人間の発熱 1

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 人間は恒温動物で、体温を一定の範囲に保たないと生きていけず、通常は外気の方が温度が低いので自ら発熱して体温を上げることが必要になる。

 発熱には、
1、産まれた頃は活動が出来ないので、褐色脂肪細胞組織が発熱をする。
2、活動する様になるに従い筋肉の発熱を利用する様になる。
3、成長とともに褐色細胞の量は徐々に減る。
という働きや変化がある。

 他に
4、食事誘発性体熱生産(DIT)
(食後に発生し、それと1の相関性があるのかどうか、よく分かっていない)。
5、運動後過剰酸素消費現象(EPOC)
(これは活動をしないと発生しないものなので、2に付随する現象として良いだろう)。
等が発熱を行う。
 
 
 
 成長や加齢に伴う発熱の変化は1〜3が占める割合が高い様に思われ、私はこれらの点が減量の為に重要な事なのではないかと考えている。


 褐色脂肪細胞組織は、BAT (brawn apopose tissue) と呼ばれ、名前に脂肪とあっても脂肪を蓄える働きはなく発熱を行う。
 体内にはもう一つ白色脂肪細胞組織 WAT (white apopose tissue) というものがあり、これが俗にいう体脂肪である。これは発熱はしない。
 
 
 
 この、
1、産まれた頃は活動が出来ないので、褐色脂肪細胞組織が発熱をする。
2、活動する様になるに従い筋肉の発熱を利用する様になる。
3、成長とともに褐色細胞の量は徐々に減る。
について説明したい。

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・BAT は産まれたときは 100g ほどあり、主に首の裏から脊髄に沿って背中くらいまでに分布している。
・BAT は成人になると 40g 程度にまで減る。
・BAT は 1kg 当り 300 ~ 400W の熱生産量があるといわれている。一般的な哺乳類の基礎代謝は 1kg 当り 4.1W 程度と言われ、それに較べると遥かに高い。

(要約)
(出典元:中京大学体育学部教授、医学博士 湯浅景元)
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 褐色脂肪は運動をしなくても発熱する。

 褐色脂肪(以下 BAT)は産まれた頃は 100g 程度あり、それで 3kg くらいの赤ちゃんの発熱をほぼすべてまかなえる。

 赤ちゃんが寝ていてもポカポカ暖かいのはがこの BAT の発熱が理由で、また身体が小さいから低体温症にならない様に自然と体温が高く保たれる必要があるのだろう。
 子供の体温が大人より高いのも同じ理由である。


 その後成長するにつれ大人になるにしたがい、BAT から筋肉へと発熱源が替わり体温を保つ事になる。
 また BAT は減少していく。


 筋肉の種類は、骨格筋の「横紋筋」と、内臓の「平滑筋」があり、それとは別に心臓の「心筋」というものがある。

 これら筋肉は BAT と較べると遥かに基礎代謝が低いため、活動量が少ないとどうしても体温が上がりにくいとなる。そして動物が随意に活動に使えるのは骨格筋である。
 内臓組織は骨格筋とは異なり意図的に動かす事は、横隔膜以外はほとんど出来ない。意図して心臓や呼吸が止まってしまうのだと、ちょっと困る気がする。

 これらにより
「成人は子供に較べると、意図的に骨格筋を用いた活動をしないと熱を出しにくい」
という事になる。

 ここでいう活動とは「生活活動全般」の事を指し、スポーツやトレーニングという意味ではない。


「筋肉(骨格筋)を増やすと基礎代謝が上がり、何をしなくても体脂肪を減らしてくれる」
という類いのものを時々見かけるが、摂取を減らさない限りありえなく、ほぼウソである。

 何もしないのでは体脂肪は減りはしない。
 また何もしない時に減るのは「体組成全体」であり、体脂肪だけが都合良く減る訳ではない。

 そもそも筋肉(骨格筋)を増やすには、ある程度の活動が必要である。
 活動の強度を弱めると、活動により肥大した筋肉(骨格筋)は不要なために萎縮して元の量に減る。
 体脂肪は非常時のエネルギーに保存しておきたいから、どちらかと言うと骨格筋や内臓筋から減ってくる傾向がある。
 
 
 
 ただし、体脂肪は主に基礎代謝に使われているので、
「何もしない方が、体脂肪の燃料割合は高い」
というのは、事実である。

 例えば 50Kg くらいの体重の方の基礎代謝は 45kcal/h 程度であろうが、寝ているような活動がほとんどないときは、ほとんどを脂肪の代謝でまかなっている。

 対して、軽い有酸素運動でも消費カロリーは遥かに増大する。
 体重 50kg の人が 8km/h で 8km (1時間)ジョギングするとしたら、400Kcal/h の消費となる。
 ジョギング等の有酸素運動の場合はほぼ「1kcal/kg/km」のため、速度に関わらず「体重 * 距離」がおおよその消費カロリーとなる。
 LT値以下の有酸素性強度ではその 50% 程度が脂肪燃焼と考えられ、半分の 200Kcal は脂肪がエネルギーとなり燃焼される。
 このように絶対的な消費量は活動をしている方が高いのは当然である。


 そして「何もしない時」に発熱を担っているのは、ほとんどが内臓組織(心臓や呼吸器系、消化器など)による。
 「何もしない時」に骨格筋は期待するような脂肪燃焼はほぼしない。
 
 
 
 筋肉の基礎代謝が低いのは、それは活動時のエネルギー効率が高い為で、それは追って記す。
 


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このページは、hisaが2009年3月 5日 15:05に書いたブログ記事です。

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