スポーツやトレーニングをする方や、肥大時や減量時の、タンパク質と脂質の摂取について書いていきます。
1、タンパク質を含む食材 = 脂質を含む食材
まず、通常の健康を意識した食事でのタンパク質の割合は、植物性 50%、動物性 50% 程度の割合が良いと言われています。
なおかつ、動物性の 50% のうちの、25% がビーフやポークや鶏などの動物の肉や乳製品、ほか 25% が魚介の割合が良いだろうと考えられています。
なぜそういわれるかというと、これは脂質の摂取の関係がある為です。
タンパク質を含む食材は脂質を含むものがほとんどなので、肉を食べると動物性の油脂、魚を食べると魚の油脂、豆腐を食べると植物性油脂(この場合は大豆油)が摂れることになります。
脂質の摂取というと、炒めものやフライの油を連想する方も多いと思いますが、食事全体としてみた場合は、食材からの脂質の摂取を考える必要があります。
また、日本食のように調理に油をあまり使わない料理では、この食材からの脂質の摂取割合が高くなります。
ほとんどの動物性油脂は飽和脂肪酸で分解されにくいため、摂りすぎると成人病に繋がりやすいと考えられています。
そのため上記の割合の 50% : 25% : 25% でタンパク質を摂ると、動物性脂肪の摂取が適切な割合となるだろうということから、このように言われます。
2、脂質を多く摂ると体脂肪の割合が増えるか?
では「脂質を多く摂ると体脂肪の割合が増えるか?」 というとそうではありません。
体脂肪が増えるかどうかは、エネルギーが余っているかどうかです。
エネルギーが足りていない場合は、当然減ります。
余ったグリコーゲンやタンパク質はそのまま保存が出来ないので、脂質に変成して体脂肪として蓄えます。
タンパク質の脂肪への変化は、直接的ではないことや、比較的代謝に使われやすいこともある為、タンパク質の余剰摂取は優先して燃焼に使われることがあります。
しかしその場合は、本来使われるべき炭水化物や脂質が消費されにくくなるため、結局タンパク質を多めの食事をしても、エネルギーが過多であれば体脂肪の割合は増えます。
3、タンパク質のエネルギー化
体内では様々なタイミングでタンパク質を合成/分解を繰り返し、代謝に必要なタンパク質を作り出しています。
また、アミノ酸レベルでの代謝もあります。
例えば、内蔵はグルタミンをエネルギーとする割合が高いです。
また、グルタミンは免疫系のアミノ酸と言われています。
合成/分解の過程では、内蔵は内蔵自身を分解しグルタミンを作り出しエネルギーとして使用し、栄養を吸収し、それで再度内蔵を作ります。
激しい運動をする場合は、筋肉内でエネルギー化しやすい BCAA (バリン、ロイシン、イソロイシン)が消費されます。
これも筋肉を分解しエネルギー化する場合があります。
このため BCAA のアミノ酸は3種類しか含まれなくプロテインスコアが整っていなくても、運動時に摂取するのは都合が良い訳です。
余談ですが、余った BCAA はグルタミンに変成されます。
このように、タンパク質を代謝する場合は、遠くから持ってくることはあまり無く、その場のものをたいてい使うようです。
激しい運動をすると食欲が落ちたり、風邪をひきやすくなったりするのは、身体全体のタンパク質要求量が増えるため、内蔵がグルタミンを作るのに分解された後に再合成に必要なタンパク質が他に廻るからではないかと、私は考えています。しかしこれは一部しか見ていないので全体を表すものではありません。
血液は、激しい運動では物理的に分解されたり、エネルギー化されることもあり、タンパク質が不足した状態で強度な運動を続けるとヘモグロビンが減り貧血になる場合もあります(正確には合成が追いつかないというほうが近いでしょう)。
こういう時に鉄だけを摂っても貧血はあまり改善しないでしょう。
ヘモグロビンは、ヘム鉄 + グロビンから成る血中蛋白の一つです。
このようなタンパク質の合成/分解は代謝の為に必要なもので、知らぬ間に行われているものなので、「筋分解は大変だ」と考える必要はありません。
このタンパク質の合成/分解で延々保つ訳ではなく、エネルギーとして使われる分や、髪の毛や爪や皮膚のような直接代謝に関与しない分にも使われる為、摂らないと体内のタンパク質が徐々に減って行きます。
その摂取量の基準は、厚労省では 1.2g/kg(米国では 1g/kg)となっていて、健康的な生活を送るにはこの程度は摂る必要があると考えられています。
活発な運動をする場合はこれ以上摂らないと足らなくなり、筋肥大を狙う場合はさらに増やす必要があります。
参考:
http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9906/s0628-1_11.html
http://www.pref.nagano.jp/eisei/hokenyob/kenzo/eiyotyosa/pdf/11_9%206jieiyoushoyouryou_hikaku.pdf