何をトレーニングと呼ぶのかと言うと、
「目的の達成の為に、身体やメンタルの能力を向上させる事」
となると思う。
分け方や考え方はもちろん人により異なる。
今回はスポーツのトレーニングとして、限定して考えてみたい。
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クロストレーニング
これは、普段行っている競技がゴルフのような片側性(一方向へのスイング)の強い運動の場合は、両方を使う様にスキーや水泳をするのが良い、というものである。
その選手の本職はゴルフだがトレーニングとして行う事はスキーや水泳というスポーツになる。それによりゴルフの能力が上がるだろうからトレーニングである、というものである。
こういう組み合せはいくつかあるが、何かの際に詳しく書きたい。
分析をおこない競技成績の向上を狙うもの
サッカーのような競技では、フィジカル面の向上が成績に繋がる事が高いと考えられる。
80分を過ぎた頃からバテてきて相手に点を取られるような場合が考えられる。
これは監督やコーチが戦略戦術を考えたり技術指導をしても、身体が動かなくなるのだからそれらを有効に使う事が出来ない。
そう言うときは、今までの試合の分析をして運動量の変化を測定して、バテる理由を明確にする。
そして問題が間欠持久力に問題が有るとしたら、
「間欠持久力トレーニング」を行い、
「食事面では、90分保つ様に摂取カロリーの向上を計るとともに、数日前から炭水化物の摂取量を多くしカーボローディングを行い、同時に胃腸の負担を少なくしたいので摂取のガサを減らせるように脂質の割合を 5% 上げる」
と言うような事が考えられる。
これも身体能力の向上で成績を上げる行為だから、広義の意味ではトレーニングに含められると言えよう。
動態分析
走、ジャンプ、ハンマー投げ、水泳、体操競技。
このような競技の場合、映像を撮影し力の発揮方向のベクトルを算出し、そのタイミングと方向が最適化を計る事で成績の向上に役立てる方法である。
分析は分析者が行う事が多い。
フィジカルトレーナーは分析結果により必要なトレーニングを計画する。
選手は自己の映像を見たときに、どこが同時分のイメージと違うかを認識し、それを自分にフィードバックさせる。
(実際は監督やコーチもここに加わる場合が有る)。
これらを何度か繰り返し、理論値と実効値を合致させ、競技の向上を図る。
これらには専門の知識や機材が必要だが、このような分析手法を用いる事で成績の向上につながる事は多い。
視野トレーニング
動的な視野の向上や、行動視野(認知される視野)を広げる事で、競技成績の向上につなげるものである。
例えばサッカーなどでは、他の選手にパスを通すには、どのタイミングでどこを通せば良いかを考えるものであるが、仲間が見えていなければ分からないし、相手チームの選手が視野に入っていないと相手に有利なパスをしてしまう可能性もある。
このような際に自己に有利に働く様にするトレーニングである。
メンタルトレーニング
途中まで上手く行っていたが、勝ちを意識したとたんに身体がこわばり、逆転負けしてしまったようなパターンである。
これは簡単に言うと
・勝ちを意識する ーー> 失敗したら負けてしまうかも
という思考回路が働くからである。
「勝ちを意識するな」と指導者はいうが実際にそれは難しい。
そう言う場合には、
・勝ちを意識する ーー> 1回くらい失敗しても勝っているのだから大丈夫さ。
というような思考回路が働く様にしておけば、実力が発揮できる。
このようにメンタルトレーニングとは
「こうなったときには、こう考える」
というのを自分に有利な思考回路を作り上げるトレーニングする方法であり、修行から連想される「雑念を払う」というものとは異なるものである。
(トレーニング方法の一環として修行のような過程を経る事は有ります)。
今回はあえて通常のトレーニングとは異なる範囲を書いてみた。
しかし広い範囲では大体このくらいまでがトレーニングであろう。
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競技は専門技術が重要で、大まかにこのように分かれる。
・監督 ーー> 競技戦略に采配を振るう。
・コーチーー> 監督の戦略の実行に必要な、競技技術の向上を指導する。
・選手 ーー> それを実行できるだけの体力と知力が必要。
競技技術はその種目にしか活きないものである。また専門性が高いもの
となる。
もちろん応用は可能だが、野球のバッティング技術をマスターする事で、スキーの成績が上がるかと言うと、そういうことは考えにくい。
対して、
トレーニングはどの競技に対しても普遍的に応用できるもの、
となるであろう。
・身体的な基礎体力、栄養、動態分析、視野、メンタル。
こういうものはサッカーの分析技法がバスケットボールに使えないかと言うと、そう言う事は無く、あくまで身体面からの数値的なアプローチとなる。
もちろん得意分野はあるので、サッカーを得意とするトレーナーがレスリングのトレーニングを効率よく組み立てられるかと言うと、それならレスリングを得意とするのトレーナーの方がよいであろう。
今回書いた範囲は、一般的なトレーニングの概念(筋トレや有酸素)とは離れているのかもしれないが、トレーニング、およびトレーナーの範囲というのは、最大限広い意味ではおおよそこのような範囲までだと思う。