これをクリックして大きくして見てほしい。昨日アップした雪豹だ。
ライオンや虎、雪豹などの鼻の割合は、家ネコのそれより明らかに大きい。
なぜか?
においを嗅ぐ為ではない。
のどをゴロゴロと鳴らす音が爆音なのでもない。
これは運動的な生理的な条件からだ。
まず、家ネコの体重を 5kg としよう。
ネコ科の獣は、小さめのチーターなどが 30-40kg で、ライオンは200kg、虎は 250kg 程度となる(虎の方がでかいのは寒いところに住むから)。
写真の雪豹はネコ科では小~中型に分類されると思うが、家ネコより顔に占める鼻の割合が大きい。
なぜ鼻が大きいかというと、酸素摂取量との兼ね合いである。
身体組成割合が同じとすると、体重が10倍になると必要な酸素量は10倍になる。いろいろ違いはあるが今回は単純に比較する。
四つ足の動物は重力を受ける支点が4点あるため、身体が大型化するにつれ、縦横奥行きがほぼ同じ割合で増える性質を持つ。
家ネコの胴体長(首の付け根から肛門まで)は 30cm としよう。また、計算しやすくする為に体重 5kg とする。
雪豹は家ネコより大きく、胴体長はその2倍の 60cm 程度と仮に設定する。
そうすると、雪豹の体重は2の三乗の8倍で、40kg になる。
(実際に雪豹の体調や体重は知らないです。多分ですがもうちょっと大きい気がしますが、今回は気にしないでください)。
5kg の家ネコと 40kg の雪豹は、体重が8倍違うから、必要な酸素量は8倍になる。
そして、空気を通す気道は、断面積と通過量が比例する。
断面積は直径の2乗に比例する。
そのため8倍の酸素が必要な時の鼻の穴の直径は、ルート8 の 2.824 倍と、およそ3倍となる。
鼻の穴が大きくなるには、鼻そのものが大きくならないと無理だ(さっきから花野アナと変換されて困っている)。
体長は2倍だと顔の大きさも2倍だが、鼻だけ3倍となるのである。
そのため雪豹は、顔における鼻の占める割合が家ネコに比べ大きいのである。
そうすると、ライオン 200kg(体重比40倍)の鼻の穴の直径は 6.3 倍、虎250kg(体重比50倍)は7倍となる。
しかし雪豹の鼻と同じような割合に見える。おかしいと思われるかもしれない。
これはそれぞれの全長が、3.4倍、3.7倍と、雪豹の 2:3(=1:1.5)、ライオンの3.4:6.3(=1:1.85)、虎の3.7:7(1:1.9) と、2倍に届かない比率で増えるから、同じ割合のように見えるのであろう。
ほかには実際に体調や体重の割合だけではなく、走り方や運動量の差もあるのだと思う。これは今回はそこまで仲良しで協力的な大型獣が私の近くにいないのでおいておく。
ちなみに目の大きさはどの動物もあまり変わらない。
これは眼球にある光の受容体の量と脳の関係でそうなのだと思う。
そうなるとホルモンや神経系の働きが強くなり、総体重との関連性は薄れる。
地上の明るさは、大昔から太陽で決まっているので、それに従っているのだろう。
動物の組成物質(タンパク質など)は、それぞれは同じ分子量だ。
そのため、深海などの暗いところにいる魚の目は、たいてい大きくて、暗いところでも見やすいようになっている。または諦めて退化している。
また、大抵の動物は口呼吸が出来ないから、口の直径は酸素摂取量とは関係ない。大抵の動物の口は食物の摂取にだけ使われる。
人間は声帯を用いての会話をするという進歩過程の結果、口呼吸も出来るようになり、口は食物の摂取と呼吸と会話に使われる。
そのため鼻が大きいから酸素摂取量が多いのかどうか私は知らない。優秀な長距離選手を見て傾向を教えてほしい。
また、人間は、全長と体重の割合が四つ足の動物と異なるので、今回のこれとは条件が異なるといえよう。