初心者のレジスタンストレーニング 15、デッドリフト

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 名称

 デッドリフトは、ベント・ニー・デッドリフト Bent Knee Dead Lift が正式名称です。
 
 
 
 正しいフォームはデッドリフトから覚える

 私がパーソナルトレーニングをさせていただく場合は、まずはデッドリフトから覚えてもらいます。
 それは、デッドリフトには重いものを扱うときに共通するフォームや動作がほぼすべて含まれているからです。

 脊柱のアーチを正しく保ち、きちんと膝と腰を曲げて、床から物を持ち上げられる様にしてください。

 床に転がっている軽いウエイトを移動させるときも同様に、きちんとデッドリフトの姿勢で扱う様にしましょう。
 難しいトレーニングプログラムをしていても、これがきちんとできていない人が見受けられます。
 
 
 
 デッドリフトは股関節の伸展を主とする全身の種目

 デッドリフトにはいろいろな考え方が有りますが、私はこれは
 「股関節(大腿骨関節)の伸展を中心とした全身の種目」と考えています。
 股関節の伸展とは大臀筋で腰を伸ばす運動です。脚(股)を開く/閉じるの事ではありません(これは股関節の外転と呼びます)。
 股関節は人間で一番大きな関節なので、たくさんの筋肉が付いていて、一番力の出る部位です。
 それらの筋を一度に鍛えられる種目と考えています。
 
 
 
 道具

・バーバル
・必要に応じてトレーニングベルト
 
 
 
 動員筋

・デッドリフトは全身の筋が動員されます。
 主に刺激を受ける筋は上から順に、僧坊筋、脊柱起立筋、臀筋群、ハムストリングス、大腿四頭筋。
 インナーマッスルは、脊柱に沿った筋群、および臀部のそれがほぼ刺激を受けます。
・フォームや深さにより、様々な部位に刺激を与える事が出来ます。
(フロアレベル〜ニーリング、ナロースタンス〜ワイドスタンス<スモウ>)
 
 
 
 ポジションの説明

1、両脚は軽く開く。
2、母指丘の上にバーが通る様にする。
3、脊柱のアーチを保ち、膝と腰(股関節)を屈曲させながら、膝の外側からやや広めにバーを掴む。
4、レギュラーグリップを基本とする。発展や状況に応じてオルタネイトグリップやフックドグリップを用いるが、当初は不要。

5、肩の位置は、バーの真上。
6、バーを掴む姿勢では、臑(すね)と上体を同じ傾斜になる様にする。
7、しゃがんだ姿勢で、つま先と膝の方向を一致させる。
8、この際、バーは膝にぶつかる位置に有るが、膝は伸展して行くので膝に届く頃はちょうどかわせる。

9、腹圧を高め、膝と腰(股関節)を同時に伸展させていく。
10、バーが臑に沿いつつ上がり、バーが膝を越えたら膝を完全に伸展させる。
11、腰(股関節)を完全に伸展させる。
12、胸を張る様にして数秒保持する。

13、脊柱のアーチを保ったまま、脚に沿う様にして下げていく。
 
 
 
 ポジションによる違い

 スタートポジションの大腿の傾きは「身長:大腿と腕の長さ」の構造上の割合によって変化します。
・大腿と腕が短い場合は、大腿は水平に近くなる(日本人体系はこれに近い)。
・大腿と腕が長い場合は、大腿は立ってくる。

 スタートポジションの臑と上体の傾きは、次の様に変化します。
・大腿と腕が長いほど、上体の傾斜が強くなる(構造上)
・重量が重いほど臑が立ち、上体の傾斜が強くなる(臀部筋による股関節の伸展の力を利用するため)。

 当初はあまり難しく考えないで、臑と上体の傾きを一致させる事と、膝と股関節を同時に伸展させて行く事を覚えれば良いでしょう。
 
 
 
 補助

・不要
 
 
 
 初心者の方がフォームを覚える為に適していると思われる重量とセットの組み方

・男性 体重の 40% 程度(20kg バーバル)
・女性 体重の 20% 程度(10kg バーベル)
・固定重量法で 3 set

 不安な場合には重量を下げてください。
 
 
 
 バリエーション

・スモウデッド
・スティッフドデッドリフト
・ニーレベル(台に乗せておいて、腰の伸展の最後の部分だけを行う)


 注)
・ベントニーデッドリフト、スモウデッドはコア種目です。
・スティッフドデッドリフトは、ハムストリングスへターゲットを当てる補助種目です。
・ニーレベルのデッドリフトは、負荷が重ければコア種目の扱いで、負荷が軽く可動が狭い場合は、補助種目の扱いが妥当でしょう。
 
 
 
 パワークリーンへの発展の為のデッドリフトという考え方

 運動選手のトレーニングの場合は、パワークリーンの挙上重量を一つの指標とする事も有り、基礎段階が過ぎた頃からデッドリフトよりもパワークリーンを重視して考えるようになります。
 しかしパワークリーンは全身統合種目として瞬発能力を高める要素が強く、ジャンプ力のトレーニングと考える場合が有り、きわめて短時間の出力となります。
 そうすると、筋肥大に必要な比較的ゆっくりと挙上する動作となりにくい、という事になります。

 また、パワークリーンは技術の取得が難しいため、現実的にはデッドリフトから始める事が多いです。
 これらにより、基礎段階に該当する筋肥大トレーニングの場合は、パワークリーンよりもデッドリフトをすべきでしょう。

 また、試合期の筋維持としてのトレーニング、シェイプアップ、ビルディング等では、デッドリフトをする方が効率が良いでしょう。



http://hisajp.info/2008/11/post_148.html


http://hisajp.info/2008/11/post_150.html

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このページは、hisaが2008年11月29日 23:10に書いたブログ記事です。

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