バーベルとダンベルの違い
ダンベルによる挙上重量の低下
ベンチプレスのような種目では、バーベルで 50kg を扱えるとしたら、左右同時にダンベルで行う場合は、20kg(* 2 で左右合計で 40kg )かそれ以下の重量しか扱えません。
これは保持に力が必要な為で、それが片側ずつでは挙上重量が下がる原因と思われます。
そうすると、トレーニングの密度はバーベルを使うより下がってしまいます。
しかし場合によっては、インナーマッスルの強化や、その他補助筋の強化が考えられます。
ダンベルの利点
左右単独での力の集約
対して、ダンベルでしか出来ない利点も有ります。
例えばバーベルで 50kg 挙げられるとして、そうすると左右では 25kg ずつですが、それを片手だけで行う場合は、30kg~35kg 程度が挙上で来ます。
これにより全身の力を集中するようなトレーニングが出来ます。
ただしこれは、全体が向上してからの発展段階で行うものであって、基礎が出来ていないまま行うのは、あまり良くないでしょう。
補助種目として考えた場合
追い込みに使うのに便利
例えば、ダンベルプレス、ダンベルフライというのは、ベンチプレスのような大胸筋を主動筋として行う種目ですが、ベンチプレスでは上腕三頭筋が先に参ってしまう為に大胸筋はまだ追い込みが足りないとなります。
このような場合は、上腕三頭筋の関与が少ないダンベルプレス、ダンベルフライを用いて、大胸筋に追い込みを掛けることができます。
セパレート種目として用いやすい
アームカールのような種目はバーベルでもダンベルでも出来ますが、バーベルを用いた場合は挙上の方向が一定のため、挙上角度の変化に伴い動員される筋が変わる場合が有ります。また姿勢も同じままとなります。
対して、ダンベルの場合は、挙動の自由度が高いため、カールでは捻り(外旋)を入れる事で、上腕二頭筋にターガットを絞ったり、ハンマーカールで上腕筋にターゲットを絞るなどの使い方が出来ます。
また、コンセントレーションカールの様に、片側ずつ固定して行うような使い方も出来ます。
このように補助種目として追い込みに用いるには、ダンベル種目は様々な利点が有ります。
バーベルとダンベルの体幹の負担の考え方
ランジのような種目では、これ自体が発展種目であり基礎種目では有りませんが、バーベルで行うと肩にウエイトが掛かる為に体幹の保持に力が使われ、重重量で行うと脚よりも体幹が先に参ってしまいます。
そのためこの種目をバーベルで行うのは競技トレーニングのような、常に体幹を使用することを前提としたトレーニングに使用すると良いでしょう。
対してダンベルでこれを行った場合、体幹の保持の力がバーベルに較べ少なくて済む為に、脚のトレーニングの効果が高くなると考えられます。このような場合は、扱う重量はダンベルの方が重くする事が出来るため、筋肥大の要素にも向くと思われます。
レジスタンストレーニングでのダンベルと、ダンベル体操の違い
レジスタンストレーニングとダンベル体操の大きく違う点は、前者は「筋へ刺激を与えるためにウエイトを使う」のであって、後者は「有酸素運動の負荷を増やす為にダンベルを用いる」と、全く考え方が異なります。
そのため「手軽だからダンベルを使う」というのは、本格的なレジスタンストレーニングを覚えるには適切でないとなります。
道具はこの様な理由で正しく使い分けるべきものです。