プロテイン粉末は、単にタンパク質の粉である。
プロテイン粉末が、運動選手やボディビルディングでポピュラーになってからだいぶ経つ。
またそれとは逆に、運動をしない人にはプロテイン粉末はなにか特別なものと考える方もいて、それは「プロテインって太らないのですか?」と良く聞かれる事からも分かると思う。
プロテインの種類は主に4種類ある。
牛乳から作られるのが、カゼインとホエイ。
大豆から作られるのがソイ。
エッグプロテインというのもあるが、それ単体の商品はほぼ無く何らかにブレンドされる。
主なものはホエイ、次いでソイの2種類となる。カゼインとエッグはかなり少ない。
歴史的な流れでは、
乳製品ではカゼインが最初にあり、その吸収の遅いのを改善する為に WPC(ホエイプロテインコンセントレート。濃縮ホエイ)が作られ主流になる。
やがてフィルターや他の技術の発展とともにアミノ酸やペプチドが以前と比べ安く大量に作れるようになった。
また時を前後してユーザーや研究者に因る摂取の方法の改善が進む。
現在になって改めてカゼインの精製技術が進み、その良さが見直されてきた。そのためカゼインはまだ少ない。
という様な流れであろう。あまり正確ではないかもしれない。
ソイは昔からあり継続している。
エッグプロテインは昔からあり、今は上記の様に少ない。
速筋にはホエイ(またはカゼインの)牛乳系、遅筋にはソイが一般的とメーカーも言うが、およそ合致すると思われる。しかし、遅筋に関してはソイの有意な差は無いのかもしれない。
http://hisajp.info/2008/05/post_722.html 下段
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牛乳のタンパク質は全体の3%ほど含まれる(100ccで3g程度)。その 3g の内訳が 80% 程度のカゼインと 20% 程度のホエイで出来ている。良く言われる例では、ヨーグルトに見られる上澄みはホエイと言われる。乳清(にゅうせい)、乳漿(にゅうしょう)とも言う。
英語では whey 。
ちなみに食品や学術関係者は ホエーと呼ぶ事が多い。
ウエィとも呼ばれる。
プロテインの製法などにより、
- カゼイン(カゼイン塩法とカゼインミセル法)、
- WPC(ホエイプロテインコンセントレート。濃縮ホエイ)、
- WPI(ホエイプロテインアイソレート。分離ホエイ)、
- WPH(ホエイプロテインハイドロライゼート。加水分解ホエイペプチド)に分けられる。
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カゼインプロテインは吸収が遅く持続効果があるとされている。
カゼインの製法は、カゼイン塩法と、カゼインミセル法がある。
前者は、簡単に言うと昔ながらの塩を入れて固めるチーズの作り方である。
後者の方がプロテイン粉末には適しているとされ、現在運動用プロテイン粉末の商品に使われているものは後者だけであろう。
カゼインの商品はどちらかと言うと少なく、カゼイン単体の商品も少ない。大抵はカゼイン/ホエイを半々などの割合でブレンドしたものが多いようである。
近頃はカゼインの研究も増えてきて、その有効性も見直されてきている。これに関しては正確なデータを調べ次第補記したい。
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ホエイプロテインはカゼインに比べると吸収が速い。双方を比べると運動直後にはホエイの方が向いていると言えるだろう。
ホエイの WPC(ホエイプロテインコンセントレート。濃縮ホエイ)は、70%程度の精製率で、免疫性などの牛乳の良さが残っている。その性質上 WPC には乳糖が残っていて対乳性が悪い人(牛乳でお腹がゴロゴロする人)には向かない。その場合は、WPI (か WPH)にするか、または ソイ が良いだろう。
WPI(ホエイプロテインアイソレート。分離ホエイ)の製法は、イオン交換法と濾過法がある。
イオン交換法の方がタンパク質含有率は 90% 程度と高い。成分は変成していると言われる。
濾過法はタンパク質含有率は 80% 程度に下がるが、前者より成分の変成等が少ないと言われ、ペプチドやミネラルの含有率も保たれていると考えられる。
双方で筋肉の肥大の違いなど、明確なエビデンスは無いと思われる。
(CFM は WPI 濾過法の中の一つである)。
WPH(ホエイプロテインハイドロライゼート。加水分解ホエイペプチド)の単体の商品は近頃あまり見かけない。吸収速度はアミノ酸よりも早いと考えられている。それにより腸内吸収で水分が移動する下痢の原因となる事が言われている。
数年前迄は、WPH を筆頭に吸収速度を重視していたように思えるが、事前摂取やまたは継続的な補給も効果があるという事が研究で証明されてきたので、トレーニング直後の吸収速度の優位性が無くなりつつあるのかもしれない。
WPC と WPI イオン交換法
http://www.hcc.ac.jp/bulletin/no27/abst27-07j.html
また、ソイとホエイでブレンドされている商品も多い。
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ソイプロテインは主に豆から作られ、SPC(ソイプロテインコンセントレート、約70%)か、SPI(ソイプロテインアイソレート、90%程度)の製法がある。
製法は詳しく書いてあるものが少ないので、改めて補記する。
ソイプロテインは牛乳系と比べると、BCAA、グルタミン、アルギニンのアミノ酸が多いとされ、また抗酸化作用の高いイソフラボンなどが多いとされている。
イソフラボンの過剰摂取は、女性ホルモンの様に働く「エストロゲン様効果(えすとろげんようこうか)」をもたらす可能性がある。これは筋肥大などとは相反するかもしれない。
イソフラボンについてうたっている為か、女性には好まれるようである。また女性向けのメーカーはソイしか扱っていないところもある。
イソフラボンの効果はうたっているが、エストロゲン様効果についての説明はあまり見かけない。
ベジタリアンのタンパク質補給に用いられる事も多い。
吸収速度はホエイと比べると遅いとされているが、カゼインと同じ考え方で、寝る前などは吸収が遅いために長時間供給されるから良いと言う考え方もある。
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プロテイン粉末は常に研究が進んでいて、毎年の様に新たなエビデンスが発表される。
ボディビルダーはプロテインをかなり研究しているが、運動選手はボディビルダーよりは気にしていない様に思える。
日本では
「各種競技向け(例えば野球、サッカー、水泳)」
「速筋向け」「バランス商品」「遅筋向け」
「バルクアップ」
などいくつかの種類に分けている。「バルクアップ」以外でのこのような分け方は日本にしかしていないだろう。
内容表示を見ると、ホエイ/ソイのバランスを変えたものや、または糖分を混ぜたものが競技別やバルクアップ向けの商品に多い。
バルクアップはある程度理解できるが、競技別という分け方に明確な根拠があるのか分からない。
そのため、タンパク質のグラム当たりの価格、原材料の種類(カゼイン、ホエイ、ソイ)、および製法、他の配合物を確かめて買う方が良さそうに思える。
ビギナー用は各種ビタミンやアミノ酸が配合されているものが多いようである。
上級者に近づくほどピュアなものを選び、自己で必要なアミノ酸や糖分を足す傾向にある。
日本のメーカー、または日本に正規輸入代理店がある会社の商品は、アンチドーピングマークが入っているものが多いようである。
米国の通販は安い。アンチドーピングマークなどは自己で確認してほしい。
実際に自社で作っている会社の他に、OEM 製品もある。OEM委託先はほぼ明記されていない。
前回
http://hisajp.info/2008/05/post_722.html
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http://hisajp.info/2008/05/post_726.html
お勧めの本
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