国境の街は面白い。貧富、猥雑、欲望が見える。偉そうに書いているが、単にヤバそうな奴らを見るのは楽しい。
日本から海外に旅行に行くとほとんどが空路だろう。海路もあるが、韓国、中国、台湾、ロシア東部くらいだろうか。
空路や海路であれば必ず空港や港に着かざるを得ない。大抵はその港の印象しか無いし、国が悪い印象を避けようと悪い奴らを排除しようと努力している。
途上国では空港から出ると、タクシーの運転手や白タク、バイク、訳の分からない類い、色々よってくるが、所詮空港へ立ち入りが許された者だからいくら煩雑でも何らかの秩序を持っている。
日本以外の大抵の国は隣の国と陸続きで接している。
陸路で国境を越えるには、外国で行うしかないから、そのような経験をお持ちの方はあまりいないと思う。
陸路で国境を越えるのは面白い。
陸路でパスポートコントロールを抜けると、そこは街である。そこには人がいる。元からある街ではなく国境が出来たから街になるところも多い。
そういう街には働き口を探そうとするまじめな人や、楽して金にならないかと考える悪そうな輩がたくさんいる。大悪でなくチープな悪である。それが面白くてたまらない。
香港から陸路で深圳に入るとそこもバスターミナルになっている。ホテルの案内所などもあったかもしれないが使わないので覚えていない。私のように中国に入った人間と、これから香港へ出る人間の二通りがいる。
私は大抵ホテルの予約を取らないで行く事が多い。観光ではなく仕事なのでどう予定が動くか分からないからだ。それに観光シーズンではないからどうにでもなる。一泊目を取っておくと着いた時に楽だが、出る前に予約をするのも面倒だ。
そういう私のような人間を目当てで色々な人がよってくる。大抵は「安いホテルがあるぞ」「車付きだ」「案内するぞ」「市内のホテルは満室でもう取れない」の様な言葉でよってくる。どこか微妙な関係があるらしく最初はわっと集まってもやがて一人抜け二人抜けで、最後は一人になる。
それで金の相談になるのだが、大抵は先進国価格で言ってくる。
「市内のホテルは満室で遠いところのしかないから案内して100USD で、ホテルは別に 100USD だ。」
などと言ってくるから、
「両方で 30USD ならいいよ」
くらいに適当に答えていると、相手は脈が無いと思うらしくやがてあきらめる。
50USD くらいでも大もうけなのであろう。大抵は白タクで悪い奴らも多いから気をつけてほしい。一見まともそうに見えるのがいてもよく分からん。
相手にしない方が良い。