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真夏のミステリー…食中毒激減のナゼ(夕刊フジ)
時節柄、毒キノコ中毒のニュースが話題になる季節だ。毒キノコ中毒は年間平均200−300例も発症している。しかもその9割が9−10月に集中しているのだ。今回はストレートな病気とはいえないが、“明暗”を比較した。
【劇的に減少】
東京都の月別食中毒発生状況では、今年の7月は3件で患者数14人、8月は6件で患者数30人。6月が11件で148人だったから大幅ダウンだ。昨年の7月13件242人、8月12件、患者数188人と比較しても非常に少ない。「7、8月で今年のように少ないのは今までにない」と東京都食品監視課食中毒調査係も首を傾げるほどだ。
さらに、厚生労働省の2007年食中毒発生事例(速報)を見ると、今年7月の発生件数は22件で患者数276人。昨年同月は150件で患者数2740人に比べてはるかに少ない。
「まだ速報値の段階で、各都道府県の発表とタイムラグがあるため、今のところなんともいえない」(厚労省食品安全部監視安全課)
【要因は不明】
猛暑だったのになぜ? 過去の食中毒を振り返ると、発生事例が減ったケースがある。たとえばサルモネラ。1998年に卵の表示基準や液卵製造基準などの法改正があり、発生件数は減り続けている。また、腸炎ビブリオも2001年に生食用の鮮魚貝類などの食品添加物規格基準の改正以降、年間600〜800件の発生が100〜200件台にまで減少した。
ただ、厚労省も「結果として法改正後に減っているが、法改正は減る要因のひとつに過ぎない」としているように「法改正原因説」は決定打ではないようだ。同省はむしろ「個人が注意しはじめたからではないか」と「個人原因説」をとる。
しかし、それだけでガクンと減少するのか。東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授は次のようにみる。
「猛暑で気温が高いほど食中毒菌は繁殖しやすい。しかし『こんなに暑いと食べ物がすぐに腐る』と人は考える。そのため、例年以上に食べ残したものをすぐに捨てるなど、食中毒に注意したのではないか」
劇的減少は“真夏のミステリー”だったのか。これからの季節はようやく涼しくなるとはいえ、まだまだ油断は禁物だ。
最後に予防のポイントを挙げておこう。
(1)肉の生食は避け、十分に加熱してから食べる。(2)冷蔵庫や冷凍庫の詰め過ぎに注意。目安は7割程度。また冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は−15度以下に維持する。(3)温かく食べる料理は常に65度以上に、冷やして食べる料理は常に10度以下にしておく。(4)残った食品を扱う前にも手を洗う。(5)時間が経ち過ぎたら思い切って捨てる−。
[産経新聞社:2007年10月02日 17時25分]
http://newsflash.nifty.com/news/ts/ts__fuji_320071002021.htm