和食では前旬、旬、後旬でそれぞれ旬の食材を取り入れる様に考えます。
フレンチやイタリアンにも旬の考え方があります。
日本では猟をした食材はあまり手軽ではなく高価ですが、冬場の鴨が代表的な食材でしょう。
日本の都市部に住んでいると機会が少ないですが、日本や外国の地方では、家庭で家畜をさばいたり、猟の獲物が食卓に上がる場合も有ります。
フレンチのジビエは都市部で食べやすいものでしょう。
例えば和食とフレンチでは同じ食材でも旬と呼ばれる季節が異なります。牡蠣やスズキなどが代表的な例でしょう。
しかしこれらはそれぞれの料理の歴史の中で、おいしい食べ方として確立され定着した季節が違うのであって、その季節に地場で採れた食材をおいしく食べている事は同じです。
私は旬の食材は地場の食材が好ましいと考えています。それは地場の食材は季節が同じだからです。
今は世界中から食材が空輸されるので、季節が反対の南半球からの食材も多いです。
南半球は日本とは季節が逆なので、日本が夏の間は冬の食べ食材が届きます。
オーストラリアは赤道に近い地域も有るので、夏に近い食材も有るのだと思いますし、温暖なため冬でも寒くないです。
チリ産の鮭は私もたくさん食べてますが、本来南半球には鮭はいません。それを養殖しています。これは方向性がずれるのでここで止めます。
野菜や果物は、本来は夏のが冬に出回り、その逆も有ります。本来の旬がいつなのか分からない子供も多いです。大人も同じかもしれません。
肉は冷凍ものが普通に出回っていて、いつさばいたのかは分かりません。数ヶ月や数年前のものもある様です。
しかし肉類は野菜や果物ほど、取れた季節と体調に与える影響は関連性が少ないないような気がします。
魚介は、季節を感じられる食材はおいしいです。これらは近海魚で地場の食材が多いです。
冷凍物や南半球の食材も相当有りますが、それはマグロの様な遠洋漁業の食材や、近海でも漁獲量や漁獲期が決まっている秋刀魚や烏賊に多い様に感じます。
遠洋物は難しいにせよ、出来れば地場の旬の食材を摂る様に考えています。
個人的には、しんこはその時期にお寿司屋さんでいただきたいですし、梅ホトトギスのカツヲが好きです。
なぜ私がこのように季節や旬にこだわるかと言うと、これは「トマトのリコピンは抗酸化作用が強くて良い」というような記事(広告)が10年くらい前に大きく出された事が有りました。
そのときはトマトのリコピンだけを挙げ、季節に関わらず抗酸化作用だけを挙げ、真冬でもそれを勧めていました。
そのときに異に感じて以降、徐々に今の様に考える様になりました。
実際のところは原材料がなんであろうが(野菜、肉、乳、魚介、石油)、精製された物質となるとそれは原料に関わらず同じ効果を発揮すると考えられています。
例えばグリセロール(グリセリン)は石油が主な原料です。それを口にする事も有ります。しかし精製されているので問題ないです。
私が考えたのはこの原材料や精製の問題ではなく、「トマトにリコピンが多いのは夏に必要なのだからではないか?」と言うところに有ります。
真冬にスイカを食べたいか、というと私はそう思わないです。
それは、冬に悪いとまでは言わなくても、他に適した食材が有るからではないか。
また、夏に必要な成分は夏の食材に多いのではないか。
それであれば、逆の季節に多く摂れる精製された物も同様に、必要の度合いは少ないのではないか、と考えたからです。
実際にカリウムなどは夏の食材に多く含まれます。
同じく、リコピンの抗酸化作用も同様に夏の食材に多く含まれ、それには何らかの必要性があるのではないかと、私は考えています。
旬の食材は旬のときに必要な成分が含まれていると私は考えています。
しかし科学的に言うとまったく根拠は有りません。
しかしその上で、人間の食べてきた物の流れの中でいうと、今まではそうしていてそれが当然の事だったから、それを考えている研究者の方がおられないのかもしれません。
そのため、このような考え方はあまり研究者の対象となっていない様に感じます。
学術的には栄養のバランスが取れていれば良いのであって、病院や学校のような機関の食事は予算も有る為か、地場物の旬の食材はあまり見かけないと感じる事も有ります。
この頃は近郊では農家の直売所も増え、普通は市場に回らないような規格外の野菜が安く売られています。
都心部ではこのような方法は難しいかもしれませんが、旬の食材、地場の食材、と言う事に少し目を向けると、色々面白いと思います。