「私、低体温症だから痩せない」
とおっしゃる方がおられる。
低体温症とは、本来は寒冷状態に置かれた際に現れる症状全般を指す言葉で、どちらかと言うと医療用度である。
それが「ダイエットの専門家」の方々が、
「低体温症とは基礎代謝が下がった状態で、こうなると痩せにくい身体に云々、、、」
という言い回しをする様になり、そう思っている方もおられる様だ。
低体温症になると腸内の酵素の働きなどが悪くなって、大抵まづは下痢の症状が現れたりする。
そういう症状が出ていないようなら、大げさに低体温症とは言うことはないと思う。
正確な体温は身体の中心部の温度の事を指し、核心温度と呼ばれる。ただしこれは実際には計れなく概念である。
体温をなるべく核心温度に近く計るのを簡易に行うには直腸で計測する事が多いが、普通は自分ではそうしないと思う。私も自分でした事はない。
皮膚は空気に触れているので、皮膚温度は実際の体温よりも低い。
そのため皮膚で挟む計り方では低く表示されやすい。
正しく計るには直腸で行いたいのだが、人前だとなかなか勇気がいる。
そのためかどうか知らないが、通常は腋窩(えきか、わきの下)を用いる。
舌下(口腔)で計る事もあるし、赤ちゃんに使いやすい耳などで短時間で計る放射赤外線の温度計も販売されている。
他にもいろいろな種類があるし、病院ではプローブで計るようなものもある。
計る場所により核心温度より下がってくるが、直腸>舌下(-0.2)>腋窩(-0.2~0,4)程度の差だった様に思う。おぼろげなので詳しく知りたい方はご自身で調べてほしい。
大抵は元からそれを差し引いて考えているし、健康な状態の検診で計るにはほとんど関係ないと思う。
通常用いる体温計は水銀計が多く、これは実際の温度まで上がって表示する。そのため正しい表示になるまで5〜10分くらいかかる。自分の体温で体温計を温めないとならないのである。
電子温度計は適当な間隔での上昇具合から、体温を計算して表示するものが多い。時間は短くて済むが誤差は多少ある。
何か懸念が見つかった場合は再度精密な方法で計り直せば良いのだから、通常ではあまり関係ないだろう。
そもそも自分で計れるのだから、緊急事態ではない。
話しが長くなったが、腋窩にきちんと差し込まないと正しい体温は表示されない。
片手を上げて脇の下を触ってもらうと、大胸筋の纏まった部分の奥にくぼみがあるが、ここに正確に当てないとならない。またタオルなどであらかじめ汗を拭く必要がある。
この場所に正しく刺すには医療機関では「体軸に対して30度」というような言い方をするが、寝て計る事が多いのでこういう言い方になるのだと思う。
通常はイスに座って計る事が多いので、その場合は60度くらい上向いた角度となる。
水平線から垂直の90度の角度の半分が45度で(当然だ)、そこからさらに15度上向いた角度の60度が、イスに座って計る場合の体温計のなすべき角度である。
かなりおったつ。
ところがどっこい、そんなことおかまいなしに、脇の下に水平に差し込んでいる人もけっこうおられる。
これだと空気に触れた皮膚で計る事になるので、1〜2度くらい低い事が多い。
しかも5分10分我慢できず、出しては見てを繰り返す。
そうすると34〜35度くらいに表示される事が多い。
それを見て
「私、低体温症だから痩せない」
となる。
もし正しく計って普通の体温が表示された場合は、言い訳がひとつ減って困ってしまう 低体温症じゃないから安心してほしい。