あまり役に立たない身体の話しの最近のブログ記事

 レジスタンストレーニング(以下RT)特有の生理的な変化として、
1、血圧が下がりにくい(上がるわけではない)
2、コレステロール値が高い位置を保ちやすい

 というのが上げられます(筋肉がどうこうってのはここでは取り上げません)。


 1番目は JATI の2009年総会で栄養研の宮地元彦先生のお話でお聞きしたもので、
「RTを止めて2週間くらい経つと血圧が下がってくるから、RTに伴うホルモン的な変化ではないだろうか。2週間という期間からして物理的な変化とまではいえないだろう」
「有酸素運動は、始めるとすぐに血圧が下がってくる傾向があるので、糖尿病のような血圧を下げたい場合は RT は積極的に勧めにくい」
というものでした。
(私の記憶の範囲で要約していますので、先生のお話と違っているかもしれませんがご容赦ください)。


 2番目は、これは私の感じているところなのですが、どうもコレステロール値がLDL、HDL ともに高い傾向にある様です。

 この対象者は、現役のスポーツ選手では無く、一般的な方が運動を再開される、ジョグはあまり興味ないから RT をする、ジムが近くにあるなどの理由で、RT を選ばれている方です。
 どちらかと言うと筋肥大(ビルディング)の目的割合が高いです。

 これらの場合、
・RT をする事によって上がったのか、それとも元々高い人が RT を好むのか。
・RT をするようになると、総合摂取カロリーが増えるので、摂取コレステロール値も比例して上がりやすい。
・しかし、コレステロールは通常体内合成が 75% くらいあるので、摂取が倍になったとしても大幅に上がるとは考えにくい。
・ただし同年齢中高年と比べると、血中中性脂肪値、コレステロール値は高いわけではなく、摂取量と勘案するとむしろ低いと言える(絶対値ではないです)。

という点が思い浮かびます。
そのためこの例については、RTが主原因なのかと言うと、まだ研究途中です。
 性差は調べていません。どちらかというと男性に偏っています。


 これら2点は絡んでいるのではないかと想定しているのですが、RT が主でトレーニングをされている方は、血圧やコレステロール値は一般的な例にそのまま当てはまらないのかもしれません。


以下、参照
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血圧に関してはこのような研究があります。

2003.09.22
【体力医学会速報】 筋トレの継続は動脈硬化を悪化させる?
抜粋
>筋トレが循環器系に不利な変化をもたらすメカニズムについては、本研究では明らかにされていないが、宮地氏らは、トレーニングの運動パターン(力の入れ方など)に対する動脈の適応の違いが関与している可能性を示唆している。
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/267874.html


レジスタンス(筋力)トレーニングと動脈コンプライアンス
抜粋
>以上の結果から、有酸素性トレーニングを同時に行なうことで、高強度筋トレに伴う頸動脈コンプライアンスの低下を抑制することが可能であることが示唆された。
http://www.linkdediet.org/hn/modules/pico/index.php?content_id=166


筋力トレーニングを実施する際の血圧上昇は若者より中年者の方が小さい
http://www.linkdediet.org/hn/modules/pico/index.php?content_id=315


レジスタンス運動に対する昇圧応答と中心動脈圧緩衝機能の適応
河野 寛 Kawano Hiroshi
抜粋
>筋力トレーニングのみを行う場合、動脈機能に好ましくない影響を与える可能性は排除できない。つまり、筋力トレーニングによる動脈コンプライアンスの低下が真に循環器疾患のリスクなのか、または生理的適応なのかは明らかでない。したがって、筋力トレーニングによって引き起こされる動脈コンプライアンスの低下がどのようなメカニズムで引き起こされているかを明らかにする必要がある。
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/28822/1/Gaiyo-4662.pdf


Greater age-related reductions in central arterial compliance in resistance-trained men.
Miyachi M, Donato AJ, Yamamoto K, Takahashi K, Gates PE, Moreau KL, Tanaka H
抜粋
>レジスタンストレーニングは筋力の増大に有効であり,中・高年における健康つくりに欠かせないトレーニングの一つである.しかしながら,高強度レジスタンストレーニングによる動脈コンプライアンスの低下を抑制するために,レジスタンストレーニング行う場合には,同時に有酸素性トレーニングを行うことが推奨される.
http://exdb.health-net.or.jp/bunken/detail.php
(すみません、直リンクが張れないです。
 http://exdb.health-net.or.jp/index.html から入ってください)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12511542?dopt=Citation
(これは同じものの ncbi ですが、日本語がありません。)


レジスタンストレーニングが中心動脈のコンプライアンスに 及ぼす好ましくない影響:無作為割り付け介入研究
宮地元彦 国立健康・栄養研究所健康増進研究部
抜粋
>この結果から、介入群でみられた中心動脈のコ ンプライアンスの低下は、レジスタンストレーニ ングに依存したものであることが確認された。また、介入群ではトレーニング期間に左心室の肥大指数が有意に増大し、脱トレ期間にベースラインの水準に戻った。対照群ではこの変化はみられな かった。
http://www.arterial-stiffness.com/pdf/no08/052_053.pdf


*文中に見られる「(動脈の)コンプライアンスの低下」というのは「血管の収縮性の低下」という意味です。
東京医科大学内科学 第二講座  山科章主任教授
http://www.jhf.or.jp/mediaWS/8th/index01.html


大動脈スティフネス又は大動脈コンプライアンスと血圧、PWV
抜粋
>動脈壁伸展性あるいはコンプライアンスが低下すると、弾性動脈の血圧緩衝作用が低下し、 左図下段のように収縮期血圧の上昇、拡張期血圧の低下、脈圧の増大となります。
(Arterial stiffness No.6 p64より引用)
http://www.colin.omron.co.jp/cis/pdf/3.pdf


高齢者高血圧の病態生理
Laurent S, Boutouyrie P, Benetos A
(訳)小澤利男 東京都老人医療センター名誉院長
抜粋
>動脈壁硬化度の上昇は平均血圧値あるいは他の危険因子の存在とは関係がない2)。"動脈壁硬化 arterial stiffness"とは,動脈系の機械的特性を表す用語であり,動脈コンプライアンスの減少度を表す。
>このように年齢をマッチさせた正常血圧者に対して高血圧者では,平均血圧の高さが壁伸展性とコンプライアンスの低下に寄与するようである。
http://www.arterial-stiffness.com/pdf/no04/021_026.pdf

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コレステロールに関してはこのような研究があります。

高コレステロール=長寿、脂質栄養学会が指針
http://hisajp.info/2010/09/post_384.html


 これをクリックして大きくして見てほしい。昨日アップした雪豹だ。
hero_osx_20090824.jpg


 ライオンや虎、雪豹などの鼻の割合は、家ネコのそれより明らかに大きい。

 なぜか?
 においを嗅ぐ為ではない。
 のどをゴロゴロと鳴らす音が爆音なのでもない。

 これは運動的な生理的な条件からだ。

 まず、家ネコの体重を 5kg としよう。
 ネコ科の獣は、小さめのチーターなどが 30-40kg で、ライオンは200kg、虎は 250kg 程度となる(虎の方がでかいのは寒いところに住むから)。

 写真の雪豹はネコ科では小~中型に分類されると思うが、家ネコより顔に占める鼻の割合が大きい。


 なぜ鼻が大きいかというと、酸素摂取量との兼ね合いである。
 身体組成割合が同じとすると、体重が10倍になると必要な酸素量は10倍になる。いろいろ違いはあるが今回は単純に比較する。

 四つ足の動物は重力を受ける支点が4点あるため、身体が大型化するにつれ、縦横奥行きがほぼ同じ割合で増える性質を持つ。

 家ネコの胴体長(首の付け根から肛門まで)は 30cm としよう。また、計算しやすくする為に体重 5kg とする。
 雪豹は家ネコより大きく、胴体長はその2倍の 60cm 程度と仮に設定する。

 そうすると、雪豹の体重は2の三乗の8倍で、40kg になる。
(実際に雪豹の体調や体重は知らないです。多分ですがもうちょっと大きい気がしますが、今回は気にしないでください)。


 5kg の家ネコと 40kg の雪豹は、体重が8倍違うから、必要な酸素量は8倍になる。

 そして、空気を通す気道は、断面積と通過量が比例する。
 断面積は直径の2乗に比例する。

 そのため8倍の酸素が必要な時の鼻の穴の直径は、ルート8 の 2.824 倍と、およそ3倍となる。
 鼻の穴が大きくなるには、鼻そのものが大きくならないと無理だ(さっきから花野アナと変換されて困っている)。

 体長は2倍だと顔の大きさも2倍だが、鼻だけ3倍となるのである。
 そのため雪豹は、顔における鼻の占める割合が家ネコに比べ大きいのである。


 そうすると、ライオン 200kg(体重比40倍)の鼻の穴の直径は 6.3 倍、虎250kg(体重比50倍)は7倍となる。

 しかし雪豹の鼻と同じような割合に見える。おかしいと思われるかもしれない。
 これはそれぞれの全長が、3.4倍、3.7倍と、雪豹の 2:3(=1:1.5)、ライオンの3.4:6.3(=1:1.85)、虎の3.7:7(1:1.9) と、2倍に届かない比率で増えるから、同じ割合のように見えるのであろう。

 ほかには実際に体調や体重の割合だけではなく、走り方や運動量の差もあるのだと思う。これは今回はそこまで仲良しで協力的な大型獣が私の近くにいないのでおいておく。


 ちなみに目の大きさはどの動物もあまり変わらない。
 これは眼球にある光の受容体の量と脳の関係でそうなのだと思う。
 そうなるとホルモンや神経系の働きが強くなり、総体重との関連性は薄れる。
 地上の明るさは、大昔から太陽で決まっているので、それに従っているのだろう。
 動物の組成物質(タンパク質など)は、それぞれは同じ分子量だ。
 そのため、深海などの暗いところにいる魚の目は、たいてい大きくて、暗いところでも見やすいようになっている。または諦めて退化している。


 また、大抵の動物は口呼吸が出来ないから、口の直径は酸素摂取量とは関係ない。大抵の動物の口は食物の摂取にだけ使われる。
 人間は声帯を用いての会話をするという進歩過程の結果、口呼吸も出来るようになり、口は食物の摂取と呼吸と会話に使われる。
 そのため鼻が大きいから酸素摂取量が多いのかどうか私は知らない。優秀な長距離選手を見て傾向を教えてほしい。

 また、人間は、全長と体重の割合が四つ足の動物と異なるので、今回のこれとは条件が異なるといえよう。


 スポーツ心臓は3種類あります。


1、有酸素運動型

 良く知られているものは、有酸素運動をしている場合になるタイプで、
「心室の容積が増え、心筋の厚みは変わらない」心臓です。
 これは有酸素運動を長時間続けるには、酸素の供給が多いほど有利なので、吐出量が多くなるようにと、心室の容積が増える為です。


2、ウエイトリフティング型

 ウエイトリフティングなどの競技では、全身の筋肉が緊張する為に、それに打ち勝って血液を送れるように、
「心室の容積はそのまま、心筋が厚くなる」タイプの心臓となります。
 そのためウエイト等を用いたレジスタンストレーニング(以下RT)などをしている方も、同じタイプの心臓になるのではないかと考えられます。

 また RT をしても、「血圧が下がらない」事が知られています。

 これは積極的に上がるという意味ではないのですが、有酸素運動をするとほぼ明らかに下がるのですが、そのような低下に導くような効果は出にくいとなっています。

 そのため高血圧気味の方が運動療法や楽しみの一つとして、強い負荷での RT を導入するかどうかは、まず高血圧気味な状態を良好にしてからの方が良いと思います。

 血圧が低下しない状態は RT を続けている間はその傾向があるのですが、2週間ほど休むと血圧は下がるため、血管そのものが変化するのではなく、RT による内分泌系(ホルモン)への影響ではないかと考えられています(出典元は後に調べてから添付します)。


 重量挙げ競技や、競技選手やビルダーの本格的な RT の場合は、収縮期血圧(高い方)は 300mmHg 程度になる事は知られており、研究者によっては 400mmHg くらい行くのではないかという方もいます。

 ただしこれは怒責(どせき、バルサルバ。呼吸を止めて力んで挙上する事)、スクワットのような全身を使う種目で最大負荷( = 1RM 負荷)を扱うときに考えられる数値で、一般的な 10RM の様な負荷や方法では私はそこまで上がらないと考えています。

 ベンチプレスのようなライイングで行う種目の場合は、血流は確保されるのでこれも街頭から外れるでしょう。

 また脳内の出血を心配される方もおられますが、脳は全体に圧が掛かるのでそれはあまり考えにくく、通常は鼻血が出る事が多いようです。
 ただしエビデンスはないのと、RT では血圧が下がらないことは上記のように知られている為に、健康づくりに RT を入れられている方にしても、不安を感じる場合は無理な負荷は避ける方が良いでしょう。


3、自転車やクロスカントリースキー(水泳、スピードスケートも?)

 この場合は、上記1と2の両方の性質を持ったスポーツ心臓となります。
 これは、競技時間が長く有酸素的な酸素供給量が必要な事と、筋肉が終動的な負荷で出力をする(筋肉が1回あたり出力している時間が他の競技と比べ長い)為に、
「心室の容積が増え、かつ心筋も厚くなる」タイプの心臓となります。


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 補足

 あまり知られていない事なのですが、心筋は有酸素運動しか出来ません。
 どんなに速く動いている時も、無酸素運動とはならない(出来ない)です。
 そのため心筋梗塞は心不全に繋がるため怖いのです。

 また、無酸素運動で発生した乳酸を、エネルギーとして使用する事が出来ます。

 ちなみに血管の筋肉の種類は平滑筋で、これは消化器官(胃腸)などの臓器と同じタイプの筋肉に分類されます。


 ついでに蛇足:焼き鳥や焼き肉でハツが赤いのは、心筋にはミトコンドリアが多いためです。


 前頁 http://hisajp.info/2009/03/post_223.html で書いた

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 そのため赤道に近い気温が暑いところでは、放熱を増やす為に腹部の皮下脂肪が少なくそれ以外の部位に増えます。
 全身は放熱のため、体重当たりの体表面積の割合を増やしたい為に厚みが薄くなります。
 また、全体容積を減らす為に身長が低くなるのは暑い地域に現れやすい特徴です。
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 というのは、サモアやハワイのような国や地域で肥った人がいるのと全く違っているのですが、これにはいくつかの事情で変わってきます。

 体脂肪細胞は、褐色脂肪細胞と白色脂肪細胞の二つの種類があります。
 褐色脂肪は、産まれたときに多く徐々に減り、発熱を司ります。
http://hisajp.info/2009/03/post_208.html


 白色脂肪は、産まれたときは少なく徐々に増えます。
 これは所謂(いわゆる)皮下脂肪の事で、体脂肪を蓄える働きをします。この状態を皮下脂肪が増えた肥満状態といえる訳です。


 この白色脂肪組織には、いくつかの特徴があり、体脂肪を蓄えるために次のような性質があるといわれています。
1、体脂肪を蓄える為に、細胞分裂をし細胞数を増やし、増えたら数は減らない。
2、細胞そのものが大きくなり、細胞内部に脂質を蓄える。
3、増える時期がある程度決まっていて、下記の時期に増えやすい。
・産まれて最初の1年
・思春期の頃
・中年以降

 さらに今の詳しい研究では、
4、白色脂肪細胞が増えすぎると、白色脂肪細胞それそのものが脂肪を減らすようなホルモンを出すらしい。
5、もしかしたら、細胞数が減るのかもしれない。
という働きもあるのではないかと言われてきました。
 ただ、脂肪量が増えないとそう働かないらしいので、それを期待するのは一般的な条件であればあまり現実的で無い気がします。


 これら白色脂肪細胞の性質の、
・白色脂肪細胞数が増える事はあるが、いったん数が増えると減らない。
・その場合は、体脂肪が減るときは個々の細胞が小さくなる。
という性格と、

・増える時期がある程度決まっている。
という性格のため、その増える時期に増やさない様にするのが、現在の研究の範囲では適切な方法でないかと思います。

 これは、大抵小学校に上がる前に肥満した場合はそのまま続き、次の中高生くらいのときにたくさん摂りすぎると肥満することは、学生の頃に見られやすいものです。
 その後の中年以降の時期にも同様に肥満しやすい時期があります。


 さて、最初に書いた件ですが、このような時期に栄養過多になると、熱帯や寒冷のような地域条件を、栄養条件が上回る為に発生する訳です。

 要するにどのような条件のなかでも、「栄養を摂りすぎると肥る」と言うまっとうな話しです。

 前
 http://hisajp.info/2009/03/post_223.html



 体脂肪の付着する部位は民族によって異なります。
 民族というよりは、「活動する地域の温度」という方が正しいです。長年その地で暮らしていくうちに、やがて遺伝的要素に含まれてきます。


 内臓の発熱は人体の発熱の多くを占める為、暑いところでは放熱が多くなる様に腹の皮下脂肪が薄く、寒いところではそれが増えるという特徴があります。

 そのため赤道に近い気温が暑いところでは、放熱を増やす為に腹部の皮下脂肪が少なくそれ以外の部位に増えます。
 全身は放熱のため、体重当たりの体表面積の割合を増やしたい為に厚みが薄くなります。
 また、全体容積を減らす為に身長が低くなるのは暑い地域に現れやすい特徴です。

 逆に寒冷地では、内臓の放熱を少なくする為に腹部を中心に皮下脂肪が着きます。
 また全身も大きくなり、放熱を減らす為に形状は球体に近くなります。
 身長が高いのは寒い地域に現れやすい特徴です。

 中間の温帯の日本などは中間の性質を持ちます。

 身長、肩幅はそれぞれの民族で極端には変わらないですが、肥り具合や見た目が変わる訳です。
 
 
 
 また、女性は男性と較べ、妊娠や授乳などに備え体脂肪率が高いですが、その分は主に乳腺や臀部の脂肪として付着すると考えられます。
 また脂肪の最低必要な脂肪の割合はどの民族でもほぼ同じ様で、そのため暑い地域に近いほど乳腺と臀部の体脂肪比率が上がります。

 そうすると、乳腺と臀部に脂肪が多めにつき腹の部分が薄い地域と、全身にまんべんなく着く地域に分かれることになります。

 熱帯地域の女性に、乳房とヒップが大きくウエスト比が細い傾向が現れるのは、こういう生物学的な理由がある為です。
 寒冷地域の女性が大きいのもこの為です。

 それぞれが必要な理由によってそうなっています。
 
 
 
 こういう遺伝要素が何代程度継続するかですが、本人が環境の反対の地域へ移ったとしても、その代ではあまり変わらない気がします。子供、孫の代で、また混血化によって、また環境への順応によって、その地域性が発現してくる様に思われます。

 また、現時点でそれぞれの特性が全くないのかと言うと、だいぶ前までさかのぼればどちらの遺伝子も混ざっていると思われるので、それぞれの地域の特性に合致しない固体を見かける事もあります。


 それぞれの自然環境に適合した身体が生物としては正しい進化ですが、見た目要素は自然環境に適合しているかどうかは問わないものが多いです。



http://hisajp.info/2009/03/post_219.html


http://hisajp.info/2009/04/post_240.html

 「私、低体温症だから痩せない」
とおっしゃる方がおられる。

 低体温症とは、本来は寒冷状態に置かれた際に現れる症状全般を指す言葉で、どちらかと言うと医療用度である。

 それが「ダイエットの専門家」の方々が、
「低体温症とは基礎代謝が下がった状態で、こうなると痩せにくい身体に云々、、、」
という言い回しをする様になり、そう思っている方もおられる様だ。


 低体温症になると腸内の酵素の働きなどが悪くなって、大抵まづは下痢の症状が現れたりする。
 そういう症状が出ていないようなら、大げさに低体温症とは言うことはないと思う。


 正確な体温は身体の中心部の温度の事を指し、核心温度と呼ばれる。ただしこれは実際には計れなく概念である。

 体温をなるべく核心温度に近く計るのを簡易に行うには直腸で計測する事が多いが、普通は自分ではそうしないと思う。私も自分でした事はない。

 皮膚は空気に触れているので、皮膚温度は実際の体温よりも低い。
 そのため皮膚で挟む計り方では低く表示されやすい。
 正しく計るには直腸で行いたいのだが、人前だとなかなか勇気がいる。

 そのためかどうか知らないが、通常は腋窩(えきか、わきの下)を用いる。
 舌下(口腔)で計る事もあるし、赤ちゃんに使いやすい耳などで短時間で計る放射赤外線の温度計も販売されている。
 他にもいろいろな種類があるし、病院ではプローブで計るようなものもある。


 計る場所により核心温度より下がってくるが、直腸>舌下(-0.2)>腋窩(-0.2~0,4)程度の差だった様に思う。おぼろげなので詳しく知りたい方はご自身で調べてほしい。
 大抵は元からそれを差し引いて考えているし、健康な状態の検診で計るにはほとんど関係ないと思う。


 通常用いる体温計は水銀計が多く、これは実際の温度まで上がって表示する。そのため正しい表示になるまで5〜10分くらいかかる。自分の体温で体温計を温めないとならないのである。

 電子温度計は適当な間隔での上昇具合から、体温を計算して表示するものが多い。時間は短くて済むが誤差は多少ある。
 何か懸念が見つかった場合は再度精密な方法で計り直せば良いのだから、通常ではあまり関係ないだろう。
 そもそも自分で計れるのだから、緊急事態ではない。
 
 
 
 話しが長くなったが、腋窩にきちんと差し込まないと正しい体温は表示されない。

 片手を上げて脇の下を触ってもらうと、大胸筋の纏まった部分の奥にくぼみがあるが、ここに正確に当てないとならない。またタオルなどであらかじめ汗を拭く必要がある。

 この場所に正しく刺すには医療機関では「体軸に対して30度」というような言い方をするが、寝て計る事が多いのでこういう言い方になるのだと思う。

 通常はイスに座って計る事が多いので、その場合は60度くらい上向いた角度となる。
 水平線から垂直の90度の角度の半分が45度で(当然だ)、そこからさらに15度上向いた角度の60度が、イスに座って計る場合の体温計のなすべき角度である。
 かなりおったつ。


 ところがどっこい、そんなことおかまいなしに、脇の下に水平に差し込んでいる人もけっこうおられる。
 これだと空気に触れた皮膚で計る事になるので、1〜2度くらい低い事が多い。
 しかも5分10分我慢できず、出しては見てを繰り返す。

 そうすると34〜35度くらいに表示される事が多い。

 それを見て
「私、低体温症だから痩せない」
となる。

 もし正しく計って普通の体温が表示された場合は、言い訳がひとつ減って困ってしまう 低体温症じゃないから安心してほしい。



http://hisajp.info/2009/03/post_212.html


http://hisajp.info/2009/03/post_223.html


 米国は今週から夏時間になった。
 冬の間は標準時間とよび、冬時間とは普通は言わない。

 まだ春分の日より前だが、もう夏時間なのである。

 夏時間とは、ご存知の通り
 「夏の日射時間が長い間は、時間を1時間早めよう」
というものだ。

 以前、
「夏時間の切り替え日が国によりてんでバラバラだと国際便の運行で間違ったりして困るから、みんなで合わせよう」
みたいな話しもあったが、色々あってか結局バラバラのままだ。

 夏時間は国ごとに適当に決めている。
国によっては何度か改訂され、米国は変えるのが好きだ。
好きというのは違うのかもしれない。


 日本もだいぶ前に一度導入されたが、たしか1年で止めた。
 その当時の話しを聞くと、
「今の12時は、本当なら11時だよ。11時に昼飯だよ、早いねえ」
というように話していたそうだ。


 「アジア人種はサマータイムに適用しにくい。健康を害するかもしれない」
の旨の医療機関の報告があって、何となく私もそう思う。

 ヨーロッパから米国は、歴史上近い人種(この場合は白人系)の国が西側では多いが、彼らは「朝が早い」のが体質に合っているらしい。
 また、アジア諸国より北方にあるから、夏至に近づくと日の出ている時間が大幅に長くなる。逆に冬は短くなる。

 アジアは赤道に近いところから、日本の北海道、北朝鮮、中国北部と南北に長いが、日本や北京ぐらいの緯度だとそんなにやたらと日の時間が変わらない。
 また、民族的にもグルーピングされる。


 「動物の時代から、夏は睡眠時間が短くてもやっていける様だ」
という旨の研究があって、それは合っている様に思うのだが、日の出が早くなると自然と目が覚めるのが早くなるし、寝るのも遅くなり、睡眠時間は短くなる。

 「それでもやっていける」
という様な話しである。
 その方が健康的だとか、良いとか、そう言うものではない。自然とそうなるらしい。


 冬は反対になる。
 「冬期性鬱」もこれに関係しているのではないかと考えられている。
冬眠の研究も進んできて、徐々にそんなのが分かって来た。

 脱線ついでに、鳥は睡眠時間が短くて良い動物らしく、養鶏所は一日中明かりを点けて煌々としている。その方が玉子を産むらしい。季節要因は知らない。
 

 前出の、
「夏は睡眠時間が短くてもやっていける様だ」
というのは、太陽の時間と相関性が強い様に思うのだが、日本みたいに夏冬で温度差が大きくあっても太陽の上がる時間が3時間程度の差だと、生理的にはそんなに大きな影響がないような感じがする。

 また、起きる時間の問題だけではなく寝る時間も絡むので、1時間前倒しする事が良いのかというと、そうは感じない。

 確かに自然と早く目が覚めるのは私も感じるが、サマータイムとして1時間早めるべきかというと、そうは思えない。

 春になり暖かくなり太陽の昇る時間に目が覚める様になったら、庭の草むしりをしたりする方が健康そうな気がする。
 そのままちょっと早めに朝ご飯を食べて、ちょっと早めに会社に行って、本を読んでいれば良いような気がする。


 日本では、学校や自衛隊のような、夏を基準にして冬を短くする「冬の短縮時間」のような時間調整の方が合っている気がする。

人間の発熱 3

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 前回の
http://hisajp.info/2009/03/post_209.html
で書いた、

> 数年前に
> 「どうやら人により +-20% 程度の代謝の幅がある様だ」
>というのが分かって来た様です。

というものだが、これが厳密には分かっていない。

 今まで基礎代謝は、
・年代別にグルーピングでき、若い人ほど高い(30歳くらいまでは高く、その後なだらかに下がり、後期高齢者は若年層の半分ほどになる)
・除脂肪組織は高く、脂肪は低い(体脂肪率が高いと、同じ体重でも基礎代謝は下がる)
・体重体組織が多いと比例して増えるが、率はほぼ同じ
・多少の差はある
の様に考えられていた(厳密には違うと思うが概要は大体合っていると思う)。


 もし +- 20% の幅があるとすると、多少の差ではなく大きな差と言った方が良い。


 私はこれは大人になったときの褐色脂肪(BAT)の残っている量に因るものが多いのではないかと思っている。
 また、この BAT の発熱のメカニズムは、食事誘発性体熱生産(DIT)とも関係があるのではないかと思っている。
 しかし分からない。私が勝手にそう思っているだけだ。

 しかしもしそうだとしたら、褐色脂肪を体内で増殖できたりすると
「何も苦労しないで、楽に痩せられる」
となるのかもしれない。なんとなく喜しくなる。
 
 
 
 食事誘発性体熱生産(DIT)は、
「食事の総カロリーとタンパク質割合に比例して上がる」
となっているのだが、私はどうもそれだけではない様に感じている。

 同じ食事をしても、一人で暑がって汗をかいている人を、誰もが知り合いや友達に一人くらいはいると思う。
 熱があったり寝不足だったりするとそう言う症状が出やすいが、このような人は食事をするときは大抵いつもそうしている。

 私の中では、どうにも
>「食事の総カロリーとタンパク質割合に比例して上がる」
だけではない様に思っているのはその為だ。


 ついでに書くと、こういう類いの人はちょっと動いただけで汗でびっしょりになったりして、真冬でも湯気が上がったりしている。
 調子に乗ってもうちょっと書くと、ほとんどが男性で肥っていて色黒だ。ディフォルトで BMI が 30 くらいある熊みたいな人が多い。

 だからもしこれが合っているとすると、
「無駄な発熱をしている人は、何もしないでも痩せる」
とはならないのかもしれない。

 いや、体脂肪率は低いかもしれない。
体脂肪率では痩せている(のかもしれない)。
色黒で筋骨粒々でガタイが良くて熊みたいなだけだ。
細くて華奢じゃないだけだ。

 女性の理想とは離れるかもしれない、、、。

 ぬか喜びさせて申し訳ない。

人間の発熱 2

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 今回は成人での話しです。

 「同じだけ食べて、同じだけ活動しているのに私だけ肥る」
というようなお話を聞く事があります。

 これは
 「同じだけ食べている様に見えても、多く食べているからです」
 「痩せている人は、実際は活動量が多いのです」
と言われてきましたが、私はそれには昔から懐疑的です。

 数年前に
 「どうやら人により +-20% 程度の代謝の幅がある様だ」
というのが分かって来た様です。

 しかしこれが何に因るものなのかはまだ分かっておらず、基礎代謝のような一日を通じて活動しなくても生じるものなのか、何らかのきっかけで発熱が生じやすい体質があるのか、それとも思いもよらぬ別な方法で代謝(消費)をしているのかなどは分かりません。

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 例として良く信じられている話しを挙げます。

 「学者」は運動量の少ない仕事の一つと思われていますが、私の知る先生には良くお食べになる方が多いです。かつあまり肥られていないです。

 これは
「脳みそは糖質しかエネルギーとしないし、頭を使うという事は糖質を必要としているから、ご飯をたくさん食べても肥らない」
という説明で何となく納得してしまいますが、元々脳みその必要とする糖質は 5g/h (1時間当たり 20Kcal )程度ですから、それが学者はよく考えるから2倍必要だ、とはならないと思います。

 また、頭脳を使うと糖質の消費が増えるという事自体が証明されていません。
 それなら脳みその重量で計算する方が適切な気がします。
 だからどちらもあまり関係ないのでしょう。

 それよりも大抵の学者の先生方はあっちこっち動き回るので(教室、研究室など)、身体活動量が多い為ではないかなあと私は思います。


 このような「一般的に信じられやすい事」は実際に正しいかどうかはよく分からないのです。何となくそうらしいと思う事が、何の疑いもなく信じられている事が多いです。


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 話しを戻します。

 さて、
 「人により +-20% 程度の代謝の幅がある様だ」

というのが分かってきましたが、これで 50kg 程度の人の基礎代謝を 1200Kcl/日 として当てはめて計算してみると、+-240Kcal の幅があるので、960 Kcal 〜 1440 Kcal となり、上下最大幅の差は1日当たり 480Kcal になります。

 この 480Kcal という数値は女性の方の八分目くらいの1回の食事とほぼ同じカロリーです。

 「一回分の食事に相当するだけのカロリーを摂っても変わらない」となると、「肥りやすい」と思っている人にとっては夢のような話しです。


 この差は本当らしいのですが(というか、そう言う研究例があり、それを元に考えるとそういう風になる訳です)、果たして何が原因でそういう現象が生じているのかが分かりません。

 体質的なものなのだと私は思うのですが、体質だけを挙げるとしても
・遺伝子にさかのぼるのか
・成人しても BAT が多く残っていて発熱が多いのか
・今までの活動の結果、体内酵素の種類が違うのか
・今までの活動の結果、食事誘発性体熱生産(DIT)や運動後過剰酸素消費現象(EPOC)が生じやすくなっているのか

位の幅があって、元々どうにもならないものなのか、大人になってからではどうにもならないのか、それとも遺伝子療法の様な方法でどうにかなるのか、または難しい運動でどうにかなるのか、全く持って安易な方法でどうにかなるのか、そういうのは追っていかないと解明されない訳です。

人間の発熱 1

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 人間は恒温動物で、体温を一定の範囲に保たないと生きていけず、通常は外気の方が温度が低いので自ら発熱して体温を上げることが必要になる。

 発熱には、
1、産まれた頃は活動が出来ないので、褐色脂肪細胞組織が発熱をする。
2、活動する様になるに従い筋肉の発熱を利用する様になる。
3、成長とともに褐色細胞の量は徐々に減る。
という働きや変化がある。

 他に
4、食事誘発性体熱生産(DIT)
(食後に発生し、それと1の相関性があるのかどうか、よく分かっていない)。
5、運動後過剰酸素消費現象(EPOC)
(これは活動をしないと発生しないものなので、2に付随する現象として良いだろう)。
等が発熱を行う。
 
 
 
 成長や加齢に伴う発熱の変化は1〜3が占める割合が高い様に思われ、私はこれらの点が減量の為に重要な事なのではないかと考えている。


 褐色脂肪細胞組織は、BAT (brawn apopose tissue) と呼ばれ、名前に脂肪とあっても脂肪を蓄える働きはなく発熱を行う。
 体内にはもう一つ白色脂肪細胞組織 WAT (white apopose tissue) というものがあり、これが俗にいう体脂肪である。これは発熱はしない。
 
 
 
 この、
1、産まれた頃は活動が出来ないので、褐色脂肪細胞組織が発熱をする。
2、活動する様になるに従い筋肉の発熱を利用する様になる。
3、成長とともに褐色細胞の量は徐々に減る。
について説明したい。

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・BAT は産まれたときは 100g ほどあり、主に首の裏から脊髄に沿って背中くらいまでに分布している。
・BAT は成人になると 40g 程度にまで減る。
・BAT は 1kg 当り 300 ~ 400W の熱生産量があるといわれている。一般的な哺乳類の基礎代謝は 1kg 当り 4.1W 程度と言われ、それに較べると遥かに高い。

(要約)
(出典元:中京大学体育学部教授、医学博士 湯浅景元)
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 褐色脂肪は運動をしなくても発熱する。

 褐色脂肪(以下 BAT)は産まれた頃は 100g 程度あり、それで 3kg くらいの赤ちゃんの発熱をほぼすべてまかなえる。

 赤ちゃんが寝ていてもポカポカ暖かいのはがこの BAT の発熱が理由で、また身体が小さいから低体温症にならない様に自然と体温が高く保たれる必要があるのだろう。
 子供の体温が大人より高いのも同じ理由である。


 その後成長するにつれ大人になるにしたがい、BAT から筋肉へと発熱源が替わり体温を保つ事になる。
 また BAT は減少していく。


 筋肉の種類は、骨格筋の「横紋筋」と、内臓の「平滑筋」があり、それとは別に心臓の「心筋」というものがある。

 これら筋肉は BAT と較べると遥かに基礎代謝が低いため、活動量が少ないとどうしても体温が上がりにくいとなる。そして動物が随意に活動に使えるのは骨格筋である。
 内臓組織は骨格筋とは異なり意図的に動かす事は、横隔膜以外はほとんど出来ない。意図して心臓や呼吸が止まってしまうのだと、ちょっと困る気がする。

 これらにより
「成人は子供に較べると、意図的に骨格筋を用いた活動をしないと熱を出しにくい」
という事になる。

 ここでいう活動とは「生活活動全般」の事を指し、スポーツやトレーニングという意味ではない。


「筋肉(骨格筋)を増やすと基礎代謝が上がり、何をしなくても体脂肪を減らしてくれる」
という類いのものを時々見かけるが、摂取を減らさない限りありえなく、ほぼウソである。

 何もしないのでは体脂肪は減りはしない。
 また何もしない時に減るのは「体組成全体」であり、体脂肪だけが都合良く減る訳ではない。

 そもそも筋肉(骨格筋)を増やすには、ある程度の活動が必要である。
 活動の強度を弱めると、活動により肥大した筋肉(骨格筋)は不要なために萎縮して元の量に減る。
 体脂肪は非常時のエネルギーに保存しておきたいから、どちらかと言うと骨格筋や内臓筋から減ってくる傾向がある。
 
 
 
 ただし、体脂肪は主に基礎代謝に使われているので、
「何もしない方が、体脂肪の燃料割合は高い」
というのは、事実である。

 例えば 50Kg くらいの体重の方の基礎代謝は 45kcal/h 程度であろうが、寝ているような活動がほとんどないときは、ほとんどを脂肪の代謝でまかなっている。

 対して、軽い有酸素運動でも消費カロリーは遥かに増大する。
 体重 50kg の人が 8km/h で 8km (1時間)ジョギングするとしたら、400Kcal/h の消費となる。
 ジョギング等の有酸素運動の場合はほぼ「1kcal/kg/km」のため、速度に関わらず「体重 * 距離」がおおよその消費カロリーとなる。
 LT値以下の有酸素性強度ではその 50% 程度が脂肪燃焼と考えられ、半分の 200Kcal は脂肪がエネルギーとなり燃焼される。
 このように絶対的な消費量は活動をしている方が高いのは当然である。


 そして「何もしない時」に発熱を担っているのは、ほとんどが内臓組織(心臓や呼吸器系、消化器など)による。
 「何もしない時」に骨格筋は期待するような脂肪燃焼はほぼしない。
 
 
 
 筋肉の基礎代謝が低いのは、それは活動時のエネルギー効率が高い為で、それは追って記す。
 


 色々シリーズで書きたい事があるのですが、内容が纏まっていない事や踏ん切りが着かない事もあって、バラバラと脈絡なくコラム的に書いています。


 男性のビルディングは簡単に言うと増やしていく事でバランスが取れます。
 それが増えなくなる部位がその人の弱いところで、人により脚だったり腕だったり肩だったりします。

 肥大が進めば頭打ちになるので徐々に難しくなりますが、これをそれ以上の増量するにはどうすれば良いかという事で、ピンポイントにアイソレートで行ったり、フォーストレップやピラミッドなどで頑張る訳です。

 増量のような見えやすい方向に行くのは分かりやすいです。本人も目標を立て頑張りやすいです。


 では減量の場合どうなのかというと、脂を減らすだけの減量と、その先をいくボディデザインとでは、難しさが全く異なると思っています。

 通常減量は体脂肪の減量を行います。
 健康上問題があるような肥満は大抵体脂肪率が高いのでその減量となりますが、どちらかというとこの場合は身体組成全体の減量となります。


 「筋が減るのは良くない」のような話しをいわゆる「ダイエッター」の方はいわれるのですが、それだと良いボディデザインにはならない場合が多いです。

 この「筋が減るのは良くない」の話しは、例えば食事を制限された状態で病気でベッドレストしていたり(橙部の骨折などで歩けない場合)、BMI18 を切ってさらに減量したいというような病的といえる減量時には当てはまります。

 そう言う状態であれば、歩く程度でも筋量は維持されます。


 「有酸素運動は筋肉を減らす」
というのは、数時間有酸素強度の運動を連続して行うような場合には、
「酸素を行き渡りやすい様に筋肉を細くし、活動に順応する」
反応の結果現れる症状です。


 ベッドレストのようなほぼまったく活動の無い状態と、マラソン選手のような強度で長時間に渡る活動状態は別な訳で、それを一緒くたにして「有酸素運動は筋肉を減らす」というのはすべてに該当するのではないです。

金槌な人

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 泳げない人のことを金槌と呼ぶが、これは実際にある。

 これらは二つに分かれ、

1、技術的に泳げない(泳力不足)。
2、身体組成の比重でどのようにしても沈んでしまい呼吸が出来ない。
となる。


 この、1、技術的に泳げない(泳力不足)。 というのは練習すれば大抵どうにかなるのだが、顔を水に浸けられないとかそう言う恐怖心がトラウマとなっているような場合もあるようで、そう言うときは「大丈夫だよ」というような安心感を作る事から始まる。


 2、身体組成の比重でどのようにしても沈んでしまい呼吸が出来ない。
という現象が普通はなかなか理解が難しいようである。特に泳げる人にはそう感じる。
 この場合1の泳力不足はあまり関与しない。

 通常人間は体脂肪(皮下脂肪)があるが、それが 15% ~ 25% 程度あれば比重の関係で水に浮きやすい。体脂肪の比重は 1.1 くらい、除脂肪組織の比重は 0.9 くらいと言われている。
 中庸な方や、体脂肪率が少なくても体重が軽い方は、呼吸をすると息が 2000 ~ 4000cc くらいは通常は入るので、その分浮力が増す。
 そうすると何をしなくても水に浮けるのである。

 そして、大抵は息を吐くと水に沈む。
 「残留空気」というのか、正しい名称は忘れたが、息はすべて吐いたつもりでも 1000cc くらいは肺に残っている。肺というよりは気道と言う方が正しい。
 ボンベなしの素潜り世界記録などでは 100m くらい潜るらしいが、この残留空気が水圧に負けてつぶれるのが悪い影響を与えたりするので、そこを筋トレで強化するのだ。かなりマニアな競技だ。
 
 
 
 体脂肪率がこれよりも多い方の場合は、こんどは沈まなくなる。おおよそだか 30% 程度を超えると仰向けに浮かんでいる場合は、息を吐いても呼吸面(要するに鼻と口)は水面上にあるような気がする。

 体脂肪率が 50% を越えたりすると、どうやっても沈めなくなる。
 水中法で体脂肪率が計れなくなるのである。

 普通体脂肪率が 50% を越えるような場合は、男性だと体重 100kg 程度になるので、それで計算してみると、
・体重 100Kg
・体脂肪 50kg * 1.1 = 55L
・除脂肪体重 50kg * 0.9 = 45L
・容積合計 = 100L

 おお、これだと息をしないでちょうど釣り合う。
 現実的にはこのような方が沈まないのを見ると、比重がもうちょっと違うのかもしれない。


 こういう浮きやすい人は水中ウォーキングをしてもふわふわして足が地に着かない感じとなり、踏ん張りが利かずになかなか歩けなかったりする。

 一般的な方の水泳の指導をしている水泳指導者や、現場で水中ウォーキングの指導をした事のない様な指導者は、こういうのを理解してくれない事もある。
 
 
 
 ちなみに水泳選手の体脂肪率は、他の競技の選手と較べると高い。
 これは体脂肪が競技記録に影響を与える率が低い事や、浮きやすくなる事で却って都合が良くなったり、または体温より冷たい水に体熱を奪われにくくなる為でこれもまた都合が良いとなるためである。
 
 
 
 ビルダーや短距離陸上選手などは筋肉量が多く脂肪量が相当少ないので、息を吸っても全身の比重が水より重い。

 元々泳げる水泳選手が引退しビルダーに入ったとすると、泳法で上体を船の様に持ち上げられるので呼吸は出来るはずだが、そうだとしても泳ぐのを止めると沈むので、そうなると息が出来ない事になる。泳ぐのを止めると息が出来ないのではまるでマグロみたいだ。

 しかしそう言うのはまれで、ビルダーは大抵水泳は嫌いの様である。
 そう言う人が息をする為には足が床に着いてぴょんとジャンプして、沈むまでの間に息を吸うのが精一杯なのである。通常こういうのは溺れている様に見える。

 短距離陸上選手が水泳を好きかどうかは知らない。機会があったら聞いてみようと思う。

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