運動時に発生しやすいと思われる心不全のタイプとして
1、心房細動
2、分解されて生じた遊離脂肪酸の影響よると考えられる冠動脈等の血栓
が挙げられると思う。
2はそれにより発生した状況が1を引き起こすと考えられるが、運動という特定の状況下での可能性が高いと思われる為に別とした。
また、これは私的な見解である為に、医療的見解等とは異なる点が有ると思われる。
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1、心房細動
これは運動で負荷が掛かり頻脈となり心拍数の上限を越え、心臓が不規則な間隔で収縮を起こす状態である。
この症状は一般的にも知られているので想定しやすいと思われる。
通常このような状態に至った場合には AED が無いと回復が難しいため、野外でジョギングでこうなるのは避けたい。
また、薬を服用により頻脈となる場合もあり、そのような症状が出やすくなる事もある。
それらの為にも、適切な運動負荷の設定が重要となる。
次に
2、分解されて生じた遊離脂肪酸の影響よると考えられる冠動脈等の血栓
というのはあまり聞かないかも知れない。
体内の中性脂肪(皮下脂肪、内蔵脂肪等)は運動をする事等により、グリセロールと遊離脂肪酸に分解される。
遊離脂肪酸は通常は血中タンパク質のアルブミン等と結合するが、運動等により大量に分離した場合は飽和し、結合しないままのものも残る。
結合していない遊離脂肪酸は血管の内側を傷つけたりする性格が有り、そうなるとそこに補修の為に血小板が付着し、動脈を細くする状態を引き起こす。やがて冠動脈への血流が減り、心不全に繋がる可能性がある。
と、この話しであればほとんどの方はご存知である。
この原因となる中性脂肪の分解は、運動が強いほど、または成長ホルモン等の脂肪分解に作用するホルモンの放出が多いほど強く行われる為に、レジスタンストレーニングを無酸素域で行った場合には、この影響が大きく出ると考えられる。
それを続けていると、やがてこのような状態になる可能性が高いと考えられる。
運動をしない人は運動をする人に較べると中性脂肪の割合が高く、また糖尿病がある場合はインスリンの働きが弱い為に中性脂肪も高い事が多い。
そのような方が突然強度な運動を行うと、このような可能性が高くなると考えられる。
レジスタンストレーニングは無酸素域の強度で行わないと、本来求める効果が得られない為に、それ故にこのような問題が発生する。
ただし、それがどの程度の期間でそうなるのか、運動の慣れはどうなのか。そういうのはわからない。危険なのでそういう実験は出来ないのである。
このような理由で、安全の為には運動強度はむやみに高くする事は出来ない事になる。
通常、医師が患者等に運動指導する際の運動強度は 6 Mets 以下である。症状によりそれぞれ異なる。
健康運動指導士のような比較的医療に近い所で働く運動指導の資格の場合は、既往症のある方(患者等)の健康増進の為の運動指導をする事も有るが、そのような場合には医師の判断を必要とするものも多く、それをしない場合は 3 Mets 以下の運動強度とする、というような基準や指針が有る。
これらの運動強度は、有酸素運動の強度である。安全性の確保がされやすい。
とはいえ私はこれらの資格は持っていないので、資料などからしか知らない。
このように医療やそれに近い所では強度な運動は取り入れない事が有り、それには理由が存在している。