スポーツ心臓は3種類あります。
1、有酸素運動型
良く知られているものは、有酸素運動をしている場合になるタイプで、
「心室の容積が増え、心筋の厚みは変わらない」心臓です。
これは有酸素運動を長時間続けるには、酸素の供給が多いほど有利なので、吐出量が多くなるようにと、心室の容積が増える為です。
2、ウエイトリフティング型
ウエイトリフティングなどの競技では、全身の筋肉が緊張する為に、それに打ち勝って血液を送れるように、
「心室の容積はそのまま、心筋が厚くなる」タイプの心臓となります。
そのためウエイト等を用いたレジスタンストレーニング(以下RT)などをしている方も、同じタイプの心臓になるのではないかと考えられます。
また RT をしても、「血圧が下がらない」事が知られています。
これは積極的に上がるという意味ではないのですが、有酸素運動をするとほぼ明らかに下がるのですが、そのような低下に導くような効果は出にくいとなっています。
そのため高血圧気味の方が運動療法や楽しみの一つとして、強い負荷での RT を導入するかどうかは、まず高血圧気味な状態を良好にしてからの方が良いと思います。
血圧が低下しない状態は RT を続けている間はその傾向があるのですが、2週間ほど休むと血圧は下がるため、血管そのものが変化するのではなく、RT による内分泌系(ホルモン)への影響ではないかと考えられています(出典元は後に調べてから添付します)。
重量挙げ競技や、競技選手やビルダーの本格的な RT の場合は、収縮期血圧(高い方)は 300mmHg 程度になる事は知られており、研究者によっては 400mmHg くらい行くのではないかという方もいます。
ただしこれは怒責(どせき、バルサルバ。呼吸を止めて力んで挙上する事)、スクワットのような全身を使う種目で最大負荷( = 1RM 負荷)を扱うときに考えられる数値で、一般的な 10RM の様な負荷や方法では私はそこまで上がらないと考えています。
ベンチプレスのようなライイングで行う種目の場合は、血流は確保されるのでこれも街頭から外れるでしょう。
また脳内の出血を心配される方もおられますが、脳は全体に圧が掛かるのでそれはあまり考えにくく、通常は鼻血が出る事が多いようです。
ただしエビデンスはないのと、RT では血圧が下がらないことは上記のように知られている為に、健康づくりに RT を入れられている方にしても、不安を感じる場合は無理な負荷は避ける方が良いでしょう。
3、自転車やクロスカントリースキー(水泳、スピードスケートも?)
この場合は、上記1と2の両方の性質を持ったスポーツ心臓となります。
これは、競技時間が長く有酸素的な酸素供給量が必要な事と、筋肉が終動的な負荷で出力をする(筋肉が1回あたり出力している時間が他の競技と比べ長い)為に、
「心室の容積が増え、かつ心筋も厚くなる」タイプの心臓となります。
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補足
あまり知られていない事なのですが、心筋は有酸素運動しか出来ません。
どんなに速く動いている時も、無酸素運動とはならない(出来ない)です。
そのため心筋梗塞は心不全に繋がるため怖いのです。
また、無酸素運動で発生した乳酸を、エネルギーとして使用する事が出来ます。
ちなみに血管の筋肉の種類は平滑筋で、これは消化器官(胃腸)などの臓器と同じタイプの筋肉に分類されます。
ついでに蛇足:焼き鳥や焼き肉でハツが赤いのは、心筋にはミトコンドリアが多いためです。