱くなり、本来の肩関節の保持の役割を果たす事になり、筋肥大なり筋持久などの強化が出来なくなります。

 そのため、ローテーターカフをトレーニングする場合は、ローテーターカフだけの 10RM なり 15RM の負荷でトレーニングする必要が有ります。

 しかし当初の段階では、このような負荷の強度の測定はほぼ無理と考えられます。
 非常に小さい筋肉で意識してそれだけを単独させて動かせるかというとそれが難しいためです。

 そうすると、どうしても
 「軽い負荷で連続した動作」
という説明にならざるをえません。

 しかしいかに軽い負荷であっても、その動きを大胸筋や三角筋や広背筋などが代替え運動をしてしまうと、トレーニングのターゲットとしたいローテーターカフには効かないとなります。

 そのため、分かりにくいローテーターカフにどう効かせるか、という事も重要になります。


http://hisajp.info/2008/11/_2_1.html


http://hisajp.info/2008/11/_4.html


 ベンチプレスのような重重量の場合は、ローテーターカフは肩関節の保持に使われる事が多いです。

 ベンチプレスの動きは、
a、ベンチに仰向けに寝ている姿勢で、
b、上腕を外転させて(飛行機の羽を作る姿勢です)、
c、次に肘を苦局させバーベルバーを支え、
d、肩関節を水平面で見て水平屈曲させる動きです。

 ローテーターカフの働きを見てみると、
ア、棘上筋が外転した肩の位置を保持する。
イ、肩甲下筋が水平面より下がらない様に保持する。
ウ、肩甲下筋がバーの挙上の際に上腕の内旋に若干力を発揮するが、停止部が近いため力が大きく発揮できない。
となり、能動的な出力はほぼ無いとなります。


 これらによりベンチプレスでローテーターカフのトレーニングが出来るかと言うとそれは難しいと考えられています。

 そのため、ローテーターカフをトレーニングしたい場合には、ローテーターカフだけが出力を発揮する様に行う必要が有ります。
 
 
 
 「インナーマッスルは多回数を反復するトレーニングで強化できる」
というのは、半分は合っているのですが、半分はそうでもない言い方です。

 まず部位として、ローテーターカフや脊柱起立筋は遅筋割合が多いと考えられますが、腸腰筋はそうでは無く大出力を発揮する速筋成分が多いと考えられます。ただし生体から採取して検査をした訳では有りません。

 そのため前者のローテーターカフや脊柱起立筋はトレーニングを行う事で大幅に肥大するかと言うと、内部に含まれる速筋が肥大する事は有るでしょうが、遅筋がどの程度強化されるのかは分からない、というところが正しいでしょう。

 遅筋が肥大するのかというと、これは遅筋の性質上分かりません。
 遅筋は刺激が持続して加わると腱化する場合も有るので、遅筋は鍛えれば鍛えるほど固くなるともいえます(遅筋の腱化については改めて書きます)。
 腱化した場合はエネルギーを発生する事は無くなり、腱反射というストレッチングショートサイクルを行う事になります。

 これらにより、
「インナーマッスルを鍛えると、姿勢が良くなる」
「インナーマッスルを鍛えると、遅筋が増え、寝ている間も体脂肪を燃焼しやすくなる」
 というのは、あまり正確な言い方でないのがご理解いただけると思います。


http://hisajp.info/2008/11/_1_1.html


http://hisajp.info/2008/11/_3.html

1、肩関節の筋。

 ローテーターカフ
 回旋筋腱板:棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の4つの筋を指す総称。または腱板疎部。rotator interval 。


 肩関節は球関節で、あらゆる方向に稼動させる事が出来る関節です。
 狭義では、肩甲骨の関節突起と上腕骨の骨頭の部分を指し、三角筋の下の部分を指します。
 広義では、肩甲骨と胸郭の動きを含めた範囲となります。


 通常の関節は一方向(蝶番関節:膝関節の屈曲/伸展など)または二方向(鞍関節:母指の手根中手関節)程度の動きに限定されていて、靭帯で保持をするとともに可動できる範囲を制限しています(実際の種類や働きは様々ですがここでは分かりやすくする為にあえて簡単に書いています)。

 (狭義の意味の)肩関節の場合は、稼動範囲が広い為に靭帯で保持する事が難しい為に、ローテーターカフとよばれる4つの筋肉(筋群)で押さえています。
 これらが肩関節と癒着する部分では筒の様になっていて、腱板(けんばん)と呼ばれます。
 各腱板は 6 〜 7 mm 程度の厚さを持ち、肩関節の直下の上腕骨頸部と強力に癒合しています。

 肩関節の靭帯そのものとしては、関節上腕靭帯が関節包の様に全体を包む形で有り、その上部を烏口上腕靭帯(うこうじょうわんじんたい)が補強する様にしています。


 ローテーターカフは、例えば
・野球のピッチャーが投球を過度に連続して行ったりする。
・ベンチプレスで下げすぎたり、捻ったりする。
と損傷を受けたり故障のしやすい筋肉(部位)です。

 ローテーターカフの損傷は狭義の肩関節だけではなく、肩甲骨や胸骨との可動バランスが崩れる事でも起こりやすい症状です。

 インピンジメント症候群(impingement syndrome)という症状が有ります。上記のような運動の過多によりローテーターカフの変形等を引き起こし、腱板や上腕二頭筋の腱が烏口肩峰のアーチと接触し痛み等を起こす症状です。

 これは前者は連続する投球動作で疲労が蓄積していたり、後者は扱うウエイトが適正でなかったりフォーム悪い場合に、肩関節が通常以上に可動させられ、それを押さえるローテーターカフのいづれかが変形や損傷させられ、その結果別な部位同士が接触を起こす様になり痛みが出るものです。

 俗にいう、野球肩、ゴルフ肩などの原因がこれに当たります。


 また、腱板断裂という症状も有ります。これはインピンジメント症候群が進んだ状態とも考えられます。
 腱板断裂は場合により 25% 程度の発症を含み、高齢者ほど率が上がります。ただし自覚症状が無い場合もあります。


 ちなみに五十肩と呼ばれる症状(俗称)は、これらの筋群が老化すると引き起こされる肩関節周囲炎の事を指す事が多いです。具体的には癒着性肩関節包炎上腕二頭筋長頭腱鞘炎などが代表的な症状で、それ以外にも様々なものが考えられます。
 
 
 
 ローテーターカフは小さい筋の為、それで大きな力を出す事は出来ません。
 そのため運動をする際は、ローテーターカフで肩関節を保持し、大胸筋や三角筋や広背筋などが力を発揮する事になります。


 この動きを分かりやすくする為に、上腕の内旋の実験してみましょう。
 腕の内旋を行う筋は肩甲下筋です。「気をつけ」の姿勢で右上腕を上から見て時計の反対方向にねじる動きが右上腕の内旋です。左上腕の場合は時計方向になります。
 上手く出来ましたでしょうか。

 このとき、手のひらを先行して動かしてしまうと肘の内旋が先に発生し、それにつられて上腕が動くと違った動きとなるくらいに上腕の内旋という動きは小さいものです。その動きを司る筋肉がローテーターカフの肩甲下筋だという実験です。

(医療的内容に近いものであっても、医療的判断ではなく、症状として存在するもの書いています。)


http://hisajp.info/2008/11/post_112.html


http://hisajp.info/2008/11/_2_1.html

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうちたい (身体の構造、はたらき)カテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリはこころ(考え方)です。

次のカテゴリはわざ (運動やトレーニングの技法)です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

最近のコメント