筋肉の説明 3、運動のエネルギーの発生と、筋と腱

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筋肉の説明 3、運動のエネルギーの発生と、筋と腱

 エネルギーの発生

 筋肉の収縮は体内のエネルギー消費を伴う。

 腱は自発的にエネルギーを発生する事は出来ないが、ショートストレッチングサイクルという動きで、エネルギーを再利用する事が出来る(再利用という言い方が的確かどうかは今回は話題としない)。

 ゴムは伸ばされると縮むが、腱も同様に外部から伸ばされると縮む。
 言い換えれば、ゴムも腱も、外部から伸ばされないと縮む事が出来ない。

 プライオメトリクスというトレーニング方法が有るが、これは高いところから飛び降るなどして腱に一旦エネルギーを蓄え、それを放出して上に飛び上がるトレーニングだが、上記のような腱の性質を利用したものである。

 この腱の特性を利用した運動は代謝が発生しないため動物は体内エネルギーを消費しなくて済むので、正常な進化と言える(腱の修復という意味でのエネルギーの消費はある)。
 
 
 
 エネルギー効率と腱化

 人間が歩く最も効率の良い方法は位置エネルギーの利用で歩く方法で、簡単に言うと身体が前方に倒れようとするところへ転ばない位置へ足を置き、それを繰り返して歩を進める事である。
 達人のレベルではこの歩き方が多い。これは走る事にも応用できる。
 これが後足で蹴る方法だと自らエネルギーを発生しないとならない。通常はこのような歩き方の方が多い。


 四つ足の動物は、基本的に重心が4つ足の着いている中に有るので、人間のような位置エネルギーの利用が難しいのではないかと思われる。

 良く見かける例としては、ネコ科やイヌ科の動物は胴体(体幹)をうねる様にして、そこで発生したエネルギーを後脚に伝え、前脚は方向のコントロールの為に着地する様に見える。
 このため四つ足の動物の歩行は人間と較べるとエネルギー消費が多いのではないかと思われるが、実際に動きを見ていると何らかの位置エネルギーを利用している様に見えるので、人間との効率の違いは分からない。

 一日の歩行距離では、人間は昔の飛脚で1日に 100km も歩いた(移動した)と言うのを聞くが、あり得ると思う。
 動物の方が距離が短いというのを聞くこともあるが、測定方法などが不明である。しかし上記からすると、同じ体重の場合は4つ足の動物の方が歩ける距離は少ないかもしれない。


 カンガルーのような動物は主に後脚歩行だが、彼らの場合は位置エネルギーの利用が上手い様に見える。但し実際には計測したのでないので分からない。

 またカンガルーの場合は、後脚の構造的に上記のストレッチングショートサイクルの利用が非常に優れていると考えられる。
 あの後の足の部分(フットの部分。人間が靴の履く部分に見える部位)はつま先もしくは指先である。
 その後は長い腱で繋がれていて、腿の部分は人間で言う裏腿が発達している(この構造は馬等も比較的同じである)。

 そのため裏腿で蹴りだす動きのエネルギーが、一旦長い腱に溜められ、それがやがて短時間で放出されることになる。
 これを繰り返すうちにスピードが乗ってきて、一旦スピードが乗ればあまり体内エネルギーを消費しないで走る事が出来るのではないかと考えられる。

 しかし動物園や番組で見かける、カンガルーの「歩く」というかゆっくりした動作は、筋が少ない分あまり上手くない様に感じる。カンガルーはそれを必要としない環境で進化した動物なのだろう。
 
 
 
 このように腱化というのはエネルギー消費の法則から見ると、正常な進化と言えるのだろう。


http://hisajp.info/2008/11/post_116.html


http://hisajp.info/2008/11/post_118.html

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このページは、hisaが2008年11月 7日 09:16に書いたブログ記事です。

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