運動時は通常の食事と比べて、摂取量、割合、タイミングなどで異なる点がある。
「競技の成績を上げるため、運動の効果を出しやすくするため、より良い方法を探る」と考えてほしい。
けがや故障から守る為にも栄養は重要な点なので、「私は初心者で軽い運動だから栄養など気にしない」という考えは止めてほしい。初心者だからこそ最初が大事といえる。あなたがけがをすると困る人もいる。
子供編は後で書くが、全般的には同じなので、お父さんお母さんは最初から読んでほしい。
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全体から概要から通して書いていきたいと思う。
基準となる指標としては、「メッツ」「第六次改訂エネルギー所要量」「日本人の食事摂取基準2005年版」などがあり、運動においてもその延長とする事が望ましい。
しかしこれらの計算は、栄養士が付かないと難しく、家庭や選手自身で行う場合にはある程度簡略化して行っても差し支えないと思われる。
そのため、私は「基礎代謝、仕事などの活動代謝、運動代謝」の3つに分け、説明する事が多い。
1、基礎代謝は体重年齢から計算するが、体重1kg あたり24Kcal で概算でも良いと思われる。
2、仕事等の活動代謝はその1.5倍とする。
3、運動代謝は部活のような活動であれば、あまり細かく考えず1時間当たり 400Kcal を目安とする(体重 60kg として)。
運動代謝は競技により大幅に異なる(1991, ACSM。一部改変)。
・陸上長距離(268m/分) = 980Kcal
・ボクシング、柔道 = 800Kcal
・サッカー = 300 ~ 720Kcal
・バレーボール = 180 ~ 360Kcal
・コンディショニング運動 = 180 ~ 480Kcal
(資料には書いていないのが、「コンディショニング運動 = 180 ~ 480Kcal」をジムで行うレジスタンストレーンニングやエアロビックスなどのトレーニングと考えてよいと思われる。)
たとえば長距離の選手でかつ練習密度が濃い場合は増やし、野球のような場合は落としても良いだろう。
また強度のレジスタンストレーニング(ウエイトトレーニング)では上限の方、弱いときは少ない方とすべきであろう。
競技の練習では、身体を使う率が多い基礎練習では上限に近い方とし、作戦の手順を組み立てるときは減らすと良いだろう。
基本的には選手自身が翌日に疲れを残さない量を摂れる様にすれば良いだろう。
男性、20代、体重60Kg、基礎代謝1500Kcalとして、大まかな例を挙げると、
基礎代謝 8時間 = (1500/24h) * 8h = 500Kcal
活動代謝 10時間 = (1500/24h) * 1.5 * 10時間 = 62.5 * 1.5 * 10h = 937.5 Kcal
運動代謝 6時間 = 400 * 6h = 2400Kcal
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合計 = 500 + 937.5 + 2400 = 3837.5 Kcal
概算でこの程度が必要となる。
分配としては、普通の定食を3食、他に運動前中後の補給となる。
実際は体重と体脂肪率を見ながら調整していき、可能であれば血液検査、体調のスクリーニングを行うと良い。
上記の摂取カロリーだとして、どのような割合に配分するかだが、これは分かりやすい様に 3800Kcal で計算したい。
1、体重からタンパク質の量を先に計算する。2g * 60g = 120g = 480 Kcal (13%)
2、50%を炭水化物とする。1900Kcal = 475g (50%)
3、残りを脂質とする。1420Kcal = 158g (37%)
これだと脂質割合が高いので、タンパク質の割合を増やし、脂質を減らす方が良いだろう。
PFCバランスに関して、このような研究もある。
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トレーニング期における摂取熱量の構成(鈴木ら、1975)
カロリー, タンパク質(エネルギー比%), 脂肪(%), 炭水化物(%)
2500Kcal, 120g (19%), 85g (30%), 321g(51%)
3000Kcal, 130g (17%), 105g (32%), 380 (51%)
3500Kcal, 140g (16%), 130g (33%), 450g (51%)
4000Kcal, 160g (16%), 155g (35%), 490g (49%)
4500Kcal, 180g (16%), 175g (35%), 550g (49%)
5000Kcal, 200g (16%), 195g (35%), 610g (49%)
1、タンパク質は体重kgあたり2gとする。
2、動物性タンパク質はタンパク質の50~60%とする。
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前回 食事について 1、食事の数値化
http://hisajp.info/2008/05/post_718.html
つぎ 食事について 3、運動と食事 タンパク質の概算
http://hisajp.info/2008/05/post_720.html
お勧めの本
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