知らない事はすごく楽しい

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 知らない事はすごく楽しい。
 こんなに楽しい事は無い。
 これからたくさん知る事が出来る。
 謎がたくさんあるほど一生飽きずに楽しめる。


 私が
「知らないのは良い事で、こんな楽しい事は無いです。
 これからいくらでもチャンスがあります」
と話すと、

「馬鹿にしているのか」
「知らないなんて、あんたプロか」
「あんたと話してると頭痛くなる」
という反応を見せる人もおられる。


 世の中で分かっている事は、小学生の習う算数の足し算やかけ算のような、答えが最初から決まっているものだけの様な気がする。
 高度な数学は「世の中の現象を数式で立証できるかどうか」ということだから、答えはやりながら見つける事になる。

 算数と数学は違う。
 小学生の習う算数の様に最初から答えが決まっているものの方が、人生では遥かに少ない。
 
 
 
 身体の世界は広くて深いから、世界のトップの学者と医者と運動選手とトレーナーをたくさん集めても「何も分かっていない」というくらいのものなのだと思う。


 例えば「筋肥大」は、「10RM で何セットか本気で頑張る」を繰り返せば肥大する。

 じゃあ、
「日々の間隔はどの程度で行うと良いのか」となると、簡単に言うと「筋肉痛が消えた頃なら多分そんなに効果は変わらないだろう」となろう。

 じゃあその次に、
「最適化するにはどうすれば良いのか」
となると、最適の前提が「筋肥大」という単純明快な目的だが、

「栄養、休養、現在の身体条件、その他。そのような周辺条件は明らかに言えるか。
 ではそれが言えたとして、それを元に計画した通りに完璧に実行できるか。
 完璧に実行したところで、そもそも計画の時点で完璧な計画だと言えるか。
 新しい事項が露呈したらどうする。
 伸展に伴う条件変化はどのように考えている。
 もっと良い方法が見つかったらどうする」

程度に話しが広がる。そうなると、

 「そんな不確定な事を議論してもなにも進まないから、今やれるところから進めれば良いだろう」
となる。やらないと分からない事の方が多いのである。

 だからなにごとも
「知らないものは知らない」
「やってみないと分からない」
となる。


 もちろんそれぞれの理論は単純に言えるが、
「他の条件が重なった場合はどうなのか」となると都度全く異なるのである。

 筋肉だけでこうなのだから、心肺機能のようなその他の基礎身体的な能力が絡むと変わってくるし、そこに競技技術や審美的要素が絡むと、あきらかにもっと複雑になる。


 やらない人ほどそういう前提条件を全く関係なしに、
「どういうのが最高なんだ」
ということを知りたがる。

 周辺条件の調べようがないのがほとんどだから、知ったところで使いようがないものだ。
 知るのは面白いし大事な事だが、運動やトレーニングで結果を得るには行動をする必要がある。
 知識だけ集めて満足しても、何らかの身体活動をしないと変化が起こらないのが辛いところだ。
 
 
 
 人間の活動は、脳や筋肉、感情という様ないろいろなものがごっちゃになって行われている。

 感情はホルモンの変化で行われる化学反応だ。
 ホルモンが出ると何らかの身体的活動を伴うことがある。
 活動があると今度は別なホルモンがでて、異なる反応が現れる。

 感情が活動に影響を与え、活動は感情に影響を与える。
 玉子が先か、鶏が先か。

 運動は人間の行う活動の中のほんの一部だ。
 運動は筋肉だけで行えるものじゃない。
 美しさや奇麗さだって、筋肉と脂肪と体重だけで出来上がっている訳じゃない。
 
 
 
 やる前から今のプランが最適だと信じ込み、何かあったらにっちもさっちもいかなくなるというのでは、柔軟な考え方とは言えない。

 例えば最初から計画が完璧に作られていると思われるスペースシャトルの往復だって、出発が何らかの人為的や機械的エラーで遅れたり、天候が向かなかったりするし、戻ってくるときだって天候が悪ければ伸ばしたり、降下地点を変更したりする。
 手持ちの水や酸素の量は限られているから、いつかはどうにかしないとならないのである。

 もちろんそれぞれは計画の中に元から入っているが、そういうオプショナルプランを出せる事の方が実際には大事なのである。


 上手く行っていれば別に何も気を使わなくて良いが、プラン通りにやっていたって予定通りに行く事の方が実際は少ない。
 飲み会だってあるし、さぼりたくなる事だってたくさんある。
 家族の体調の悪いのを放っておいてトレーニングに行く事は無いだろう。

 そもそもは目的に近づく為にやるものだ。

 それらをやっていくうちに「その時点でのより良い方法」を見つけられるのだろうから、自分にそういう新しい可能性を見つけるのが、運動やトレーニングなのだと思う。


 柔軟な考え方を重ねていくと最適な考え方に近づくものなのだろう。
 突然与えられるものではないだろう。
 
 
 
 知らない事はすごく楽しい。
 こんなに楽しい事は無いのである。

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このページは、hisaが2009年4月 1日 17:40に書いたブログ記事です。

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