代謝の最終過程は ATP 回路における分解と再合成である。これに必要なものはタンパク質、炭水化物、脂質である。
ビタミンとミネラルは ATP 回路に直接の関与はしない。ただし回路の潤滑な働きには必要である。
ビタミンとミネラルの所要量を確立するのは難しい。
- 代謝過程におけるそれらの働きについてほとんど解明されていない。
- 所要量の欠乏時の症状の発現は認められているが、不足している状態では臨床的症状が現れにくい。
- 過剰摂取に際しての安全を優先して決められる。
などからによるものである。
2005年版食事摂取基準によると、
- エネルギー消費の増加に伴い、ビタミンB1、B2、ナイアシンの必須量が増える。
となっている。ビタミンCは活動の増加に伴い2〜3倍摂ると良いと思われる。
ミネラル類だが、
- 塩分の日本人の所要量は 10g となっているが、不足する事はまず無い。
- カルシウムは所要量は 0.6g となっており、乳製品の摂取が西洋諸国と比べ不足しがちにあるのに伴い不足する傾向にある。そのため運動をする場合は 1g ~1.5g 程度を摂る様に考える方が良いと思われる。
- 鉄分は通常は足りていると考えられるが、女子選手は鉄欠乏性貧血の発生がしやすいと考えられるため注意が必要である。鉄欠乏症の改善には半年程度の期間が必要となる。所要量は 10mg / 日(男性)、12mg / 日(女性)である。運動をする場合はこの2倍程度が好ましい。
運動を行う事によりビタミンやミネラルの所要量が一般的なものに比べると数倍増えると考えられるが、前章にあるように運動を行うと摂取が増え比例してビタミンやミネラルの自然摂取も増える。
そのため、ビタミン類は食物中より十分に摂取できると考えてよい。ただし、運動時において、欠乏に至らないにしても何らかの不足状態に至る可能性はあり得る。
ミネラルは運動やトレーニングの強度や質により、不足する事は考えられる。
これ迄の研究によると、ビタミンとミネラルをサプリメントで摂取する事が運動能力を向上させるという確立された根拠は見当たらない。
ただし、食事の改善がしにくい、改善をしても不足していると考えられる場合は、サプリメントの摂取も考えられる。
また、減量期など摂取が制限されそれらが不足していると考えられる場合は、サプリメントの摂取も考えられる。
--------------------------------------------------------------------------------
私自身の経験で話させていただくと、以前はサプリメントをかなり摂っていて、
「却ってバランスが悪そう」と人からいわれた経験がある。
摂っているとどの程度が適切な量なのか、自分が分からなくなるのである。
メーカーは摂る量を多く勧め、学術的には上記のように
「これ迄の研究によると、ビタミンとミネラルをサプリメントで摂取する事が運動能力を向上させるという確立された根拠は見当たらない。」
というのもある。
私自身は、
「サプリメントの摂取を止めたが、変わったかどうか分からない」
というのが実感である。
またこれは、絶対的な運動量が減っている事、精神的なストレスが減っている事などの環境の変化もある。
現在は
- 何らかの際に摂ると効く気がする。
- 不安になり摂りたくなる事もある。
- 気にしなければ摂らない。
- 忙しいと忘れても違いが分からない。
と、これまたよく分からない。
当時サプリメントとして摂っていたものとして、
- ビタミンとミネラルの総合サプリメント
- ビタミンB群、C の追加
- 亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウム の追加
ビタミン、ミネラルから離れるが、
- DHA
- コエンザイムQ10
- 銀杏エキス
- クレアチン
- BCAA
- グルタミン
- プロテイン粉末
も摂っていた。
新しいもの好きな性格は自覚しているのだが、今は聞かないものもありそうだ。
--------------------------------------------------------------------------------
意外に思われるかもしれないが、現在の我が国のオリンピッククラスを含むアマチュアトップクラス、またはプロ選手なども含むトップアスリートへの各種のアンケートでは、
- サプリメントを摂取していない
- 摂取した事が無い
という割合は、常に 10% 〜 20% 程度を占める(年度や団体で異なる)。
前
http://hisajp.info/2008/05/post_720.html
つぎ
http://hisajp.info/2008/08/post_34.html
お勧めの本
http://hisajp.info/recommend2.html