2008年12月13日(土)17時0分配信 夕刊フジ
酒量が増えると脂肪肝、いわゆる"フォアグラ状態"になりやすい。ガチョウはいいが、ヒトは放置すれば肝硬変、肝がんのリスクが急増するので忘年会シーズンは特に注意が必要。そうした中、注目したいのがコーヒー。脂肪肝を予防する作用があるという。
【1200人を追跡調査】
「もともとコーヒーは、肝炎や肝硬変の予防に役立つとの報告があります。そこでコーヒーの飲む量と脂肪肝の関係を調べることにしたのです」とは、財団法人三越厚生事業団三越診療所の船津和夫所長。
同事業団の健診センターで、1999年に会社員1236人を対象に5年間の追跡調査を行ったところ、うち164人が脂肪肝を発症。さらに発症者のコーヒーを飲む量を調べたところ年々減っていたという。さらに、1日2、3杯程度のコーヒーを飲んでいた人が、その習慣を止めると脂肪肝リスクが上昇した。
【カフェインが脂肪を抑制】
「コーヒーに含まれる抗酸化物質クロロゲン酸やカフェインなどが脂肪細胞を抑制するためだと考えられる。さらに、コーヒーそのものが、肝臓内の酸化ストレスを抑えてインスリンの働きを高めると同時に、炎症が起きたときに活性化する細胞の働きも抑制する。これらが複合的に働き脂肪肝を予防していると考えられる」と船津所長。
それではコーヒー以外はどうか。緑茶でも同様の調査を行ったが、脂肪肝発症との関係は見られなかったという。
【毎日2、3杯】
ポイントは、コーヒーを飲む量と習慣だ。
「2、3杯程度のコーヒーを毎日飲むと良いでしょう。空腹では胃が痛むこともあるので、食後がおすすめ。できれば砂糖やミルクも抜いてブラックで。脂肪肝を発症した人はコーヒーの量だけでなく運動量も減り、結果的に体重が増加したという報告もあります。コーヒーを習慣的に飲むことで、運動量にも好影響を与えると思います」
脂肪肝をはじめとする生活習慣病の予防には、食生活の見直しが不可欠。だが、1年で最も肝臓に負担がかかる今の時期、手軽なコーヒーに頼ってみるのも一案か。
【暴飲だけでなく暴食も・下戸を襲う「NASH」】(NASH)
飲み過ぎだけでなく、下戸を襲う脂肪肝もある。「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」といい、肝細胞が硬くなる"繊維化"が進み、肝硬変や肝がんのリスクも高める。
「メタボな人がなりやすい。日本では数十万人から100万人の患者数が推定されています」と船津所長はいう。
肥満大国ともいうべき米国では、推定患者数は600万人〜3000万人。食の欧米化が進む日本でも患者数は増加傾向。もちろん、酒による脂肪肝と同様に、自覚症状はない。「酒は飲まないから」と大食いに走ると、知らぬ間に肝臓を傷めることになるので気をつけたい。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/fuji-320081213203/1.htm