トレーニングの定量化4

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 医療と運動の違いを考えてみると、

 医療の場合は、
・緊急度に伴う優先順位や期限がある(蘇生では5分間以内などもある)。
・病気やけがなどから元の状態へ戻すと、行うべき事が明確である。

 運動の場合はそれとは異なり、
・期限が無い(競技選手は期限があるが、大抵は明確な期限が無い)。
・現状から発展させることなので、計画が建てにくかったり、目標があやふやになりやすい。

 という違いがあると思います。


 運動の場合は、緊急度が見にくいのと、また計画が明確でなくても、特段無理をしなければ危険度も低いので、好きな事だけを選ぶ事も出来ます。

 しかし、競技選手のトレーニングや特定の目標に向かって身体の改善を図りたい場合には、このような選び方は適切ではないでしょう。

 運動やトレーニングを通じて身体の変化を狙うには、時期や期限を明確に捉える事が重要と考えています。

 例えば人間の成長の過程を、
「成長期(幼児期、少年期、成長期。通じて背が伸びている期間)」
「成人期(青年期、壮年期)」
「高齢期(前期高齢期、後期高齢期)」
と分けるとし、それぞれの段階で必要な事を行うのと、

 また同じ年齢としても、
「導入期、発展期、円熟期」
程度に分ける必要があるでしょう。

 また、その人の、運動経験や現在の健康状況等でも、適切なものを選ぶ必要があります。
 健康状態を計るには、既往症やくすりの服用、生活習慣、血液分析値、体脂肪率、筋肉や骨や関節の状態などから見ますが、一般的な人ほど健康状態の幅が広く、
「本格的な運動をするのが初めて」という女性や、
「昔は高校球児だったから体力には自信がある」というメタボおじさんのような様々な人がおられます。

 ウォーキングのような有酸素運動であれば集団指導もしやすいですが、本格的なトレーニングでは誰しも同じ内容で行うのは当然無理があります。
 さらに、成長期や性差も含めて考えるべきでしょう。


 私はこのように、
「全体を俯瞰しそれぞれの段階で必要なものを適切に行うこと」
が、あるべきトレーニング(身体の向上、訓練)の姿と考えています。

 そのためトレーニングプランを組む場合は、競技選手とすると、
「最終的な目標は、○○のような選手になる事。
 暫くの目標は、この技術をこうする事。
 そのためには、ここをこう改善する必要がある。
 だから今の時期は、このようなトレーニングをこの様に行う事が必要である」

というような組み方になります。

 ビルディングやシェイプアップ、健康運動や高齢者の方の運動でも、取り組み方は全く一緒で、


 ところが唐突に方法論から入る方が半分くらいおられる気がします。

 「なぜこの段階でそれが必要なのか?」
という検討がないまま、
 「これにはこのフォーム」「ウエイトリダクションはこうやって行う」というような、本来は全容を決めた後に選択すべき方法論が最初に来ている例を見かけます。

 このような組み立て方だと、必要度から組み立てている訳ではないので、危険性が増えたり、効率が悪くなる可能性が十分に含まれます。



http://hisajp.info/2010/01/post_363.html

コメント(3)

こんばんわ。
最近、中3ラグビー選手の方々と筋トレのお話をさせていただいてますが、hisaさんのこの記事を読んで、改めて考えさせられました。

動画で試合を観ると、どうしてもコーチ役の観点からばかり見てしまうことが多く、そういう長期的に俯瞰する視点というよりは、目の前の試合の勝利が最優先で話してしまうことが多かったなぁと反省しています。

チームの戦略(ランニングラグビー)、ポジションが決まっていれば、ある程度まではやるべき動きのパターンは決まってくるのがラグビー競技の特徴の一つなので、あとは身長が止まった時点で減量のタイミングを検討すればいいか、ぐらいまでしか考えられてませんでした。

n0211さんのチームの他メンバーにも、とりあえず身長が止まるまでは、増量して食い続けてとは伝えていますが、その他トレーニングの意図を伝達する上でも、いろいろ難しく感じることが良くあります。

ちなみにn0211さんは、昨年の試合でヒザをやってしまったので、その後はトレーニングで走ってはいないそうです。早くブログでRSSアップしたいのだけど、RSS設定がうまく行かず調整中との話。チーム(中学・高校)が元々ウェイトに積極的なチームではないのですが、私見ではそれが原因の1つとなって大事な試合を落とすことも多い印象です。これって実は高校ラグビーにはよくある傾向なんですが、それを打破するべく、自分がウェイトリーダー的な存在になってチームにウェイトを浸透させていきたいみたいなことを本人は話していました。

自分もなるべくサポートはしているつもりですが、最近悩んでいるのは、ラグビーでどの程度のレベルを意識して話せば良いか、という点です。野球やサッカーと違い、ラグビーはマイナースポーツ。業界の金回りもメジャー競技とは雲泥の差で、たやすく大学・社会人ラグビーを目指して!とかは考えない方がむしろ良いと思われる類のジリ貧競技です。日本でワールドカップとか、どのみち焼け石に水。だったら高校で燃え尽きて、そのあとは草ラグビーで楽しむくらいが幸せなのではないかと考えることもあります。

もし「高校で燃え尽きたい。そのあとはもうエンジョイで十分」とか「大学で/社会人で続けるかどうか迷っている」という人がいた場合、どういう対応をすればいいのか、何かヒントなど頂けましたら幸いです。

 rex さん、こんにちわ。いつもありがとうございます。

 トレーニングというのは、追求すればするほど冷淡なものになります。
 トレーニングの結果は数値化し追求でき、その数値化が正しいほど、人間が介在する要因は減る為です。

 しかし競技というのは人間のやる事ですから、トレーニングとは異なり、都度いろいろな感情が生じるものです。
 競技でご飯を食って行く様になると感情を技法でコントロールするようになりますが、試合を離れている時やそこに至っていない段階では誰しも迷いが生じると思います。

 何事も達観すると強いです。
 プロ選手やトップアスリートは自分の居るその世界しか無くて、その場がすべてです。

 Q ちゃんが2009年末の頃の TV 番組で、
「今日一日に全力を尽くす」
という旨で話されていたのですが、そこにたどり着いた人の世界は違うと思います。

 今日が終わらないと明日が来ません。
 だれもがいつでも何にでも可能性を持っています。


 競技で面白いのは新しい刺激を受ける事だと思うのですが、NZ に2週間くらい行ってみるとか、日本の実業団チームの練習を見学させてもらうとか、相撲部屋を訪ねてみるとか(トヨタ http://hisajp.info/2006/06/post_365.html )、様々な見識を広めるのが重要と思います。

 野茂選手がメジャーに行くまでは、誰もが「日本人には無理」と思っていたことが、その後は普通になっています。
 マネージャーというのも面白いですし、コーチやトレーナーと言う仕事も面白いです。こういうものもありました。
http://www.arukikata.co.nz/index.php?option=com_column&page=column_detail&Itemid=399&titleid=13&issuenumber=07

 まだまだすごく時間をお持ちなので、いろいろ探せると思います。

ありがとうございます。

「オヤジの栄光時代はいつだよ…
 全日本のときか?
 オレは……
  オレは今なんだよ !!」

Qちゃんの話で、スラムダンクの
この言葉を思い出してしまいました
(メイン板のジョジョネタに乗せられたかも)

そうですね、今は何事も1日、1日をしっかりと
やりつくすことが大事ですね。考えさせられました。
迷ったら、そこに立ち返ろうと思います。

その上で、いろいろ視野を広げていくのが、
本人たちのプラスになるんだろうなと。

このブログ記事について

このページは、hisaが2010年1月18日 13:23に書いたブログ記事です。

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