【カンザスシティー(米ミズーリ州)17日時事】安堵(あんど)感を漂わせた。米大リーグ、マリナーズのイチローが17日、当地でのロイヤルズ戦で3安打を放ち、メジャー記録に並ぶ8年連続200安打を達成。「恐怖との戦いでしんどかった。きょうはメチャクチャうれしい」。普段は冷静な34歳が興奮した。
偉業を振り返る記者会見で「恐怖」という言葉を繰り返した。渡米1年目から欠かさない目標は例年、170安打から強く意識する。「(タイ記録となる)今年は何としても外せない年で、0の段階からその気持ちに近かった」と言う。「(安打を)欲しいという気持ちが邪魔をする。もし199本で終わったらそれも恐怖だし、できないかもしれないという恐怖は常にあった」と打ち明けた。
多くの金字塔を打ち立ててきた安打製造機でも、周囲が思うほど重圧を制御できてはいないらしい。「ただ、わき起こるものは受け入れていくしかないと。それと対峙(たいじ)するという気持ちでやっている」と説明。開幕直後からチームが低迷する中、「僕が絶対にやってはいけないのは、その悪い方へ流れてしまうこと。マイナスの空気はどうしても皮膚から入ってくるし、それだけはしないという信念」を持って、安打を積み重ねてきた。
大台に乗せた1本は遊撃への当たり。内野安打以外で決めたいと思っていたイチローは「超ファインプレーでアウトにしてくれないか」と思いながら、一塁へ走っていたそうだ。敵地のスタンドも拍手で祝福。「感傷? それがないのが僕。あると多分、8年続けてやっていない」。いつもの引き締まった表情に戻った。(了)
(2008/09/18-18:21)