がんで失った声を取り戻そうとリハビリを続ける韓国人テノール歌手、ベー・チェチョルさん 「時の人」
記事:共同通信社
提供:共同通信社
【2008年8月15日】
がんの手術で声を失い、懸命にリハビリに取り組んでいる。努力が実り、この夏、日本で賛美歌を披露するまでに回復した。
「元に戻るのは無理だとあきらめていたのですが、毎日の訓練で、いつもより息が吸えると実感することが多く、希望がわいてきました」
2005年秋、ドイツでオペラ出演中にのどに異常を感じた。甲状腺がんと診断され、摘出手術は成功したが、右側の声帯と神経を切断され、声を失った。
力強く、輝かしい声で欧州を中心に活躍、日本にもファンが多い。友人の音楽プロデューサーの尽力で06年春、日本で一色信彦(いっしき・のぶひこ)京都大名誉教授の「甲状軟骨形成」手術を受けた。手術とリハビリの様子は、テレビ番組でも取り上げられ、反響を呼んだ。
2月に韓国に帰国。今はソウルの母校、漢陽(ハニャン)大学で声楽を教えている。
「イタリアとドイツに15年滞在しましたが、息子が小学校に入るので、家族でソウルに戻りました。やはり母国はいい。毎日おいしい韓国料理が味わえます」
一色名誉教授が「奇跡的」と呼ぶほど回復。動かなかった横隔膜もかすかに動きだしたという。CD録音やコンサートなどを予定し、目標に向かってリハビリを続ける。
クリスチャンとしての信仰を心の支えにする。「オペラの舞台に戻れるかどうか。それは分かりませんが、私は神様から与えられた声を自分のためでなく、皆のために使っていきたい」。韓国大邱(テグ)市出身。38歳。
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